スキルシェアとは?仕組みや利用したいプラットフォームなどを紹介
スキル・モノ・スペースなど、さまざまな共有をおこなうシェアリング市場が世界で急速に成長しています。日本においても同じ傾向がみられ、シェアリングエコノミー協会の『シェアリングエコノミー市場調査 2022年版』によると、2022年の市場規模は過去最高の2兆6,158億円を記録しています。
シェアリングサービスの例
共有の対象 | 具体例 |
スキル | データ入力、言語、コンサルティング、ライティングなど |
スペース | 民泊、駐車場、会議室、仕事ルームなど |
モノ | フリーマーケット、レンタル、モノシェアなど |
移動 | カーシェア、サイクルシェア、料理運搬など |
共有の対象がスキルの場合「スキルシェア」といいますが、これは個人の知識や能力を他人と共有し、双方に利益をもたらす画期的な仕組みです。そこで今回は、このスキルシェアリングの世界に焦点を当て、企業がどうこのサービスを活用すれば良いのか詳しく解説します。
スキルシェアとは?
スキルシェアとは、誰かの専門的なスキルや知識を他の人々と共有することを指します。例えば、SEOに関するスキルを持っている個人が、プラットフォームを通じて不特定多数の企業に対してそのスキルを提供・共有することなどが該当します。
スキルシェアの分野は、ビジネスだけでなく、趣味や語学、調査分析、欠点克服など多岐にわたります。スキルシェアの市場が広がったことで、リスキリングの促進や企業の業務改善などに役立っています。
参考ページ: リスキリングとは?基本的な概念や注目される背景、メリットなど解説
スキルシェア・プラットフォームの仕組み
スキルシェアは、主にマッチング機能を提供する企業によってその仕組みが作られています。
マッチング機能を提供する企業は、サービスの利用者からの手数料やシステム利用料で収益をえています。スキル提供者は、自身が対応できるスキルをプラットフォーム内で告知し、依頼企業はこの中から学びたいスキル、共有したいスキルを選択します。企業はスキル提供者のレベルや経験を検証し、自社にふさわしい人物を選択します。
また、プラットフォーム内では、マッチング機能だけでなく、レッスンのスケジュールを組んだり、決済をおこなう機能も備わっています。このようにマッチング機能を提供する企業が介入することによって、両者が安全にサービスを利用することができます。
おすすめのスキルシェア・プラットフォーム
スキルシェアサービスを提供するプラットフォームは複数あり、それぞれに特徴があります。ここでは、主要なスキルシェアプラットフォームのいくつかをピックアップし、それぞれの特徴と利用する際のメリットを詳しく解説します。
Lancers(ランサーズ)
参考ページ:Lancers
Lancersは日本最大級のクラウドソーシングサービスで、仕事を依頼したい企業とフリーランスや小規模団体をマッチングさせるプラットフォームです。Lancersでは、仕事の依頼だけでなく「SEOのレクチャーをスポット的にお願いしたい」などのニーズにも応えることができます。提供している分野としてはデザイン、WEB制作、システム開発、ライティング、コンサルティングなど350種類以上の仕事におよび、Lancersを利用している企業はすでに600,000社以上です。
仕事の依頼方法としては「コンペ方式」と「プロジェクト方式」の2種類があります。コンペ方式は、まず企業側が「このような指仕事をできる人がいませんか」ということを依頼します。その後、複数のフリーランスなどが提案や見積もりを出し、最終的に企業が適切な人材を選ぶという形をとります。
一方、プロジェクト方式は、企業が気に入ったフリーランスに直接仕事を依頼し、費用などの条件面で合意されれば、そのままプロジェクトが実行されます。
Workship(ワークシップ)
参考ページ:Workship
Workshipは株式会社GIGが運営するフリーランス・副業向けのマッチングサービスです。
Workshipでは、プログラミング、デザイン、マーケティングなどさまざまなスキルシェアがおこなえます。2023年12月現在で49,000人以上のフリーランスが登録しているため、企業は彼らの中から気に入った人材に仕事を依頼することができます。
企業は検索システムを利用し、多くのフリーランスの中から、職種や地域、スキルレベルなど複数の評価軸で適切なフリーランスを探すことができます。また、WorkshipはAIを導入し、企業とフリーランスの適合性を評価。この技術によって、ミスマッチを限りなく減らす仕組みができています。
CrowdWorks(クラウドワークス)
参考ページ:CrowdWorks
CrowdWorksは、日本最大級のクラウドソーシングサービスです。企業がさまざまな業務をプラットフォーム上で発注することができます。在籍するフリーランスには、セールスパーソンやWEBデザイナー、プログラマー、ライター、翻訳家、動画編集者などがいます。企業側は無料で会員登録をおこなえるので、気軽に仕事を発注することができます。
また、CrowdWorksは決済方法として「仮払い方式」を採用しています。これは企業が仕事を発注した際、請け負ったフリーランスに直接支払うのではなく、CrowdWorksに仮払いする仕組みです。そして、業務完了後にCrowdWorksからフリーランスに対して支払いがおこなわれます。この「仮払い方式」によって、決済トラブルを防いでいます。
Saleshub(セールスハブ)
参考ページ:Saleshub
Saleshubは、BtoB営業を効率化させるプラットフォームです。Saleshubは営業経験を持つ個人が多く在籍しています。企業は在籍しているセールスパーソンの人脈を活かして、企業の決裁者に会う機会を作ることができます。
低コストで顧客を獲得したい企業や、営業担当の育成コストを削減したい企業にとって有効なプラットフォームです。2023年4月時点で、業種・年齢を問わず40,000人以上のセールスパーソンが登録しています。企業側にとっては、新規アポイント獲得のためにかかっていた広告費・人件費を削減できるメリットがあります。
