海外サイトからの被リンクがあったときの対処法
海外サイトからの被リンクとは、他国のウェブサイトが自社のサイトへリンクを設置することを指します。SEO(検索エンジン最適化)において、この被リンクはサイトの評価に影響を与える重要な要素の一つとされています。しかし、すべての被リンクが有益であるわけではなく、特に海外からのリンクにはスパムや低品質なサイトからのものが含まれる場合があり、注意が必要です。
被リンクのSEO効果
被リンクとは、外部サイトから自社サイトにリンクを張ってもらうことです。被リンクが多いほど自社サイトが参照されているということになるため、他サイトから評価されていると判断される重要な指標となっています。
2010年代頃までは被リンクの多さがサイトの強さという側面もあったため、どのように被リンクを集めるかがSEO対策の主流でした。現在でも被リンクはサイトの強さを表す指標ではありますが、依然と比較すると被リンクよりもコンテンツやサイト全体の最適化のほうが重視される傾向にあります。それでも被リンクを強化することはSEO対策に繋がるため、多くのサイトが被リンク確保のための施策を行っています。
ただし、被リンクは単に多ければよいという性質のものではありません。自社と関連性の高いコンテンツからの被リンクでなければ評価は低く、スパムサイトからの被リンクは逆に評価を下げるという声もあります。特に海外サイトには不自然なサイトやスパムサイトが多く、本来海外から日本のサイトを参照することは少ないため、海外サイトからの被リンクは警戒が必要なことがあります。
SEOにおける被リンクの重要性
基本的に被リンクをされて悪影響を受けることはありません。被リンクが多いほど自社サイトの評価が高くなる傾向は依然強く、SEOにおける重要な指標になっていることは変わりがありません。Googleは被リンクが多いほど自社サイトが評価されているという判断をしますので、検索結果の順位にも影響を及ぼします。
良い評価を受ける被リンクは、評価の高いサイトからの被リンクや自社サイトと関連性の高いサイトからの被リンクです。この2つの被リンクを増やすことで信頼性や権威性を確保することができ、結果的にプラスに作用します。
また、被リンクがあるということは他社サイトから自社サイトへの導線が増えるということです。立ち上げて間もないサイトであればGoogleを始めとした検索エンジンから見つけてもらうまでに時間がかかることもあり、被リンクがあるかないかはGoogleから最初の評価を受けるまでの期間に影響します。被リンクがあるということはクローラビリティ(検索エンジンからのクロールしやすさ)に影響するため、その意味でも被リンクは多いほうがよいといえます。
被リンクをチェックする方法
被リンクをチェックする方法はいくつかありますが、大別すればGoogleサーチコンソールを使う方法と外部ツールを使う方法に分けられます。
Googleサーチコンソールでは、画面左メニューの「リンク」をクリックすることで外部リンク、リンク元サイト、リンク元のアンカーテキストが確認できます。リンクをされても即時反映されるわけではありませんが、基本的にGoogleが認識している自社サイトの被リンクはGoogleサーチコンソールで確認できるため、多くの場合にはGoogleサーチコンソールが利用されます。
Googleサーチコンソール以外の方法で被リンクを確認する場合には、次のようなツールが使われます。
- Ahrefs
- SEMrush
- MOZ
- Ubersuggest
いずれも有料ツールですが、期間限定で無料版を使うこともできます。SEOツールですので被リンクチェック以外にも機能が多く、非常に有用ではありますが、自社サイトの被リンクをチェックするためだけに有料版を利用することは推奨できません。競合サイトのチェック、自社サイトの深い分析などをする場合には課金を行ってください。Googleサーチコンソールと大きく違うのは精度の高さです。特にAhrefsは被リンクをチェックするには非常に強く、Googleサーチコンソールで検出できないものや古いリンクであっても確認できることがありますので、網羅的にチェックする必要がある場合には有用なツールといえます。
海外サイトからの被リンクの危険性
