拡張現実(AR) を活用したマーケティング戦略8選を徹底解説
拡張現実(AR)はスマートフォンで映している映像にCG映像を加え、仮想空間を表示できる技術です。
従来まではゲームなどの一部の分野で活用されていた方法ですが、近年ではスポーツ関連やブライダル分野、そして研修などの幅広い分野でマーケティング戦略として活用されています。
拡張現実(AR)とは?
AR(Augmented Reality)とは、現実にある画像や映像とCGを合成することによって、現実世界に仮想空間を作る技術のことです。「拡張現実」ともいい、現実世界を基盤として、拡張する形で仮想空間を映し出します。
例えばスマートフォンで撮影している映像にCGの映像を重ねることで、現実では存在しないものを、実在するように見せることが可能となります。
身近なものでは撮影時に顔が加工されるアプリや、店舗にある商品をカメラ越しで確認できるアプリなど、近年ではARを活用したサービスが多いといえるでしょう。
ここでは拡張現実(AR)の特徴について、仮想現実(VR)と比較しながら解説していきます。
仮想現実(VR)との違い
拡張現実(AR)と混合されやすいものが、仮想現実を意味するVRです。VRは「Virtual Reality」の略となり、仮想世界を作り出し、現実のような体験が可能となる技術を指します。
例えばゲームの世界に入り込み、視覚や聴覚を利用して仮想世界でプレイすることはVRを活用した例です。また360度の映像を撮ることで、専用のVRゴーグルから映像を3D空間で体験できる点が特徴になります。
しかしARでは現実世界に仮想空間を映すため、VRのように仮想世界を体験できるわけではありません。あくまで現実世界が軸となり、仮想空間は付加価値にしかすぎない点が大きな違いです。
拡張現実(AR)の種類
ARは現実世界に仮想空間を映し出す仕組みですが、画像や物体、そして空間の認識などデジタルコンテンツを表示するまでの過程は複数あります。
ここではARの種類について、 以下の4つを解説していきます。
- GPS型
- マーカー型
- 物体認識型
- 空間認識型
GPS型
ARのGPS型とは、スマートフォン端末などで位置情報を取得し、設定されたデジタルコンテンツを表示できる仕組みになります。
活用シーンは以下のとおりです。
- マップアプリ
- 位置情報と連動したゲームアプリ
- 建築物や建物
- 観光地
「ある位置に達したらデジタルコンテンツを表示する」などの設定が行え、位置情報にひも付けられた情報を取得できます。また位置情報だけでなく方角や端末の加速度などを組み合わせられ、さまざまな場面で活用できる技術といえるでしょう。
ただし位置情報の精度が重要となるため、GPSが正常に機能していない場合にはコンテンツが表示されないなどのデメリットがあります。
マーカー型
ARのマーカー型とは、事前に登録されたマーカーを認識することで、設定されたデジタルコンテンツを表示できる仕組みになります。
活用シーンは以下のとおりです。
- 現実世界のイベント
- 実店舗
- 画像投稿型のSNS
- 商品やカタログ
マーカーを読み取ると自動で表示されるため、認識されやすく正確にコンテンツを表示できることが特徴です。またマーカーとなる画像や写真を用意するだけとなり、ARのなかでも手軽に作成できる点がメリットといえるでしょう。
ただしマーカーを読み取らなければ表示されないため、照度が影響するなど環境によっては活用できない場合もあります。
物体認識型
ARの物体認識型とは、特定の物体を認識することで、設定されたデジタルコンテンツを表示できる仕組みになります。
活用シーンは以下のとおりです。
- 商品やパッケージ
- 自動車や機械などの産業分野
- フィギュアやおもちゃ
3Dで物体を認識するため、フィギュアやおもちゃであっても立体物であれば活用できます。そのため物理的にマーカーを設置できない状況であっても、ARとしてコンテンツ情報を設定できる点が特徴です。
ただし物体認識型では3Dデータに関する専門的な作業が必要なため、簡単には導入できないことがデメリットといえるでしょう。
空間認識型
ARの空間認識型とは、空間における立体的な情報を認識することで、設定されたデジタルコンテンツを表示できる仕組みになります。
活用シーンは以下のとおりです。
- 現実世界のイベント
- ゲーム
- 家具や家電
- 建築物などの産業分野
