アンケートの作り方とは? テンプレや回答率を高める方法をご紹介
自社商品やサービスの価値を高めるためには、顧客のニーズに対応して、適切に改良する必要があります。自社商品やサービスに対する顧客の考えを浮き彫りにする方法として、アンケート調査が挙げられます。
しかし、せっかくアンケート作りをしても、「回答率が低くてデータとして扱えない」、「自社商品やサービスの改良につながらない」といった課題が発生するケースが散見されます。
アンケートの作成方法
そもそも、アンケート調査とは、物事に対して、人々がどのような意見を持っているかを数値化する作業のことです。
関連記事:アンケート調査とは?概念や調査の進め方、種類などについて詳しく解説
そして、アンケートは、自社商品やサービスを改良するために利用されることがあります。アンケート作りは、次のようなフローで進めていきます。
- アンケートの計画を立てる
- アンケートの手法を選択する
- 設問項目の構成を決める
- 設問の回答形式を決める
- 質問文章を作成する
1.アンケートの計画を立てる
アンケートの作成をはじめる前に、計画を立てます。具体的には、次のようなことを決めます。
- アンケートの目的
- アンケートの回答者
- アンケートの内容
まず、アンケートの目的を決めます。実施目的を明確にすることで、その後に決める回答者となる対象やアンケート内容が定まります。たとえば、アンケートの目的が「自社が展開する飲食店に対する意見」だったとします。このとき、回答者は、店舗の来店者がターゲットになります。そして、アンケートの内容としては、ホールスタッフの対応に対する印象、注文したメニューの感想などが挙げられます。
2.アンケートの手法を選択する
大まかな計画が立ったら、アンケートの手法を決めていきます。「自社が展開する飲食店に対する意見」を集める例でいうと、次のような手法があります。
- 店舗の客席にアンケート用紙を設置する
- WEBのアンケートツールを店舗サイトなどに設置する
事例では、アンケート回答者の対象は、あくまでも店舗の利用者に限られます。そのため、店舗にアンケート用紙を設置します。また、店舗サイトやアプリケーションにアンケートページを設置する手法も効果があります。後者の場合は、アンケート作成ツールを利用することで簡単にページを設置できます。
3.設問項目の構成を決める
具体的な設問項目の構成を決めます。たとえば、次のようなことを決めます。
- 設問の内容
- 設問の数
- 設問の順番
原則的に、設問は最低限の数に絞ってください。設問の数が多いほど、えられるデータが増えます。ただし、回答者に負担がかかりますので、回答率が下がる傾向にあります。
そして、設問の順番は整理してください。整理されていないアンケートは、回答者にとって答えにくくなります。たとえば、メニューに関する複数の質問を同じ項目下に置くなど、工夫して整理すると、回答者がスムーズに答えを書けます。ここでいう項目とは、飲食店の事例でいうと次のようなまとまりを指します。
- ホールスタッフに対する印象
- 注文メニューの感想
- 店舗の雰囲気
- 来店者の属性
- 来店のシーンやきっかけ
4.設問の回答形式を決める
質問の回答形式を決めます。アンケートの回答形式としては、選択形式、自由記述があります。選択形式と比較して、自由記述は回答者の負担が増えて、回答率に影響を与えます。そのため、極力、選択形式で設問を作ってください。そして、選択形式においては、次のような種類にわかれます。
設問の種類 | 解説 |
---|---|
単一回答 | 選択肢のなかから、1つ回答を選択する形式のこと。 |
複数回答 | 選択肢のなかから、複数の回答を選択する形式のこと。通常、最大3つまでなど、上限として設定する。 |
マトリクス | 縦横軸で選択肢を提示し、回答を選択する形式のこと。 |
このうち、マトリクスは、複数の質問項目で、同じ選択肢を提示する場合に利用されます。具体的には、下記のような形式の設問です。
– | とても満足 | やや満足 | やや不満 | とても不満 |
---|---|---|---|---|
料理の味 | ||||
料理のボリューム | ||||
料理の温度 |
5.質問文章を作成する
設問の質問文と回答の選択肢を作成します。質問文や回答文は、できるだけわかりやすく、シンプルな文面を心がけてください。たとえば、飲食店に対する意見のアンケートとしては、次のような文面が適切です。
Q:全体的な店舗の満足度として、あてはまるものを1つ選択してください。
- とても満足
- やや満足
- 普通
- やや不満
- とても不満
こうした設問を質問文として書き起こしていきます。
ここまでのフローを終えると、アンケート作成自体の作業は完了となります。
アンケートの運用と集計方法
アンケートの項目を作成したら、アンケートを運用していくことになります。さらに、アンケート結果を集計して、商品やサービスの課題を抽出します。具体的には、次のようなフローになります。
- アンケートを実施して回答者を集める
- アンケート結果を集計する
1.アンケートを実施して回答者を集める
