ページエクスペリエンス最適化を解説【上級SEO対策向け】
上級SEO対策ガイドラインは全部で以下のような6コンテンツで構成いたします。ご自身に必要な記事をご確認ください。
ページエクスペリエンスのランキングへの影響
Googleのランキングにはコンテンツの品質が大きくかかわりますが、それ以外の内部的な要素としてはページエクスペリエンスが大きくかかわります。
よくページ速度が重要と指摘されますが、速度以外にもSSL化、モバイルフレンドリー対応、コアウェブバイタルなど指標は多く、すべてが満点でなくても構いませんが、上位化できているサイトは極端に悪い数値が出ていないことがよくあります。
ただし、重要度としてはコンテンツの方が高く、ページエクスペリエンスが高いからといって低品質のコンテンツが高く評価されるということはありません。
とはいえ同程度の品質で戦う場合にはエクスペリエンスが優れている方が有利になることは間違いなく、ランキングには大きくかかわらなくてもコンバージョンには影響する可能性が高いためサイトの定期的な確認は重要です。
ページ エクスペリエンス シグナル
ページエクスペリエンスが優れていると判断されるには次のようなシグナルを改善する必要があります。
コアウェブバイタル
ページエクスペリエンスという意味ではコアウェブバイタルの3つの指標は特に重要です。
- Largest Contentful Paint(LCP):最大コンテンツの描画と訳されます。読み込みパフォーマンスの尺度で、最大コンテンツが表示されるまでの時間を意味します。目標はページの読み込み開始から 2.5 秒以内。
- First Input Delay(FID):初回入力遅延と訳されます。ユーザーがアクションした際の反応速度を意味します。目標は100 ミリ秒未満。
- Cumulative Layout Shift(CLS):累積レイアウト変更と訳されます。予期せぬレイアウトのズレの指標です。CLSスコアの目標は0.1未満です。
モバイルフレンドリー
サイトのモバイルにしているかどうかがモバイルフレンドリーの基準です。
レスポンシブが推奨されることが多いですが、必ずしもレスポンシブが正解ではありません。ユーザーのことを考えたうえで別URLを作成しても方法が間違っていなければ評価が低くなったり、評価が分散されることはありません。
HTTPS(SSL化)
サイトをHTTPSで配信しているか(SSL化されているか)どうかが基準です。
2021年ではHTTPS配信ではないサイトを警告出すブラウザも出てきていますので早い段階での改善が求められます。
インタースティシャル
インタースティシャルはユーザーがコンテンツにアクセスすることの阻害になります。そのため、使いどころを間違えるとエクスペリエンスが悪くなります。
モバイルフレンドリーにする理由
今やWEBの中心はモバイルになりつつあります。分野によっては現在でもパソコン版の方がアクセスが多いということはありますが、モバイルユーザーが増えている以上はモバイルフレンドリーにすることがエクスペリエンス向上につながります。
特にモバイルサイトを用意していない場合にはスマートフォンでは見づらいというようなことも起きるため、離脱やコンバージョンに影響する可能性が高く対応は必須といえます。
パソコンとモバイルでコンテンツが同じにする
レスポンシブデザインにしている場合にはパソコンでアクセスしてもモバイルでアクセスしても同じコンテンツが表示されますが、URLを別で管理している場合には注意が必要です。
パソコンとモバイルでは同じコンテンツを配信して、片方にcanonicalするのが原則ですので忘れないようにしましょう。
モバイルフレンドリーの注意点
パソコンサイトとしても問題なくてもモバイルサイトとしては問題があるということが起こり得ます。モバイルフレンドリーの陥りがちな間違いを説明します。
ビューポートを正しく設定する
画面サイズはユーザーにより異なるのでビューポートを設定する必要がありますが、ビューポートの値を固定で設定したり、現実的ではない数値を設定されているケースがあります。
必ずしも間違いではないこともありますが、多くの場合はデバイスに合わせて拡大縮小する必要があります。
フォントサイズが小さい
一般に文字サイズが小さいと読みづらくなります。フォントサイズはすべて16px以上が推奨されますが、少なくともメインコンテンツが小さくて読めないというような事態は避けてください。
