GASとは?特徴や使い道、使うための手順もまとめて解説!
検索をはじめ文書やスプレッドシートの共有、スケジュール管理など、いまやGoogleのサービスは仕事にもプライベートにも欠かせないものとなっています。
便利なサービスである一方、「こうだったらいいのに」「こういう機能があればな」と感じる方は少なくありません。このような悩みの解決方法として、GAS(Google Apps Script)が挙げられます。
GASとは?
GASとはGoogleが開発・運営を行っているプログラミング言語のことを指します。GASは「Google Apps Script」の頭文字をとった言葉であり、「ガス」という名称で呼ばれています。
Googleが開発したプログラミング言語ということもあって、スプレッドシートやドキュメント、ドライブやGメールといった各種Googleサービスとの連携が容易です。
また他のプログラミング言語とは違い、環境構築不要で使用できる手軽さが大きなメリット。さらにGASはJavaScriptベースで開発されていることから、JavaScript習得者ならスムーズに扱える仕様も魅力です。
GASの主な特徴5つ
GASの特徴として挙げられるのは、主に以下の5つです。
- 無償で使うことができる
- 環境構築の必要がない
- Google各サービスとの互換性が高い
- 高度なプログラミング知識が不要
- ベースはJavaScript
無償で使うことができる
GASはGoogleアカウントさえ持っていれば、どんな方でも無償で利用できます。Googleアカウントも料金が一切発生しないので、お金がかかることは一切ありません。
GASを始めるための条件なども一切ないので、Googleアカウントの登録のみ、使用前に済ませておく必要があります。
ただGASは有料のオプションもあり、プログラム実行回数を増やせるなど、よりプロフェッショナルな使い方が可能です。ただ一般の方が使うには、無料の機能でも十分でしょう。
環境構築の必要がない
他のプログラミング言語と大きく異なる特徴なのが、GASは環境構築不要で利用できることです。本来何かしらのプログラミング言語を使う場合、何らかのソフトやパッケージをインストールし、セットアップする必要があります。
この環境構築はITに詳しくない方にとってはハードルが高く、プログラミング挫折のひとつの原因として知られています。
GASはWeb上で環境がすでに構築され、コードを書くだけの状態で提供されているので、すぐに使い始められる点が大きなメリットです。
Google各サービスとの互換性が高い
GASはGoogleが開発したプログラミング言語であることから、Googleの各サービスとの相性がよく、互換性が高いことも大きな特徴です。
具体的にはスプレッドシートやドキュメントはもちろん、GoogleドライブやGメールなどとの連携がかんたんにできます。
またGoogle各サービスだけでなく、SlackやChatWorkといったチャットツール、Trelloなどのタスク管理ツールとの互換性もあるので、使いこなすことで日々の業務の生産性を向上できることは間違いありません。
高度なプログラミング知識が不要
高度なプログラミング知識なしで使えることも、GASの大きな特徴のひとつです。GASには「マクロ」といって、簡単なプログラムをノーコードで実装してくれる機能が搭載されているためです。
0から実装を行わなくてもひととおり自動化プログラムを作成できることから、プログラミングに触れたことのない未経験者が扱う言語としても向いています。
ベースはJavaScript
GASはJavaScriptをベースとして開発されていることから、JavaScript習得者ならとくにスムーズに扱えます。JavaScriptの考え方や記述方法など、共通している部分が多いためです。
GAS特有の関数や記述法はいくつか存在しますが、基本的な考え方はJavaScriptとほとんど同等です。
JavaScriptはGASのみならず、システムやアプリなどWeb系全般でよく使われる需要の高い言語なので、習得しておくに越したことはありません。
GASで実現できること
GASを活用することで、主に以下のようなことが実現できます。
- Googleサービスの処理の自動化
- スクレイピングの実行
- Webアプリの開発
- Google以外のサービスとの連携・自動化
Googleサービスの処理の自動化
GASを使うことで、Googleサービスの処理の自動化が可能になります。具体的には、次のようなものの自動化が可能です。