アンケートを実施して回答者を集めてください。集客の方法は、アンケートの方法により異なります。仮に、WEBアンケートを採用した場合は、店舗サイトやアプリケーションにアンケートページを追加します。そして、サイト内に内部リンクを設置して、サイト訪問者を誘導します。このほか、SNSの店舗アカウントやWEB広告で告知して集客する手法もあります。
2.アンケート結果を集計する
アンケートの回答を集めたら、集計します。集計には、エクセルやスプレッドシートといった表計算のツールを利用する手段があります。そして、次のような設問にて、3割ほどで「やや不満」との回答をえたとします。
Q:料理の提供スピードについて、あてはまるものを1つ選択してください。
- とても満足
- やや満足
- 普通
- やや不満
- とても不満
この場合は、料理を提供する時間が長いという店舗の課題が浮き彫りになりました。課題を解決するためには、「スタッフを教育する、または増やす」「オペレーションを見直す」などの対策が必要だとわかります。
アンケートの回答率を高めるポイント
アンケートを実施しても回答数が少ないとデータとしての価値が低いままです。そこで、次のようなポイントに気を配って、回答しやすい環境を提供してください。
- アンケートの設置場所を工夫する
- アンケートの目的を伝える
- 回答時間の目安を記載する
- わかりやすい質問を心がける
- 回答者に謝礼を付与する
アンケートの設置場所を工夫する
アンケートの効果を高めるためには、回答者としてふさわしい人物を集めることが重要です。そこで、アンケートの設置場所を工夫してください。
たとえば、自社の飲食店舗に対するアンケート調査をするならば、飲食店舗の利用者が回答者として適しています。このケースでは、店舗利用者が募る、店舗内、店舗サイト、公式アプリケーション内といった場所がアンケートの設置場所として適切です。
アンケートの目的を伝える
冒頭にアンケートの目的を伝える文面を用意してください。設問によっては、ユーザー属性やライフスタイルに対する質問もあります。回答者が不安な気持ちになることを避けるためにも、アンケートの概要文が必要です。
回答時間の目安を記載する
回答者としては、アンケートの回答に時間を避けるか否かが重要です。アンケートの冒頭に、回答にかかる目安の時間を記載してください。
仮に、紙のアンケート用紙であれば、回答にかかる時間を予測できます。ただし、WEBアンケートの場合では、リンクで回答ページが複数にまたがることから、事前に回答にかかる時間の推測が困難です。こうしたときに、事前に「回答にかかる時間=1分程度」と判明すると、「回答してみようかな」という気持ちになることがあります。
わかりやすい質問を心がける
設問の質問文や選択肢は、わかりやすい文面で記載すると回答率が高まりやすくなります。質問の文面がわかりにくかったり、複雑な内容だと、回答者にストレスを与えてしまいます。ですので、できうる限り、わかりやすい文面の作成を心がけてください。
回答者に謝礼を付与する
アンケートを実施する際は、回答者に謝礼を付与してください。
アンケートは、回答者に作業を依頼するということです。そのため、回答者に対して、アンケート回答する動機付けが必要です。たとえば、「飲食店に対する意見」をテーマとしたアンケートの場合、回答者に店舗のサービス券を付与するといった手法が効果的です。
ただし、回答者にサービス券を配布するとなると、サービス券を目的として、同一人物がアンケートに重複して回答するケースが発生します。そこで、複数回にわたり、アンケートに回答できないように工夫する必要があります。たとえば、WEBアンケートに、店舗利用時のレシート番号と来店月日を入力する項目を設けるといった手段があります。
アンケート設問例のテンプレート
「自社が展開する飲食店に対する意見」を事例としたアンケートの設問例をご紹介します。
Q:全体的な店舗の満足度として、あてはまるものを1つ選択してください。
- とても満足
- やや満足
- 普通
- やや不満
- とても不満
Q:ホールスタッフの接客について、それぞれあてはまるものを1つ選択してください。
– | とても満足 | やや満足 | 普通 | やや不満 | とても不満 |
---|---|---|---|---|---|
入店や退店時 | |||||
お席案内時 | |||||
お会計時 |
Q:料理の提供スピードについて、あてはまるものを1つ選択してください。
- とても満足
- やや満足
- 普通
- やや不満
- とても不満
Q:ご注文料理について、それぞれあてはまるものを1つ選択してください。
– | とても満足 | やや満足 | 普通 | やや不満 | とても不満 |
---|---|---|---|---|---|
料理の味 | |||||
料理のボリューム | |||||
料理の温度 |
Q:店内の雰囲気について、それぞれあてはまるものを1つ選択してください。
– | とても満足 | やや満足 | 普通 | やや不満 | とても不満 |
---|---|---|---|---|---|
店内全体の清潔さ(トイレや床) | |||||
お席の清潔さ(テーブルや椅子) | |||||
お席の調味料の整理 |
Q:ご来店のきっかけとして、あてはまるものを1つ選択してください。
- テレビで紹介されていたため
- 雑誌で紹介されていたため
- SNSで紹介されていたため