タップ要素の配置が近すぎる
パソコンでは問題なくてもモバイルで見るとボタンやリンク同士が近すぎてタップを間違えてしまう可能性があります。ボタンサイズや間隔については注意しましょう。
JavaScript、CSS、画像のファイルのブロック
正しくレンダリングし、評価されるにはサイトで使用しているJavascript、css、画像などのファイルはアクセスできるようにする必要があります。
robots.txtでアクセス制限をかけてしまうとレンダリングやインデックスを阻害することになり、ランキングに悪影響を及ぼすことがあります。
再生できないコンテンツ
パソコンでは問題なく再生できてもモバイルでは再生できないコンテンツというものが存在します。サポートしているかどうかはデバイスやブラウザによりますので、どのようなデバイスでも再生できることが重要です。
リダイレクトの誤り
レスポンシブ対応していればパソコン版でもモバイル版でもURLは同じですが、それぞれを分けている場合にはURLが2つ存在します。そして、モバイルデバイスでパソコン版URLにアクセスした場合にリダイレクトすることがあります。
このときに対応するスマートフォン用のURLがない場合には何もせずにパソコン版URLを表示する方が問題が起こりません。
なお、レスポンシブデザインを取り入れることでリダイレクト問題が解消されます。URLを統一し、canonical設定の誤り時に評価分散するということを避けるためにも可能であればレスポンシブ対応をお勧めいたします。
インタースティシャルの回避
広告や登録フォームなどがコンテンツを覆い、本来のコンテンツに戻りづらいというようなことが起きれば良いエクスペリエンスとはいえません。
特にモバイルではインタースティシャルはエクスペリエンスを損なうことが多く、お勧めいたしません。
不適切な内部リンク
パソコン用URLとモバイル用URLを別に設定する場合、パソコン用サイトからモバイル用ページへのリンクを貼ったり、反対にモバイル用サイトからパソコン用ページへのリンクを貼ったりすることがあります。
これは不適切なリンクであり、ユーザーエクスペリエンスを損なうことになるためリンクを正しく貼り直す必要があります。
なお、このような不具合を避けるためにもレスポンシブデザインは有効です。
表示速度の遅いページ
ページの表示速度は離脱率に大きくかかわる重要指標です。速度が遅いからと言ってランキングに重大な影響を及ぼすということはありませんがユーザーエクスペリエンス向上のためには意識して修正してください。
※表示速度が極端に遅い場合にはランキングに悪影響が出ることがあります。
セキュリティと検索結果
セキュリティを向上させたとしてもランキングが向上することはほとんどありませんが、セキュリティホールを突かれて悪意のあるサイトにハッキングされてしまった場合にはランキングが下がる可能性があります。
ユーザーエクスペリエンスも悪化してしまい、最悪サイト閉鎖に追い込まれることがありますのでサイト管理者は意識して対策するようにしてください。
HTTPSを実装する際の確認事項
HTTPSはデバイスとサイトの間で送受信されるデータの整合性と機密性を確保するプロトコルです。SSL化(常時HTTPS化)とも呼ばれますが、HTTPからHTTPSにすることでサイトの安全性を高めることができます。
Chrome、Safari、Firefox、Edgeなどの主要ブラウザでは、HTTPS化されていないサイトに警告を表示を表示するように仕様が変わっていますし、HTTPS化されているサイトはHTTPのサイトと比較するとランキング結果も良い傾向にあります。
SEO効果だけ言えば常時HTTPS化の恩恵はほとんどありませんが、将来的にHTTPが優遇されるようになることはありませんので、早い段階でHTTPS化することを強く推奨いたします。
堅固なセキュリティ証明書を使用する
HTTPSを有効にするにはセキュリティ証明書を取得する必要があります。
証明書は認証局(CA:Certificate AuthorityまたはCertification Authority)が発行します。発行の際にサイトを本当に所有していることを証明する手続きが必要となりますので、この証明によりサイトを保護する仕組みです。