基本的に日本国内向けのサイトであれば、海外からのリンクを受けることはほとんどありません。その意味で海外サイトからの被リンクがあった場合にはスパムと考えるのが妥当です。しかし、海外に向けたサイトの場合には被リンクを受けることがありますが、海外からのリンクだという理由だけでスパムと判定するのは早計です。
海外からの大量の不審なリンクがあった場合、多くの場合はスパムリンクです。そのため、本質的に意味のあるリンクと意味のないリンク(スパムリンクや不自然なリンク)を精査することでリンクを否認することができます(後述)。不要なリンクを否認することでサイトへの悪影響をゼロの戻すという作業が発生していた時代もありましたが、現在ではGoogleの精度が上がり、スパムリンクかどうかは自動的に判別され、悪質なリンクは無効化されています。
そのため、海外からの被リンクを受けたとしても通常は危険性は低く、特別な対応は不要です。しかし、ネガティブSEO(逆SEO)という言葉もあるように、特定のサイトに対して悪意のある手法で順位を下げるという手法は現在でも存在しているため、ペナルティ解除の際や海外からの大量の不審なリンクを手動で無効化する必要がある際など、例外的にリンク否認の対応が必要にあることはあります。
海外からの被リンクの種類
海外からの被リンクはスパムリンクであることが多く、短期間に大量にリンクされることが特徴です。コンテンツそのものには意味がなく、リンクをする必要もないサイトからのものです。見た目もリンク手法も明らかに不自然ですので、一目でスパムだとわかるような形式のものが多く、特に次のようなサイトが多いのが特徴です。
- ワードサラダ:文法的には正しくても意味が支離滅裂な文章だけのコンテンツで構成されたサイトからのリンクにはSEO効果はありません。検索エンジンだけを対象にしたサイトですが、日本国内では現在ではほとんど見られなくなりました。
- 掲示板型サイト:掲示板型でリンクのみが羅列されたリンク集のようなサイト。コンテンツと呼べるものはほとんどなく、リンクのみが延々と貼り続けられています。
- アダルトサイト:海外サイトではアダルトサイトからの被リンクが多く、ほとんどのケースでスパムリンクに該当します。
海外リンクの注意点
海外サイトからの不審な被リンクがあったとしても危険性が低いことは前述していますが、大量の海外リンクが付いている場合やネガティブSEOの疑いがある場合には、被リンクを否認する必要があります。海外サイトからのリンクであってもプラスに作用するものもあるため、単に海外からのリンクというだけで否認することは自社サイトの検索順位に悪影響を及ぼす可能性があるため、次の3つの観点でリンク元を確認し、否認する必要があるかどうかを確認してください。
関連性の低いページからの被リンク
海外からかどうかに関わらず、自社サイトと関連性の低いページからの被リンクにはSEO効果がありません。そのため、IT関連のサイトであればIT関連のページからのリンク、グルメ系サイトであればグルメ系ページからのリンクである必要があります。
重要なことは、リンク元はサイトではなくページで判断するということです。例えば、IT系メディアであってもコンテンツによってはグルメのページが存在することはありえます。この場合、IT系メディアではありますが、グルメページからであればグルメ系サイトへのリンクにはSEO効果が見込めます。関連性の高いか薄いかはページを目視確認すればわかりますので、後述する否認対応をする場合の参考にしてください。
質の悪い被リンク
被リンクによってSEO効果を見込むには質と量が必要です。しかし、どちらかといえば量よりも質のほうが重視されます。そのため、検索順位を上げようと思って被リンクの数を集めることは避けるべきです。質の良し悪しの判断は難しいですが、1つの方法としてドメインパワー(ドメインオーソリティやドメインレーティング)などを確認し、数値が低いサイトからのリンクであれば質が高くないと判断できます。
ただし、立ち上げたばかりのサイトであればドメインパワーが低いのは当然のことですので、現時点で質が高いのか低いのかではなく、コンテンツの中身、サイトの更新頻度、管理者の熱意などを総合的に判断する必要があります。
逆をいえば、ドメインパワーが高くてもコンテンツの中身が薄いページからの被リンクはSEO効果が見込めない可能性が高く、海外サイトではこの傾向が強いため注意が必要です。
※ドメインパワーが高い場合でも、中古ドメインを利用している可能性があるのでドメインパワーだけでは判断できません。