- Googleドライブ内データ変更通知
- Googleカレンダーに予定を追加および編集
- Googleスプレッドシートの内容を定期的に書き換える
- Googleフォーム作成
- Googleフォーム入力後の確認メール送信
単体サービスのみの自動化だけでなく、複数のサービスを連携して自動化させることもできます。たとえば、「フォームの入力内容をスプレッドシートやドキュメントに自動登録する」といった具合です。
スクレイピングの実行
難易度が高いスクレイピングも、GASを使えばかんたんに実装できます。
スクレイピングとは、指定した情報を対象のWebサイトから抽出して変換し、取得するプログラムのことを指します。たとえばECサイト内の特定の商品情報や、ブログ内の対象のキーワードを含む記事一覧などを集めることが可能です。
一般的にスクレイピングはPythonを用いることが多いですが、GASは環境構築なしで実行できるので、手軽さや難易度の観点で軍配が上がります。
Webアプリの開発
簡素なWebアプリケーションであれば、GASを用いての実装が可能です。
たとえば情報共有を目的とした掲示板やチャットツール、タスク管理プログラムなどが挙げられます。
通常Webアプリケーションを作って公開する場合、お金を払ってサーバーとドメインを契約しなければなりません。しかしGASの場合、Googleのサーバーを用いて動かせるため、お金も契約の手間もいっさい不要です。
もしGoogle関連サービスと連携することを前提にしているなら、迷わずGASを利用すべきでしょう。
Googleでないサービスとの連携および自動化
Googleとは関係ないサービスとの連携および自動化も、GASを使って実現できます。
具体例を挙げると、以下のような使い方ができます。
- Googleカレンダーに登録した内容をLINEやSlackで自動送信
- AmazonAPIを用いて商品価格の情報などをスプレッドシートに自動登録
この他にもあらゆるサービスと連携できるので、アイデア次第で日々の仕事をより効率化できるでしょう。
GASの主な開発方式
GASには、以下の2種類の開発方式が存在します。
- コンテナバインド
- スタンドアロン
開発するプログラムの内容や実行環境によって、適した方式は異なります。
この章では、上記それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
コンテナバインド
コンテナバインドは、Googleサービスとの連携を前提として考えられた開発方式です。スプレッドシートやドキュメント、ドライブなどのサービスと連携し、自動化を実行したい場合、こちらを用いることになります。
一般的に「GAS」といえばこちらの開発方式のことで、GASならではの利便性を実感できる点が魅力です。ただ便利に使える一方で、工数がかさんでしまうことがデメリットといえます。
スタンドアロン
スタンドアロンはコンテナバインドとは逆で、Googleをはじめ、サービスとの連携を行わない前提で考えられた開発方式です。
専用のエディタで開発を行うことからファイル管理も容易で、実装の手間も最小限に抑えられるのがメリットです。ただ連携ができないぶん、GASの恩恵を最大限に受けられないことがネックともいえます。
GASを使うための手順
GASを使うためのステップは、大きく分けて以下の4つです。
- Googleアカウントを作成する
- Googleスプレッドシートを開く
- 拡張機能からスクリプトエディタを開く
- コードを記述して実行する
Googleアカウントを作成する
GoogleアカウントはGASのみならず、その他のあらゆるGoogleサービスを使用するためにも必要不可欠です。
アカウントを作成するにはGoogleのウェブサイトにアクセスし、「新しいアカウントを作成」ボタンをクリックします。ユーザー名やパスワードなどを入力後、セキュリティ設定を完了し、アカウントが正常に作成されたら、GASの利用が可能になります。
Googleスプレッドシートを開く
Googleアカウントを作成したら、Googleスプレッドシートを開いてください。GoogleスプレッドシートはGoogleが作成・提供している表計算アプリのことで、トップ画面右上のメニューから開くことができます。
はじめてGASに触れる方は、スプレッドシートで動かしてみるのがおすすめです。ドキュメントやドライブなどのサービスでもGASは使えますが、スプレッドシートだとプログラムの動作をもっともわかりやすく確認できるためです。