カメラやセンサーによって高低差や奥行きなどの現実空間を認識するため、現実のサイズに合わせたコンテンツ情報が表示されます。家具や家電など現実世界で配置を確認したい場合に活用できる技術となり、活用できるシーンは幅広いといえるでしょう。
また近年ではVRゴーグルのように、メガネにARを搭載する開発も進められているため、将来性に期待がもてる技術になります。
拡張現実(AR)を活用したマーケティングのメリット
ARを活用したマーケティングのメリットは、いままでにはないサービスを生み出せるため、顧客へ新しい体験や感動を提供できることです。
例えば家具を製造し販売している企業の場合、従来までの顧客は、来店前に商品の配置場所を採寸する必要がありました。しかしARの空間認識型を活用すれば、自宅内で店舗の商品が合致するかを判断できます。
採寸を行うことだけでなく来店する必要もなくなるため、いままでにはない新しい体験といえるでしょう。
このように従来とはまったく異なるサービスによって、新鮮さや利便性から顧客の満足度を高められ、マーケティング施策として有効活用できる点が強みです。
拡張現実(AR)を活用したマーケティングのデメリット
ARを活用したマーケティングのデメリットとしては、活用方法によって社会に大きな混乱を招いてしまうことです。
例えばAR技術が注目された理由でもあるゲームアプリでは、新しいゲームのスタイルとして驚異的な早さでダウンロードされ、多くのユーザーを獲得しました。
マーケティング戦略としては成功ではあるものの、社会的には歩きスマホや私有地への侵入など、社会的な問題を発生する原因にもなっています。
このように現状ではARを活用したコンテンツが少ないため、社会的なルールが完全には定まっていません。マーケティングとして活用しただけのつもりが、結果的には大きな問題を招いてしまう可能性もあるといえるでしょう。
したがって自社の利益だけを考えるのではなく、顧客が活用する過程やサービスが拡大した先を推測し、社会的な問題にも着目することが重要です。
拡張現実(AR)を活用したマーケティング戦略の作り方
ARマーケティングの戦略を考える際は、以下の手順ですすめましょう。
- 市場の需要やトレンドを理解する
- コンテンツではなく体験を考える
- 顧客目線で商品の見え方を考える
各々、解説していきます。
市場の需要やトレンドを理解する
ARマーケティングの戦略を考えるうえで、まずは市場の需要やトレンドを理解しましょう。
自社のターゲットとなる市場がどのような状況下にあるのか、自社を取り巻く環境はどのように変化しているのか、ビジネス環境を見直すことが重要です。
仮に優れたARの活用方法を考えたとしても、競合他社がすでに結果を出していれば、自社では効果を見込めない可能性もあります。
顧客のニーズも日々変化しているため、戦略を考えるタイミングで最適なアプローチは何であるのか、市場や競合を含めて考えるようにしましょう。
コンテンツではなく体験を考える
ARマーケティングの戦略では、コンテンツではなく、顧客に提供する体験を軸に考えましょう。
一般的なコンテンツであれば、ターゲットとなる顧客のニーズから役立つ情報の発信などを考えます。しかしARマーケティングの場合、強みは顧客体験の提供です。
今までは伝えられなかった情報や、現実でしか感じられない雰囲気など、体験をとおして商品やサービスの魅力を伝えられます。
したがって伝える情報内容を軸におくのではなく、コンテンツを活用する過程や、活用した後に得られる情報や価値観を軸に施策を考えましょう。
顧客目線で商品の見え方を考える
前述につながる内容ですが、ARマーケティングとしてコンテンツを考えた後は、かならず顧客目線で商品の見え方を考えましょう。
マーケティングとして戦略をたてる以上、優れた体験を提供できても、自社の商品やサービスにつながらなければ意味のない状態となります。
例えば自宅で家具を疑似的に配置できるアプリの場合、家具のサイズが合わないのであれば、別のサイズを提案するなど顧客を離脱させない工夫が必要です。
コンテンツをとおしてどのような感情になるのかを考え、最終的なゴールへのプロセスを組んでいきましょう。
拡張現実(AR)を活用したマーケティング戦略8選
ここでは、ARを活用したマーケティング戦略として、8つの事例から詳しく解説していきます。
- 観光
- 不動産
- ブライダル
- スポーツ
- 小売
- 営業
- 研修
- SNS
観光
観光分野では観光地の認知度を向上させる施策として、チラシやパンフレットなど紙媒体の活用が多いといえるでしょう。しかし紙媒体では伝えられる情報が少ないため、ARを組み合わせることで、観光地の具体的なイメージや雰囲気を伝える戦略が効果的です。
