ここ数年のパンの市場規模では、コロナ禍の影響で下落した2020年を除いて、大きな変化はみられません。また、アフターコロナといわれる2023年の段階において、新型コロナウイルス感染症の発生以前の水準の市場規模に戻っています。さらに、2024年以降は、パンの市場規模は伸びるとの見方もあります。

パンの販売方法は、店内のディスプレイから好みのものを選ぶセルフサービスタイプ、イートインコーナーを設けるカフェスタイルのタイプ、小売チェーン店での陳列、EC販売など多岐に渡ります。昨今では、これに加わるかっこうで、冷凍パンが定期配達されるパンのサブスクリプションサービスの販売手法が話題を集めています。しかし、いずれの販売方式においても、消費者がおいしいパンを求めていることに変わりありません。そのため、それぞれのパンの販売事業者が競合状態にあるといえます。

こうした環境下では、パン販売の事業者としては、パン商品の差別化のための新商品の開発はもちろんのこと、SEO対策などWEB施策を取り入れて、認知拡大や集客強化を図ることが重要となってきます。

パン屋のSEO対策について解説します。パンの販売には、さまざまな方式が存在します。そのため、自社の販売方式を踏まえたうえで、本記事の解説記事を参考にして、店舗やサイトの集客強化に役立ててください。

パン屋がSEO対策すべき理由

近年のパン市場は、コロナ禍における落ち込みがみられたものの、全体的には堅調に推移しています。そして、今後の市場の動きに関しても、微増が続くとの予測する調査会社が存在します。一方、パンを含む食品市場におけるEC化率は、まだまだ発展途上といえます。ただし、パン商品に限定すると、毎月、自宅にいながらおいしいパンを楽しめるサブスクリプションサービスが話題を集めています。こうした新たなビジネスモデルの登場もあって、既存のパン屋やEC販売を手がける事業者は、SEO対策を中心とした集客施策を用いて、顧客の確保に努めることが重要視されています。

パン市場規模は微増するとの予測も

株式会社矢野経済研究所の調べでは、今後、国内のパンの市場規模は微増が続くと推測しています。

※2023年度以降は予測値

近年の動きをみてみると、コロナ禍の影響で2020年度の市場規模が落ち込んでいます。ただし、2022年度の時点で市場規模は、コロナ発生前の水準に戻りつつあります。また、今後の展望については、食材の高騰化にともない安価なパンを求める消費者、従来品を求め続ける消費者、価値が高いこだわりのパンを求める消費者に分類されると予測しています。そして、すべての消費者のニーズを満たすように商品開発や販売することで、今後の市場規模が拡大すると同社は分析しています。

EC販売ではパンスクの取り組みが話題に

株式会社パンフォーユーは、冷凍パンを定期宅配するサブスクリプションサービスのパンスクを2020年に提供開始しました。コロナ禍で巣ごもり生活が続くなか、自宅でも全国のおいしいパンを楽しめる点が好評を博しました。その後も、話題を集め続け、2024年には海外進出を果たし、同8月には会員数が5万2,000人に達しています。さらに、同12月には、パンスクで提供する人気の冷凍パンを購入できる、ECサイトのパンスクオンラインストアをオープンし、パン販売の新たな形を示しています。

こうした取り組みは、既存のパン屋にも刺激を与えるきっかけになりえるほか、成功事例の先駆けとなり、パンのEC販売が広がりをみせる可能性を秘めています。

パン屋向けのSEOキーワードの例

パン屋の店舗サイト、パン販売のECサイトのいずれにおいても、サイト制作や運用時にキーワードを設定することが大切です。そこで、SEO対策上、効果的なパンの関連キーワードをご紹介します。あわせて、検索回数と検索結果のデータを掲載し、詳しく解説します。

関連記事：SEOキーワードの選び方とは

※本項目で記載する検索ボリュームは、原則として2024年11月単体のもの

パンの販売方法

パンの販売方法は、パン屋さんやベーカリーショップに代表される実店舗タイプ、ECサイトを利用した通販タイプに大別されます。検索ユーザーとしては、パンを購入する手段に応じて、下記のようにキーワードを使い分けます。

まず、パンの実店舗を表す「パン屋」と「ベーカリー」の検索結果をみると、前者ではパン屋を紹介する、ポータルサイトのまとめページが上位表示を占拠しています。まとめページのニーズの高さから、パン屋さんのサイトにて、「パン屋」の検索結果で上位表示を目指すことは現実的に困難といえます。一方、後者では「ベーカリー」のワードを店名や社名に冠したスワンベーカリー、株式会社クラウンベーカリーなどの店舗案内ページが上位に表示されています。