拡張機能からスクリプトエディタを開く
Googleスプレッドシートを開いたら、上部メニューバーの「拡張機能」から「Apps Script」を開きます。Apps Scriptは、GASのプログラムコードを記述・編集・実行するための環境のことです。
Apps Scriptを開くと、デフォルトで以下のコードが記述されたエディターが新しいタブで開きます。
}
ここの波かっこの中に、コードを記述していく形になります。
コードを記述して実行する
Apps Scriptを開いた後は、波かっこの中にコードを記述して、保存したのち実行します。画面上部にあるディスクアイコンをクリックし保存、その後隣の実行ボタンをクリックすれば、プログラムが実行される流れです。
たとえば以下のコードを入力し、保存して実行すると、A1セルに「HelloWorld」が反映されます。
SpreadsheetApp.getActiveSheet().getRange(“A1”).setValue(‘HelloWorld’);
}
GASを学ぶための方法
GASをこれから新しく学ぶなら、おすすめの方法として以下が挙げられます。
- 書籍を手にとって独学
- Webサイトや動画で学ぶ
- スクールを活用する
書籍を手にとって独学
市販の書籍を購入し独学を行うことで、GASを体系的に学べます。書籍は基本から応用までの情報が包括的に網羅されているため、自分のペースで学び進めるのに最適です。
GASは世界の主要IT企業「Google」が提供する言語ということもあり、販売している書籍の数も多岐にわたります。
また独学は、自分の好きなタイミングやすきま時間で学べる点がメリットです。書籍を選ぶ際は、自分が理解できそうな「丁寧な解説」が掲載されたものを選びましょう。
Webサイトや動画で学ぶ
Webサイトや動画を活用することも、GASを学ぶ方法として有効です。いまやWeb上には多くのサイトや動画解説をはじめ、GASに関する充実した情報が豊富に存在しており、使わない手はありません。
こういった情報を有効活用することで、自分が本当に知りたかった情報にお金をかけずにアクセスでき、柔軟な学習が実現できます。
ただインターネットは書籍のように、発信者の名前やプロフィールが公開されていないので、信頼に足る情報源を選定することは大切です。
スクールを活用する
プログラミングスクールを始めとする教育機関を活用することも、GAS習得の手段のひとつです。
専門的なカリキュラムと経験豊富な講師による直接指導を受けることで、独学に比べて圧倒的な学習効率が実現可能です。とくにプログラミングにおいて「不明点を質問できる」という環境は、挫折率の低下にも大きく響きます。
短期間で習得できる理想的な方法ですが相応のコストはかかるので、予算と相談のうえ、検討することが大切です。
GASについてよくある質問
ここからは、GASについてよく寄せられる質問をご紹介します。
Q:GASの具体的な活用例にはどんなものがある?
Answer)GASの具体的な活用例には、以下のようなものがあります。
- Googleドライブ内データが変更されたら自動で通知が走る
- ワンクリックでGoogleカレンダーに予定を追加する
- 自動でGoogleスプレッドシートの内容を定期更新
- 自動でGoogleフォームを作成
- Googleフォーム入力後の確認メールの自動送信
この他にも、ChatWorkやSlackといったチャットツールや、会計ソフトFreeeなど外部サービスとの連携も行えるので、アイデア次第であらゆる仕事が自動化できます。
Q:GASの利用に料金はかかる?
Answer)GASの利用には、料金はまったくかかりません。
GASを利用する際に必要になるのは、Googleアカウントの作成のみです。このGoogleアカウントの作成にも、もちろん料金はいっさいかからないので、GASは完全無料で利用できます。
Q:GASを使うことのメリットは?
Answer)GASを使うことで得られるメリットは、「作業効率の向上」です。GASによってメールの自動送信やデータ処理など、普段行っているあらゆる作業を自動化できるためです。
できる部分は積極的に自動化することで、業務をより合理化できるので、本当に必要な部分に時間を捻出できるようになります。
さらにGASの利用には、いっさいコストがかからない点も大きなメリットです。
まとめ