ABテストとは?ABテストを実施するメリットやツールについて解説
WEBマーケティングにおいて、コンバージョンを高めるには、ABテストが必要です。ABテストは、WebサイトやLP(ランディングページ)で行う施策で、デザインやキャッチや文章を複数パターン用意して比較するテストです。
どちらのパターンが、コンバージョン率が上がるか比較検討して成果を検証します。SEOでセッション数があるWebページや、リスティング広告のランディングページをABテストすることによりコンバージョンが上がる優れたUIとUXに近づけていきます。
ABテストとは
そもそもABテストとは、どのようなことを指しているのでしょうか。
ABテストとは、WEBページなどでパターンAとBを用意し、ユーザーの反応が良いのはどちらかを判定するテストのことです。
例えば、自社で掃除機を販売しているので、その販売ページをABテストするとします。その場合、同じ掃除機を販売するパターンAとBの2種類を用意します。
パターンAでは赤色の掃除機を画像として掲載します。パターンBでは青色の掃除機を掲載します。レイアウトなどもあえて変えます。そして、掃除機ページにアクセスしてきたユーザーに対して、ランダムにパターンAとBを表示させます。
一定期間、テストを行ったあとで、それぞれのページのコンバージョン率を比較します。このように2種類以上のパターンを用意して、コンバージョン率がより高いのはどちらかを調べるのがABテストです。
ABテストの目的
ABテストは、クリック率とコンバージョン率を向上させるために行います。ユーザーがパターンAとBのどちらで反応するのかを統計的に分析し、その結果をWEBマーケテイングに活かします。
WEBマーケテイングにおいては、SEO対策やWEB広告などの集客と同等に、コンバージョン率を高めることが最重要課題です。
ABテストの対象
ABテストの対象となるものについて主に次の3つをテストします。
- WEB広告
- 無料オファーページ
- 商品販売ページ
WEB広告
リスティング広告やディスプレイ広告など、WEB広告はさまざまなタイプがありますがどれもABテストをして効果的な広告レイアウトを見つけていきます。
ABテストを行うために、WEB広告のテキストや画像、色やレイアウトを変えたパターンを複数用意します。
例えば、掃除機を販売するWEB広告であれば、次のように異なる文言(キャッチ)の2パターンを用意します。
- パターンA:今月在庫残り3台。吸引力が抜群の掃除機
- パターンB:下取りOK。吸引力に自信があります
上記の広告をランダムに表示し、どちらがクリック率が高いのかを検証します。これを繰り返すことで、クリック率を上昇させていくことができます。
キャッチ以外にも、広告レイアウトや色を変えたパターンを試します。
メール広告でABテストを実施する場合は、メールリストを半分に分け、それぞれに異なるパターンのメールを送ることでテストが可能です。
無料オファーページ
資料請求やメールマガジンの登録ページをABテストすることがあります。どちらの方が資料請求率が高いか、メールマガジンの登録率が高いかなどを調べます。
このようなページは主にランディングページとして利用されることが多いため、広告のABテストと連動させて実施します。
商品販売ページ
商品販売ページはABテストの対象です。商品画像を変えたり、キャッチコピーを変えたりすることで、どのパターンでコンバージョン率が高いのかを調べます。
商品販売ページのなかでも、主に次の要素をテストすることが多いです。
- キャッチコピー
- サブキャッチ
- 商品画像
- ブレット(メリットをまとめたもの)
- ボタンの色
いずれもコンバージョン率に大きく影響する要素です。
ABテストの種類
ABテストは、その実施方法によって次の2種類があります。
- 期間別テスト
- 同時テスト
期間別テスト
期間別テストとは、パターンAとBでテスト期間を分けておこなうものです。例えば、4月はパターンAのページを表示し、5月はパターンBを表示させるなどのように実施します。
このように期間を分けてテストすることで、特別なツールを利用することなく簡単にテストを行えるのが特徴です。
ただし、テスト期間が異なるため、データを単純に比較できない場合があります。例えば季節商品を扱う場合は、元々時期ごとに販売数が変動するため、期間別テストは不向きです。
同時テスト
パターンAとBを同時期にテストする方法です。例えば4月にWEBサイトを訪問したユーザーに対して、交互にパターンAとBのページを表示させます。
通常、ABテストをおこなうためのツールを利用することでこれを実現します。
同時テストの場合、基本的には表示したページ以外の要因が同じなので、より正確な結果をえることができます。
ABテストのやり方
ABテストの実施方法は、次のとおりです。
- 仮説を立てる
- ABテストを実行する
- ABテストの効果を検証する
- ABテストの結果をもとに改善する
仮説を立てる
ABテストを実施する前に、仮説を立てる必要があります。ある箇所を変えれば、コンバージョン率が向上するのではないかという仮説です。
例えば次のような仮説を立てることが考えられます。
- バナーの色を赤色から緑色に変えれば、WEBサイト全体のデザインにあっているのでコンバージョン率が向上するのではないか
- キャッチコピーにもっとメリットを入れた方が、今よりもコンバージョン率が向上するのではないか
こういった仮説を立てることが最初のステップです。コンバージョンボタンは赤より緑の方が良いと言われています。
ABテストを実行する
仮説に基づいて、パターンAとBを用意します。例えば、バナーの色を赤色にしたものをパターンAと決め、緑色をBと決めます。
このように2つのパターンを用意して、GoogleオプティマイズなどのABテストツールを利用して実行します。
また、期間別テストで実施する場合は、パターンAで表示する期間を決め、それと同一の日数をBで表示します。
例えば、4月1日から30日までの30日間をパターンAで表示。5月1日から5月30日までをパターンBで表示するように決めます。
ABテストの効果を検証する
