BIツールとは?主要5製品の機能や導入メリット、注意点など解説
現代のビジネスでは、データの分析・活用が成功の鍵を握っています。しかし、日々増え続けるデータをうまく使いこなせないという問題意識もあるのではないでしょうか。
BIツールの概要
BIツールは、会社が蓄積してきたデータを視覚化して、経営やマーケティングに役立てるソフトウェアのことです。市場のトレンドや顧客の属性など、いろいろなデータを分かりやすく表示できます。
代表的なBIツールとしてはTableauやPower BIなどがあります。これらのツールを使えばデータをグラフやチャートで表すことができるため、新たな洞察をえられたり、迅速な意思決定がおこなえます。
参考ページ: What is business intelligence? – Microsoft
ExcelやAccessとの違い
多くの人がExcelやAccessで十分にデータ解析ができると思っていますが、BIツールにはそれらとは違う強みがあります。
1つは扱えるデータ量です。ExcelやAccessは手動でデータ入力や更新をおこなうことが多いので、データ量があまりにも膨大なら対応できません。一方、BIツールは大量のデータを処理することを前提としており、自動でグラフや表、レポートなどを作成できます。
さらにExcelやAccessは、手動入力のためリアルタイムな分析がおこなえません。一方、BIツールはデータ元から自動的に情報を取得し、リアルタイムで反映します。そのため、企業がデータドリブンな意思決定をおこなうのに非常に便利なツールです。
【一覧】BIツールの主な機能
BIツールは会社のデータをビジュアル化し、新たな洞察をえられるよう多くの機能を提供しています。ここでは、主な機能について説明します。
機能1:データ可視化
BIツールの基本機能として、データの可視化があります。この機能は、複雑なデータをグラフやチャート、マップなどに変換して視覚的に表現するものです。
通常、これらの可視化されたデータはダッシュボードと呼ばれる画面にまとめて表示されます。経営者やマーケティング担当者はその画面をみるだけで、業績のよい製品や顧客の動向などを簡単に把握できます。
機能2:データ集約
データ集約機能は、自社がもつ多種多様なデータソースを一元管理する機能のことです。例えば、会計ソフトの財務データと、CRM(顧客関係管理)の顧客情報をBIツールで統合するなどのことができます。
データ集約の最大のメリットは、データを統合することで新しい知見をえることができる点です。データを分割して見ていたときには不透明だった事柄が、統合することによってデータ同士の関連性が見えてきます。
機能3.OLAP分析機能
BIツールには、OLAP(Online Analytical Processing)分析機能があります。これは、さまざまな切り口でデータを加工し、分析するものです。例えば、1つのデータを時間や地域、カテゴリなど複数の切り口で分析し、あらたな発見やパターンを見つけることができます。
また、OLAP分析においてはユーザーが自分で質問を作成し、それに対する回答をえることができる「自己主導型のデータ探索」の機能があります。この機能を使えば、企業は自社のニーズに合わせて、柔軟な形データを分析できます。
機能4.データマイニング
データマイニングとは、大量のデータから有用な情報を探し出す技術です。このデータマイニング機能を使えば、統計学やパターン機械学習を使って、人の目では発見できないような複雑なパターンや法則性を見つけることができます。
また、BIツールを使用するユーザーは、必ずしも統計手法を知らなくてもかまいません。BIツールが自動で、重回帰分析やディシジョンツリー、相関分析、回帰分析などをおこなってくれます。
機能5.シミュレーション機能
BIツールには、シミュレーション機能が備わっています。この機能を使うと、過去のデータをもとに未来の予測や計画を立てることができます。例えば、広告予算を立てるときに、過去のデータをもとに今後、予算を増やした方が良いのか減らした方が良いのかなどを判断できます。
シミュレーション機能を活用すれば、事前にリスクや好機を把握し、より確実なマーケティング計画を立てることができます。
BIツールの導入メリット
さまざまな機能が備わったBIツールですが、実際に導入することでどのようなメリットがえられるのでしょうか。ここでは、その点について詳しくお伝えします。
参考ページ: Understanding the Importance of Business Intelligence Tools – SalesForce
1. データドリブンな意思決定が可能
専門家でなくてもBIツールを使用すれば高度なデータ分析が可能です。そのため、今まで発見できなかったパターンや法則性を見つけることにもつながります。データドリブンな意思決定をおこなう際にBIツールは欠かせません。
参考ページ: データドリブンとは?概要やメリット、実践プロセスなど解説
2. 業務効率の向上
Excelなどと違って、グラフやチャートなどを自動で作成できます。しかも、必要なデータは自動取得します。そのため、レポート作成の手間や労力をなくすことができます。このように、BIツールは業務効率を大幅に向上させます。
BIツールの種類
ここでは、BIツールを無料・国内・海外の3タイプに分けてそれぞれの特徴などについて解説します。
無料BIツールの特徴
無料のBIツールは、初めてデータ分析をおこなう中小規模のビジネスに適しています。代表的なBIツールとしては、Looker Studio (旧Google Data Studio)やMicrosoft Power BIの無料プランがあります。
これらのツールは初心者でも使いやすく、データの可視化やダッシュボード作成などの基本機能が備わっています。
日本国内BIツールの特徴
日本国内BIツールは、日本のビジネス環境や状況に合わせてつくられているのが特徴です。例えば、Sisense Japan、CyberVisualなどが該当します。