セキュリティ証明書を発行できるCAはいくつかありますが、有料であっても無料であっても暗号の強度は同じです。そのため、無料のセキュリティ証明書であるからセキュリティ的に問題があるということはありませんが、サポート体制や更新方法が異なったりします。
サーバー側のリダイレクトの活用
サーバーのリダイレクト機能を利用して、HTTPページからHTTPSページにリダイレクトします。サイト側でも設定は可能ですが、サーバーで設定したほうが正確で早いことが多く、サイト側で設定するメリットはほとんどありません。
検索エンジンがクロール、インデックス登録できるかを確認する
サーチコンソールのURL 検査ツールを利用することでGoogleがページにアクセスできるかを確認できます。
HTTPS化を行ったことで特別な設定変更は必要ありませんが、robots.txtやnoindexなどによりアクセスやインデックスの拒否をしていないかどうかも確認してください。
HSTS をサポートする
HTTPS化しているサイトではHSTS(HTTP Strict Transport Security)の利用が推奨されています。HSTSはアドレスにhttpで入力された場合でも自動的にhttpsページをリクエストできる仕組みのことです。
リダイレクト設定を正しく行っていればhttpを入力されてもhttpsに飛ばすことができますが、最初にhttpのアドレスを送信した時点でcookieの取得やフィッシングサイトへのリダイレクトを行われる可能性があるのに対し、HSTSを行うことで防ぐことが可能です。
HTTPからHTTPSへの移行
設定され施されていればHTTPへのアクセスはHTTPSに転送されますのでユーザー側には問題はありません。
しかし、HTTPとHTTPSはサーチコンソールでは別々に扱われるため、新規で設定し直す必要がありますし、データの共有も行われません。その他のツールやサイト外部に掲載されているURLなども可能な限り修正したほうがよいでしょう。
ハッキングされたコンテンツと検索結果
サイトセキュリティに脆弱性があったことで気が付かない間にサイト上に知らないコンテンツが置かれていることがあります。このようなコンテンツをハッキングされたコンテンツと呼び、Googleはこのようなコンテンツを検索結果に表示しないようにしています。
そのため、ハッキングされないようなセキュリティを構築することが第一であり、万が一にハッキングされた場合にはクリーンアップ、除外、場合によってはコンテンツの隔離も必要です。
特にWordPressがハッキングされるとサーバー内に自動的に増殖するコンテンツが配置されてしまい、手作業での管理が困難になり、最終的には閉鎖もしくは、完全にクリーンにした上での再構築が必要になる場合もあります。
ハッキングの例として次のようなものがあります。
コンテンツの挿入
既存ページに悪意のあるコンテンツを挿入しようとすることがあります。多くの場合JavaScriptを挿入するか、iframeに挿入するという形で行われます。
コンテンツの追加
ハッカーがスパムコンテンツや悪意のあるコンテンツを勝手に追加するようなことがあります。多くの場合、検索エンジンを操作することを意図して作られており、他のページに影響がなくとも特定のページへアクセスしたユーザーに悪影響を及ぼす可能性があります。場合によってはサイト全体のパフォーマンスが低下することでランキングに影響が出るということもありえます。
隠しコンテンツ
既存ページにコンテンツを勝手に追加するのですが、ユーザーや管理者にはわからないようにCSSを使って隠しテキスト、隠しリンクを追加することがあります。このような手法はブラックハットと呼ばれるやり方で程度が酷いとランキングに影響が出たり、ペナルティを受けたりすることがあります。
リダイレクト
スパムページにリダイレクトをするというコードを挿入してくることがあります。厄介なことに流入経路によりリダイレクトされたり、されなかったりすることがあるので発見が遅れることが多く、ランキングにも影響が出る可能性があります。
マルウェアと望ましくないソフトウェア
Googleは、ユーザーエクスペリエンスに悪影響を及ぼすソフトウェアやな実行ファイルを確認し、管理者に通知しています。正しい運用をしていればほとんど関わることはありませんが、通知が来た時には迅速な対応が求められます。
マルウェアとは
マルウェアとはユーザーに対して有害な影響を与えることを目的として作られたソフトウェアのことです。ユーザーの同意なしにインストールする、ウイルスを勝手にをインストールするなど、悪意のある動作をします。