一定期間、テストを行えばどちらのコンバージョン率が高いのか判定することができます。
WEB広告やABテストツールを利用すれば検証結果を自動で判定してもらえますが、利用しない場合は自社で結果を比較して、どちらが良いかを判断します。
ただし、WEBサイトのアクセス数が少ない場合は母数が少ないため、テスト結果が判明するまで長期間かかります。
ABテストの結果をもとに改善する
結果が判明すれば、そのコンバージョン率が高い方のデザインや文言をページに反映します。
このように、テスト結果をもとにコンバージョン率を高めていけば、着実に売上の向上に結びつけることができます。
効果的なABテストをおこなうための注意点
効果的にABテストをおこなうには、いくつかの注意点があります。次のことを守ってテストを行ってください。
複数箇所を同時に変えない
複数箇所を変えたパターンAとBをテストすることは好ましくありません。なぜなら、どの要素が影響してコンバージョン率に差がついたのかを正確に検証することが難しいからです。
例えば、キャッチコピーとバナーの色、料金という3つの要素を同時に変えてABテストを行っても、どの要素がコンバージョン率向上に貢献したのかを簡単には識別できません。
そのため、ABテスト1回で検証できるのは1箇所までと決めておきます。
誤差程度しか生じないこともある
ABテストを実施しても、必ずどちらかのパターンでコンバージョン率が高くなるとは限りません。統計的に有意な差が生まれず、どちらでも大差ないということもあります。
その場合は、テストを中断し、別の箇所のテストに移行した方が妥当です。
母数が少ない内にテストをやめない
ABテストを実施した対象者が少ない時は、安易に善し悪しを判定しないよう注意してください。
例えば、テスト初期の段階ではパターンAのコンバージョン率が高くても、それは偶然そうなっているだけということも考えられます。母数が増えていくことで、テスト結果が逆転することも多々あるので注意してください。
ABテストツールの選び方
ABテストを実施する場合、期間別テストなら特にツールは必要ありません。自社で期日を決めて、ページ内容を変更すればテストの実施が可能だからです。
一方、同時テストをおこなう場合はツールを使う必要があります。ツールにはさまざまな種類がありますが、選択の基準は次の3つです。
- 機能
- 料金
- カスタマーサポート
機能
ツールによって機能が異なります。ABテストだけできれば良いのか、それとも別の分析やテストも行いたいのかなど自社の希望に応じてツールを決めます。
ABテスト以外の機能としては、次のようなものがあります。
ツール名 | 機能 |
ヒートマップ | ユーザーがページのどの辺りまで見たのかを調べられる |
録画 | ユーザーのサイト内で、どう動いているか録画 |
パーソナライズ | WEBサイトに訪問したユーザー属性に応じて、表示させるページを変える |
ポップアップ機能 | 指定したページにポップアップを表示させる |
EFO | 申し込みフォームのコンジージョン率を向上させるための機能 |
料金
ABテストツールは、長期間にわたり利用することが想定されます。そのため、会社でツールを導入する際、毎月いくらの予算までなら費やせるのか事前に検討しておく必要があります。
カスタマーサポート
多機能なツールを選ぶ場合、カスタマーサポートが充実しているかどうかも重要です。ツールの使い方はもちろん、テスト結果をどうWEBマーケテイングに活かせば良いのかなど、幅広くアドバイスをもらえるのかも重要な選択基準です。
ABテストの実施におすすめのツール
ABテストツールを自社で導入する場合、おすすめは次の3つです。
Googleオプティマイズ
Googleオプティマイズは、GoogleAnalyticsやGoogle広告と連携が行えます。
連携できることが最大の利点で、各データをまたいでどこを改善すれば良いのか短期間で把握できます。
ABテストを実施する際は、3パターン以上のページを同時にテストすることも可能です。例えば、A、B、Cの3パターンを用意し、それぞれのページをランダムにユーザーに対して表示させることができます。
応用的な機能としては、多変量テストがあります。これは、まったく異なるページを検証する機能です。ページの大幅リニューアルなどを検討している際に有効です。
Visual Website Optimizer
Visual Website Optimizerでは、HTMLやCSSを変更することなく、ABテストが行えます。
コンテンツ内容を変えずにテストの実施ができるため、SEO対策を行っているページなどに向いています。ただし、海外サイトのため英語に抵抗がない場合に限られます。
Sitest
Sitestは、アジアでの導入実績が600,000サイトを突破しています。非常に多機能なツールで、ABテストだけでなく、ヒートマップ解析や録画機能などが使えます。
レポート機能も充実しており、社内で情報を共有するのにも活用できます。
ABテストの実施事例
ABテストの事例として弊社の事例とdesignforfounders-comより一部引用してご紹介します。
東京SEOメーカーのバナー
お問い合わせが全くなかったサイドバナーをデザイン修正したところ、平均月0件→月3件に大幅コンバージョン数がアップしました。
Groove のランディングページの再設計
Groove のコンバージョン率は 2.3% から 4.3% に増加しました。
HumanaのバナーABテスト
シンプルなデザインと強力な CTA により、クリック率が 433% 増加しました。
まとめ
ABテストはWEBマーケティングにおいて、コンバージョン率を高めるために必要な施策です。1回テストをするごとに、コンバージョン率の高いページに変えていくことができるので、売上にも直結します。テストを正しくおこなうにはさまざまな注意点がありますが、今回の記事を参考に社内でABテストの導入を考えてみてください。小さな修正のABテストが思わぬ結果をもたらすことがあります。ちょっとしたことを変更しただけでコンバージョン率が大幅に良くなるケースも多いです。色々なテストを試してください。