施策は以下のとおりです。
- パンフレットにあるスタンプラリーを活用し、位置情報に紐づくARコンテンツによって観光地の歴史を表示する
- パンフレットに示した位置にマーカーを設置し、カメラ越しに見ると観光名所が映し出させる
- カメラ越しにチラシを映すと、マスコットキャラクターが表示される
不動産
不動産分野では、間取りや物件写真など平面の情報だけでは伝えられることに限りがあります。そのためARを活用し立体的に表現することで、効果的に物件の魅力やプロモーションにつなげる戦略が行えます。
施策は以下のとおりです。
- チラシやパンフレットのマーカーを映すと、物件情報のAR動画が閲覧できる
- カメラ越しに間取り図を映すと、立体となって間取りが表示される
- 建築予定の土地をカメラで映すと、完成イメージが実寸モデルで表示される
不動産分野では物理的に場所や空間が影響するからこそ、ARマーケティングは活用の幅が広いといえます。
ブライダル
ブライダル分野では、実際に確認して決めたいと考えている顧客が多いため、ARによって現実に近い情報を伝える戦略が効果的です。具体的にはウェディングドレスや結婚式場のプロモーションとして、ARマーケティングを活用できます。
施策は以下のとおりです。
- ウェディングドレスの雑誌にマーカーを設置し、カメラ越しに見ると実寸サイズのドレスが映し出させる
- カメラ越しに結婚式場のカタログを映すと、式場のAR動画が閲覧できる
- バルーンリリースなど、当日の演出をAR動画によって疑似的に体験する
スポーツ
スポーツ関連はARマーケティングが幅広く活用されている分野の一つです。例えばドームやスタジアムへの来客数増加を目的とし、ARコンテンツによって施設内でしか味わえない体験の提供を戦略としています。
施策は以下のとおりです。
- 施設内のポスターをカメラ越しで映すと、実寸大の選手が表示される
- 位置情報と時間を設定することで、試合開始と同時にオリジナルのARコンテンツが配布される
- 施設内で所定の位置にマーカーを設置し、ARを活用したスタンプラリーの実施
小売
小売分野は、実店舗に訪れなくても商品の試着や質感などを確認できる施策を実施し、オンライン上で商品選びから購入までを完結できる戦略が効果的です。
施策は以下になります。
- スマートフォン上でバーチャル試着を行えるシステム
- カメラ越しに自宅内を映すと、選択した商品が実寸サイズで表示される
- パンフレットのマーカーを映すと、商品の詳細な情報が表示される
オンラインショッピングの市場が拡大していることもあり、ARを活用したマーケティング施策は親和性が高く、商品の販売促進を行う手段としておすすめです。
営業
営業分野では、一般的に営業資料やパンフレットなどの紙媒体を用いることが多いといえます。一見ARは活用しづらいと感じますが、自社の印象を残すことや商品への理解を深める戦略として、紙媒体の代わりにAR動画やコンテンツの活用は効果的です。
施策は以下になります。
- 営業資料や名刺にマーカーを設置し、カメラ越しに移すと企業情報や個人の自己紹介などが表示される
- カメラ越しにカタログを映すと、実寸サイズの商品が表示される
研修
研修では、イレギュラーな場合の対応練習や、現実では実施できない実務的な作業を行う際にARの活用が効果的です。
本来は上司と行動しなければ学べないことなど、研修で行えることには限度があります。しかしARの活用によって研修の幅が広がり、研修制度が充実した企業というイメージ戦略が立てられるでしょう。
施策は以下のとおりです。
- 医療現場におけるARを活用したバーチャル手術
- 現場で起こりやすい事故の疑似体験
SNS
SNSは最もAR技術が身近なサービスといえるほど、活用する機会が多い分野になります。
一般的にはカメラを利用する際に使われているAR技術ですが、その他にもAR広告などさまざまな面で活用の幅が広がっています。企業であれば自社のプロモーション戦略として、SNSのAR広告を有効活用できるでしょう。
AR広告であれば一般的なWeb広告以上に注目を集めやすいため、認知度の向上には効果的です。また企業の印象を植え付けやすく、企業ブランディングとして戦略を考える際にもおすすめです。
まとめ
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