望ましくないソフトウェアとは
望ましくないソフトウェアとは、不正な行為や予期しない動作などにより悪影響を及ぼす動作を引き起こす実行ファイルやアプリのことです。
サイトの状態を監視する
Googleの検索機能やサーチコンソールの機能を利用することでマルウェアなどの問題を早期発見することができます。
- Googleでsite:演算子を使って検索することで自サイトのコンテンツを調べることができます。この時に見覚えのないページが出てくるようであればすぐに詳細を確認することをお勧めいたします。
- サーチコンソールの「セキュリティの問題」やメッセージパネルにハッキングされたページやマルウェアの通知が通知されます。
セキュリティチェックリスト
- 強力なパスワードを利用してください。
- サーバーの設定を確認してください。多くのサーバーではApacheを導入しています。Apacheのサイトにはセキュリティ設定について記載があります。
- 最新のソフトウェアアップデートとパッチを使用して、最新の状態を維持します。WordPressで構築されたサイトは数多くありますが、プラグインが古ければセキュリティホールが存在するかもしれませんし、ツールが多ければ多いほどリスクが高まります。不要ツールは削除し、最新に保つことでセキュリティが強化されます。
- サーバー上のアクセス権は制限をかける必要があります。
- SSHやSFTPなどの安全なプロトコルを使うことで安全性が強化されます。
AMPによるエクスペリエンス向上
AMPを導入することでランキングが上がるということはありませんが、導入により表示スピードが上がり、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。ユーザーエクスペリエンスが向上することが結果的にランキングに作用する可能性があり、ランキングを考慮せずともコンバージョン率に寄与する可能性があることからも導入は推奨されています。
AMPページの作成
AMPページを作成する場合の注意点は以下の通りです。
- AMPページは対応する正規ページと同じコンテンツである必要があります。
- AMPページは正規ページにリンクされている必要があります。ただし、正規ページはAMPページであっても非AMPページであっても構いません。
- AMPテストツールを使い、AMP HTMLが要件を満たしていることを確認してください。
- 構造化データを使う場合、正規ページと AMPページで同じ構造化データにしてください。
- robots.txtでAMPページをブロックしていないことを確認します。
AMPページの削除
AMPページを削除する際には、AMPページと非AMPページの両方を削除する方法とAMPページのみ削除する方法があります。
両方を削除する
- サーバーからAMPページと非AMPページを削除する(CMSを利用している場合にはツール上で削除する)
- 古いコンテンツの削除ツールを使ってページ削除をリクエストする。これにより検索結果から削除することができます。URLはAMPページと非AMPページの両方を入力してください。
- Google AMPキャッシュを更新してAMPページが削除されたことを確認する
- Google検索を利用して実際に検索結果から削除されていることを確認する。
AMPページのみ削除する
- 非AMPページのソースコードにある rel=”amp html”を削除する
- サーバーからAMPページを削除する(CMSを利用している場合はツール上で削除する)
- 削除したAMPページから正規の非AMPページに301リダイレクトまたは302リダイレクトを設定する
まとめ
SEOと呼ばれるようになって久しいですが、SXOとも呼ばれます。SXOはSerach eXperience Optimizationの略で検索体験最適化のことです。2020年以降、ランキング上位を取るためにはエクスペリエンス(体験)の強化が必須です。
2021年にはコアウェブバイタルがランキング指標になると話題になりましたが、元々SXOを考慮してサイト設計をしている人にとっては大きな問題にならなかったはずです。ユーザーエクスペリエンスを向上させることがSEOに繋がることは既に当たり前のことになっていますのでできるだけ早い対策が必要です。