中古ドメインを利用したサイトからの被リンク
ドメインパワーが高いサイトは検索エンジンからも高い評価を受ける傾向にあるため、ドメインパワーが高いドメインは高額で取引されることがあります。しかし、中古ドメインには前のサイトの被リンクが残っていることが通常であり、特に海外サイトに利用されていたドメインには大量の海外リンクがついていることが通常です。
海外サイトからの被リンクがあることがマイナスというわけではありませんが、自社にリンクしているサイトの被リンクまで確認することは難しいことが多く、ドメインパワーよりも運営が問題ないか、コンテンツが自然かどうかを確認する必要があります。
海外サイトからの被リンクの対処法
通常は海外サイトからの被リンクであっても特別な対応は必要ありませんが、明らかに不自然な被リンクが大量についている場合には自社サイトに悪影響を及ぼす可能性があることも事実です。そのため、不自然なリンクが付いている場合には、リンク元に削除要請をする必要がありますが、それでも不自然なリンクが残っている場合にはリンク否認をすることで悪影響を避けることができます。
なお、Googleは公式でリンク否認の必要性については次のように明言しています。
次の場合にのみ、バックリンクを否認する必要があります。
サイトに対して、スパム行為のあるリンク、人為的リンク、品質が低いリンクが数多くある。
かつ
そのようなリンクが、自分のサイトで手動の対策を行わなければならない原因となっている、または今後、手動による対策を行わなければならなくなる可能性がある場合。
引用:サイトへのリンクを否認する(Search Consoleヘルプ)
つまり、スパムリンクでなくとも品質が極端に低いサイトが大量にある場合にはリンク否認をする意味があると読めます。そのため、どのサイトがスパムであるか、低品質であるかを確認し、Googleのリンク否認ツールからリストを登録することで海外サイトからの被リンクに対処できます。
否認するリンクのリスト作成
まずはリンクを確認する必要があるため、サーチコンソールで「リンク」、「外部リンクをエクスポート」、「その他サンプルリンク」を順にクリックして外部リンク一覧を取得してください。
このリンクを1つずつ精査し、以下のルールに基づいたテキストファイルを作る必要があります。
- 1行につき1つのURLまたはドメインを記入する
- ファイルはUTF-8でエンコードされたテキストファイルにする
- ファイル名は任意ですが、拡張子は.txtにする
- URLの長さは最大で2048文字まで
- 最大で10万行またはファイルサイズ2MBまで
例えば、次のように否認したいURLをすべて記述しても問題ありませんが、リンクを否認する場合、特定のページだけではなくドメイン全体を否認しても構いません。
https://www.switchitmaker2.com/111111/
https://www.switchitmaker2.com/22222/
https://www.switchitmaker2.com/33333/
ドメイン全体を否認する場合には domain: を使って次のように記述できます。
domain:switchitmaker2.com
サーチコンソールで取得したリンクリストをエクセルでソートして、同じドメインを1行で記述するのが早いのですが、高品質ページからのリンクや関連性の高いサイトからのリンクを否認すると自社サイトの評価が下がる可能性があります。そのため、海外サイトからのリンクであっても否認するかどうかは慎重に検討してください。
また、海外サイトはアクセスすることでマルウェアやウィルスに感染してしまうケースがあります。そのため、直接アクセスすることは危険であることも多く、次のような代理アクセスツールを使って安全かどうかを確認する方法もあります。
- aguse
- SecURL
- VirusTotal
否認リストのアップロード
否認するリンクのリストを作ったら、リンク否認ツールにリストをアップロードする必要があります。該当のプロパティ(サイトのこと)を選択し、右下の「否認リストをアップロード」からテキストファイルを送信してください。
登録自体はすぐに終わりますが、実際に否認されるまでには数週間かかります。そのため、実際にリンクを否認した効果が出るのは数週間以上かかるのが通常です。
まとめ