gengo(ゲンゴ)
参考ページ:gengo
gengoは、翻訳を依頼したい企業と翻訳家とをマッチングさせるサービスです。2009年に設立されたライオンブリッジジャパンの子会社、株式会社Gengoが運営しています。
gengoには、テストに合格した実力ある翻訳者のみが在籍しており、累計21,000人以上が登録しています。対応言語としては、約70言語におよびます。仕事を発注する企業は、主にWEBサイトやアプリ、マーケティング資料、製品マニュアルなどの翻訳を依頼することが多いです。また、gengoは語数ベースの料金設定を採用しているため、従来の翻訳企業に依頼するよりも低価格で翻訳が可能です。
Workshift(ワークシフト)
参考ページ:Workshift
Workshiftは、海外事業案件に特化したスキルシェアサービスです。例えば、日本にいながら海外事業を展開したい、海外案件を請け負う現地の人材を確保したいなどのニーズに応えることができます。翻訳・通訳、海外調査、現地の文化に合わせたデザイン、多言語WEBページ作成など160種類以上の業務に対応可能です。現在、世界210カ国13万人以上が登録しています。
また、初めて外国人材を活用する企業が安心して利用できるよう、専門スタッフによるサポートも提供されており、依頼文の作成、業務管理のバックアップなどを支援してくれます。
ビザスク
参考ページ:ビザスク
ビザスクは、株式会社ビザスクが提供するビジネススキルのシェアサービスです。ビザスクでは、すでに56万人以上のエキスパートが登録しており、マーケティング、営業、人事、IT、法務、会計、金融などの多様なビジネススキルをシェアできます。
ビザスクの強みは「スポットコンサル」です。これは各分野のエキスパートに、最短30分から1時間ほどの相談ができるサービスです。ビジネスの特定分野で必要なアドバイスを手軽に受けることができ、企業にとっては忙しい中でも隙間時間を利用し効率的な課題解決が可能です。
スキルシェアを利用する際の注意点
ここでは、実際にスキルシェアを利用する際の注意点をお伝えします。仕事を発注したり、コンサルティングを受ける際などに参考にしてください。
依頼したい内容を明確にする
スキルシェアサービスを利用する前に、自社が依頼したい内容を明確にしてください。依頼したいことを明確にすることで、どのプラットフォームを利用すれば良いのか絞ることができるからです。また、依頼する内容が明確だと、企業とフリーランスとの間で、不明瞭な要件による誤解や期待のズレを避けることができます。
実績を確認する
スキルシェア・プラットフォームを利用する際、依頼したい人の実績を確認してください。事前に実績を確認することで、自社が求めている案件を適切に遂行できるかどうか、事前に見積もることができるからです。
スキルシェア・プラットフォームには多くのプロフェッショナルが登録していますが、その専門知識や能力はさまざまです。そのため、依頼する前に専門分野における経験の深さ、スキルのレベルをチェックする必要があります。このチェックを怠ると、途中でプロジェクトが頓挫してしまうことも起こるので注意してください。
プロフィールの確認
仕事を依頼する際、企業の担当者とフリーランスとの相性も重要です。相性が良ければ、プロジェクトはスムーズに進行するからです。相性は、仕事を実際に依頼するまで分からないこともありますが、プロフィールを確認することである程度、予測することができます。
プロフィールには、その人の専門分野や経験、資格だけでなく、コミュニケーションのスタイルや作業方法、価値観などの情報が反映されることが多いものです。そのため、これらを確認することである程度、相性を判断することができます。
主なチェック項目としては、プロフィールに記載された過去のプロジェクト、他社によるフィードバック、推薦文などです。このような情報を基に、自社の担当者とチームとなってプロジェクトに取り組めるか検討してください。
スキルシェアのよくある質問
ここでは、スキルシェアについてよくある質問を取りあげ、解説します。
Q:どのようなスキルが共有されていますか?
Answer)スキルシェア・プラットフォームでは、多様なスキルが共有されています。一例を挙げると、プログラミング、アプリ開発、WEBデザインなどが挙げられます。これらのスキルは、デジタル化が進む現代社会において高い需要があるためです。
さらに、言語関連もスキルシェア・プラットフォームで非常に人気が高いです。英語はもちろん、中国語やフランス語、スペイン語などさまざまな言語に対応しています。海外出張前に、個人レッスンを依頼するなどしてサービスを利用する人が増えています。
Q:良いプラットフォームの選択方法は?
Answer)現在、さまざまなスキルシェア・プラットフォームが存在します。その中から自社にあったものを選ぶには、目的を明確にしてください。例えば「SEOに関するアドバイスを受けたい」などです。そのあとで、利用のしやすさや料金体系、在籍者数などを検討し適切なプラットフォームを選択します。
Q:人材を選ぶ際の注意点は?
Answer)人材を選ぶ際には、その人の専門性と経験、過去の実績、コミュニケーション能力、価格と価値のバランスなどを考慮します。重要ポイントとしては、こちらの依頼したい内容をフリーランスが能力的に実現可能かどうかです。この点が不適合だと、フリーランスとうまくコミュニケーションをとったとしても、納得のできる仕事はしてもらえません。なので、まずは能力重視で検討してください。そのうえで、相手との相性を考え、最終的に依頼したい人材を決めます。
Q:繰り返し同じ人材に依頼することは可能?
Answer)気に入った人材がいれば、同じ人に仕事を依頼することができます。通常、新たな人材を探して仕事内容を最初から説明するよりも、時間を節約できるはずです。また、継続的に仕事を依頼することは双方の信頼関係を深め、より円滑なコミュニケーションが可能なため、仕事の質も向上しやすいです。
まとめ