- ご友人に誘われたため
- 近場にあったため
Q:店舗のご利用シーンとして、あてはまるものをすべて選択してください。
- 出社前のモーニング
- 仕事の合間のランチ
- 退勤後のディナー
- 休日のモーニング
- 休日のランチ
- 休日のディナー
Q:ご来店者さまの年齢層をお聞かせください。
- 10代
- 20代
- 30代
- 40代
- 50代
- 60代
- 70代以上
Q:ご来店者さまの性別をお聞かせください。
- 男
- 女
Q:ご来店者さまのご職業をお聞かせください。
- 会社員
- 会社役員
- アルバイト/パート
- 自営業
- 学生
- その他
Q:店舗に対して、ご意見やご要望を自由にご記入ください。
アンケートの作成ツール
WEB上でアンケートページを設置する場合、アンケート作成ツールを利用してください。次のようなサービスでは、アンケートに必要な機能を備えています。
- GoogleForms
- Microsoft Forms
- Xのアンケート機能
GoogleForms(グーグルフォーム)
引用:Google Forms
Google Forms(グーグルフォーム)は、問い合わせフォームやアンケートを作成できるツールです。集計や分析といった、アンケート調査に必要な機能を備えています。また、テンプレートが豊富にあって、なかには顧客アンケート用のものも用意されています。そのため、はじめてアンケート作りに挑戦する人でも扱いやすい点が特徴です。
Google Formsの操作手順は、次のとおりです。
- Google Formsにアクセスして、Googleアカウントでログインする
- 「フォームに移動」をクリックして、テンプレートを選択する
- アンケートを作成後に、画面右上の「送信」をクリックする
- アンケートページのURLをコピーして、自社サイトのページにリンクを設置する
Microsoft Forms(マイクロソフトフォーム)
Microsoft Forms(マイクロソフトフォーム)は、アンケートページなどを作成可能なツールです。そして、顧客満足度に関するアンケートのテンプレートが用意されています。Microsoft Formsで、アンケートを公開する手順は次のとおりです。
- Microsoft Formsにアクセスして、Microsoftアカウントでログインする
- テンプレートを選択する
- アンケートを作成後に、「回答を収集」をクリックする
- アンケートページのURLをコピーして、自社サイトのページにリンクを設置する
X(旧:twitter)のアンケート機能
引用:X
X(旧:twitter)では、Xのユーザーを対象にアンケートをとる機能があります。アンケート内容は、4つの選択肢に投票してもらう簡易的なものです。本格的なアンケートとは利用用途が異なりますが、Xで自社商品などのアカウントを運用しているケースなどで役立ちます。
Xでアンケートを取る手順は、次のとおりです。
- Xにアクセスして、自社アカウントでログインする
- ポスト画面のアイコン「投票」をクリックする。
- 選択肢と投票期間を設定して、「ポストする」をクリックする
アンケート作りのよくある質問
アンケート作りに関する、よくある質問をまとめています。
Q:アンケートを作る利点は?
Answer)アンケート作りには、さまざまな目的があります。そのなかの1つとして、自社商品やサービスの課題を抽出し、改善のヒントをえられるという利点があります。
具体的には、アンケートを通じて、自社商品やサービスに対する顧客の印象を質問をします。そして、顧客が満足していない点を特定して商品改良の施策を練ります。
Q:アンケート作りの注意点は?
Answer)アンケート作りで注意すべき点は、効果がないアンケート調査にならないようにすることです。たとえば、下記のようなアンケート作りをしないようにしてください。
- データをとっても無意味な設問がある
- 重複する設問がある
- 質問文がわかりにくい
- 設問を細分化しすぎて、回答者に負担がかかる
- 回答対象の顧客が集まりにくい場所にアンケートを設置する
Q:効果的なアンケートの取り方は?
Answer)効果的なアンケートを取る方法として、次のようなポイントがあります。
- 自社商品やサービスの課題を抽出できるアンケートを作る
- 回答率が高いアンケートを作る
前者のようなアンケートを実現するためには、コツがあります。たとえば、事前に自社商品の課題に対する仮説を立て、その検証としてアンケートを利用するなどの工夫をこらしてください。
後者に関しては、できるだけ回答に時間がかからないように設問を構成してください。また、わかりやすい質問文にすると、回答者の負担が減り、回答率が高まります。
Q:アンケートの回答率を高める方法は?
Answer)アンケートの回答率を高める方法は、大きく下記の2つにわかれます。
- 回答者に負担をかけないことを心がける
- 回答者に対する謝礼を用意する
前者においては、アンケートの回答に要する時間が長かったり、設問が複雑だったりすると、アンケートの途中で離脱される恐れがあります。後者については、そもそもアンケートに回答する行為が作業になります。そこで、ポイントや割引券といったインセンティングをつけると回答率が高まります。
まとめ