また、EC販売を表す「パン 通販」の検索結果では、パン専門のrebake（リベイク）、ぱん結びなどのECサイトが目立っています。なお、「パン サブスク」のキーワードに関しては、パンのサブスクリプションサービスの火付け役となったパンスクを筆頭に、毎月PANDA！といったサービスページが露出しています。

パンの種類や専門店

パンにはさまざまな種類があり、消費者の嗜好によって好みがわかれます。消費者としては、自身が好きなパンを購入したいことから、好きなパンを扱っている店舗やECサイトを探すことになります。とくに、特定のパンの専門店は、市販のパンと比較してパン本来の風味を味わえることから、パン好きにとっては「専門店」と検索するケースが多々あります。

検索結果をみると、それぞれのパンの専門店の案内ページが目立っています。続いて、ポータルサイトのまとめページが露出しています。たとえば、「食パン 専門店」のキーワードでは、銀座に志かわ、乃が美など、原材料や製法にこだわった高級食パンを扱う店舗が上位表示しています。この結果からは、検索ユーザーには、「少し価格が高くてもおいしいパン」を求めるニーズが読み取れ、WEB予約や来店につながりやすい部類のキーワードであると推測できます。こうしたユーザーを確保するためにも、こだわりのパンを提供するパン屋さんは、材料や製法、商品の特徴などを詳しく伝えるコンテンツをホームページ内に設置してください。

また、検索ユーザーは、具体的なパン屋の看板商品をキーワードにして検索することがあります。

パンの原材料にこだわる健康志向のキーワード

これまでも健康志向のブームが繰り返し発生しましたが、直近においては、2020年のコロナ禍で食生活や生活習慣の見直しを意識する消費者が増加しました。また、近年では、小麦粉の過剰摂取が各種疾患の原因となるといわれることなどから、パンの原材料にこだわる消費者が増えています。そこで、健康的にパンを楽しみたい消費者は、下記のように検索します。

検索結果では、ECページがもっとも目立っています。このうち、「全粒粉 パン」のキーワードでは、北海道で手作りパンを提供する、王様のパンの「全粒粉100%の食パン」のECページ、大手パン製造の敷島製パン株式会社の「麦のめぐみ 全粒粉入り食パン」の商品案内ページなどが上位に表示しています。また、キーワードに「パン屋」を指定した場合は、実店舗のパン屋さんが上位に表示される傾向が強くみられます。この結果から、原材料にこだわったパンを提供している事業者は、積極的に原材料をキーワードに設定すべきだとわかります。

パンのトレンドキーワード

菓子パンやパンケーキに代表されるとおり、パンはスイーツの食材として扱われるケースが多々あります。そして、スイーツは、若い女性を中心にトレンドを生み出すことがたびたびあります。過去にトレンドとなった事例としては、下記のようなキーワードが挙げられます。

このうち、パンケーキは、2010年ごろにブームとなったスイーツです。Googleトレンドで「パンケーキ」の検索ボリュームの推移をみてみると、2013年ごろに最大化していることがわかります。具体的には、検索ボリュームを相対的に表したときに、2005年1月のときの指標を「5」（最大100）とすると、2013年4月に「92」まで伸び、2024年11月現在では「39」と推移しています。指標の数値が「39」といっても、2024年11月の検索ボリューム（月間）は67万3,000回と高い検索ニーズを維持しています。このことから、パンケーキは、トレンドに乗ったあとも後退することなく国内で定着したスイーツといえます。一方、マリトッツォは、2021年に流行したスイーツです。もっとも注目を集めた時期は2021年7月で、検索ボリュームが122万回にまで膨らんでいます。ただし、その後、前月対比ベースで減少が続き、2024年11月現在には2万7,100回まで落ち込んでいることから、一過性のブームだったといえます。

いずれにしても、パン屋サイトやパンを販売するECサイトとしては、ブームにあわせて商品展開できたケースにおいて、トレンド対象が最高峰に重要なキーワードに位置づけられます。

地域キーワード

消費者は、おいしいパンを食べたいときに、生活圏内に立地するパン屋を探します。そのため、実店舗のパン屋さんに集客することを考えると、もっとも重要なキーワードが地域キーワードです。

このうち、「パン屋 表参道」のキーワードの検索結果では、国内でマリトッツォを広めたとして知られるアマムダコタン、ミシュラン一つ星シェフの料理を楽しめるパンを提供するMONICAなど全国的にも有名なパン屋が上位表示しています。一方、「柏 パン屋」では、ベーカリーハレビノやエンゼルなど、千葉県の柏市にて地域に根付いて営業するパン屋さんが露出しています。この結果からは、市区町村以下の地域名をキーワードに設定することで、小規模のパン屋さんでも上位表示を狙うことが可能だとわかります。

パン屋で効果的なWEB集客の手法

パン屋において、効果的なWEB施策には下記のようなものがあります。

さらに、販売方式ごとに適切な施策をご紹介していますので、自社のビジネスにあわせて参考にしてください。

高品質の商品を提供して、口コミ的にSNSでバズらせて評判を高める

パン屋のWEB施策としては、SNSツールを利用して注目を集める手法が挙げられます。たとえば、沖縄県の名護市に店舗を構えるNoël（ノエル）は、2024年1月にオープンしたばかりの揚げパン屋として営業しています。同店は顧客からの評判が高く、顧客がインスタグラム（Instagram）のリール投稿やストーリー付けで同店を紹介するケースが多々ある模様です。こうした同店を紹介するリール投稿のなかには、100万回再生を超えた動画も存在します（2024年12月現在では103万回再生）。

 

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ちい｜沖縄グルメ・スイーツ巡り🌺(@chii_oknw)がシェアした投稿

リール動画は、揚げたてでアツアツ、外側はパリパリで、中身はふわふわの揚げパンを楽しめることを伝える内容となっています。この投稿のコメント欄には、「おいしそう」や「行きたい」といった声が寄せられています。こうしたユーザー同士の情報拡散の影響もあって、同店は、オープンから6ヶ月を迎えることができた旨を感謝の意とともに投稿しています。

 

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Noël 【 揚げパン屋さん】 Take-out only🥖(@noel_no_agepan)がシェアした投稿

実際に、「ノエル 揚げパン」の指名検索キーワードの検索数をみてみると、2024年7月までは0件が続いています。しかし、8月以降は、月に数百回ほど検索されるようになっています。こうしたデータからも、インスタグラムでの情報拡散が同店の認知度に寄与していることがわかります。

本ケースは、店舗側がSNS発信を利用したケースと異なります。ただし、高品質の商品を開発して提供することで、顧客が商品に満足し、口コミによる広がりをみせた成功事例といえます。

Googleビジネスプロフィール【パン屋のケース】

Googleビジネスプロフィールとは、店舗や施設情報を集めているサービスのことです。同サービスに自社の店舗情報を登録すると、Googleマップなどに登録内容が掲載されます。そして、この対策は、ローカルSEOの一環として取り入れられ、MEO対策とも呼ばれます。Googleビジネスプロフィールの登録方法は、下記記事で詳しく解説しています。

関連記事：Googleビジネスプロフィールとは？

ポータルサイトに掲載する【パン屋のケース】

パンの関連ワードで検索すると、ポータルサイトのまとめページが上位に表示されることが多々あります。そこで、こうしたページに自店舗やECサイトの情報を掲載できると、一定のアクセス流入を期待できます。まず、パン屋に特化したポータルサイトには、下記のようなメディアがあります。

また、厳密にいうと、一般的なパン屋は飲食店には該当しないのですが、下記のような飲食店の情報を提供するポータルサイトでもパン屋を紹介するケースがあります。

データベース型SEOを導入する【ECのケース】

パンを扱うECサイトを立ち上げるとなると、商品ごとに専用の決済ページを設ける必要があることから、大規模サイトになりがちです。そのため、一般的には、ECサイトにはデータベース型サイトと呼ばれる仕組みが導入されます。そして、データベース型サイトに特化したSEO対策が存在します。東京SEOメーカー（本サイト）では、データベース型サイトのSEO対策を担当し、キーワードランキングに貢献した成功事例を有しています。大規模サイトの立ち上げやリニューアル時には、下記リンク先からご相談ください。

>> データベース型サイトのSEO対策サービス

モールEC内で自社ショップの露出を高める【モールECのケース】

パンの販売でモールEC内のテナントを利用する場合は、モール内で自店舗の露出を増やすテクニックが用いられます。ただし、モールの種類によって、対策方法が異なります。自店舗の環境を踏まえて、下記リンク先の集客施策の解説記事を参考にしてください。

よくある質問（Q＆A）

パン屋とSEO対策に関する、よくある質問をまとめています。
 

まとめ

2020年に端を発したコロナ禍において、パンの市場規模も例外なく影響を受けました。ただし、その後、回復基調をみせて、2023年の時点で2019年以前の水準に戻っています。また、パンの販売方式はさまざまありますが、近年の動きとしては、株式会社パンフォーユーが2020年に提供を開始したパンスクを皮切りに、パンのサブスクリプション販売が話題になりました。新たなビジネスモデルの台頭により、既存のパン屋やパン販売のECサイトの運用事業者としては、SEO対策などの集客施策で顧客を確保することが急務となっています。これから、本格的に集客施策をスタートすることを検討している方は、まずはSEO対策会社に相談してください。

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