国内産BIツールはサポートが日本語対応なのはもちろん、日本の法律や慣習に配慮した機能を提供しています。特に、日本でのデータセキュリティや法的なルールを大事にする企業には、日本製のBIツールがおすすめです。
海外BIツールの特徴
海外のBIツールは、多機能な点が魅力です。代表的な海外BIツールとしてはTableau、QlikViewなどがあります。これらのツールは、高度なデータ分析をおこない、あらたな洞察をえるのに必要にして十分な機能を備えています。
とりわけ自社が海外と取引がある場合や、高度な分析を必要とする場合などに適しています。
おすすめBIツール
ここではおすすめBIツールを具体的に挙げて紹介します。
PowerBI
参考ページ: PowerBI
Power BIは、マイクロソフトが提供するBIツールです。Microsoftアカウントがあれば無料で利用開始できます。Excel、SalesForce、Dynamics365などのデータソースと連携でき、リアルタイムで情報管理がおこなえます。Power BI は、データ整理やグラフ・表の作成が簡単で、わかりやすいレポートを作成できるのが特徴です。
また、作成されたレポートは、Power BI ProやPower BI Premiumといった有料サービスに加入することで組織内外のメンバーと共有が可能です。
Looker Studio
参考ページ: Looker Studio
Looker Studio(旧Googleデータポータル)は、Googleが提供する無料のBIツールです。Looker Studioは、GoogleアナリティクスやGoogle広告、スプレッドシートなどと連携ができ、これらのデータを統合し自社のニーズに合わせた形で必要な情報を抽出できます。
例えば、GoogleアナリティクスとGoogle広告のデータを統合すれば、広告の効果測定などが簡単におこなえます。Googleアナリティクスの管理画面やGoogle広告の管理画面でも、ある程度視覚化した情報をえることはできますが、Looker Studioを使えば自社のニーズに合わせてデータの切り口を変えることができます。
Tableau
参考ページ: Tableau
Tableauは、デザイン性の高いグラフやチャートを作成することが可能です。しかも、操作としてはドラッグ&ドロップが中心のため、非常に簡単に利用できます。
また、ダッシュボードは、自社のニーズに合わせて自由にカスタマイズできます。専用モバイルアプリも用意されているため、外出先で取引相手とデータを参照しながら打ち合わせをおこなうなどのことも可能です。また、Salesforceとの相性が良いという利点もあります。
QlikSense
参考ページ: QlikSense
QlikSenseは38,000 社を超える企業が導入しているBIツールです。QlikSenseはユーザーフレンドリーなインターフェース、高度なAI、高性能なクラウドプラットフォームが特徴です。
その他、探索機能である「Search & Conversational Analytics」により、ユーザーが質問を打ち込むことでBIツールから新しい知見をえることができます。このように、従来の受け身型でBIツールを使用するのではなく、能動的に使って情報収集することができます。
Sisense
参考ページ: Sisense
Sisenseは、使いやすさと効率性に焦点をあてたBIツールです。Google AnalyticsやSalesforceなどからデータをとりこみ、独自技術で高速なデータ処理が可能です。
ドラッグ&ドロップ機能も備えているため、直感的にユーザーは操作することができます。その他、レポートやダッシュボードをチームや外部関係者と共有することができます。
BIツールを使用する際の注意点
BIツールを導入後、運用をする際の注意点をお伝えします。
過信
BIツールを使用してデータを視覚化すると、魅力的なダッシュボードやグラフが作成されます。しかし、これらの視覚的な表現はあくまでビジネスの一面を表しているに過ぎません。
データの背後にある事情や文脈を踏まえる必要があります。数字の結果だけをみて結論を出すことは、誤った判断を招く可能性があります。
データの解釈の誤り
BIツールはデータを可視化するだけでなく、データの分析や解釈も支援します。しかし、データを正しく解釈することはBIツールを使っても難しいことがあります。
例えば、相関関係が因果関係と誤解されたり、特定のデータポイントが全体のトレンドを表していると間違って判断されるなどのことが挙げられます。
BIツールのよくある質問
ここではBIツールについて、よくある質問と答えをお伝えします。
Q:マーケティング部門でBIツールの導入は必要ですか?
Answer)既に自社が多くのデータを蓄積しているのであれば、前向きに検討してください。BIツールを導入することによって膨大なデータを短期間で分析し、あらたな知見をえることができるからです。こういった知見や分析結果をもとに今後のマーケティング戦略を検討してください。
参考ページ: マーケティングにおけるデータの重要性や活用手順について解説
Q:どのような業務に利用されますか?
Answer)BIツールはマーケティング、営業、財務、顧客分析など、多岐にわたる業務で活用されます。
部署 | 用途の例 |
マーケティング | 広告キャンペーンの効果を追跡 |
営業 | 売上データを分析、顧客分析 |
財務部門 | 収益とコストを評価 |
Q:導入が向いている企業は?
Answer)一般的にはデータドリブンな経営をおこなっている企業や、ビッグデータをすでに所持している企業などが向いています。これらの企業はBIツールを活用し、データを有効に活用することで競争優位性を獲得することができます。
また、下記のページでお伝えしているとおりECだけでなく、医療や物流、建築などさまざまな業種でデータの活用が広がっています。
参考ページ: マーケティングに欠かせないデータサイエンスを5つの事例から解説
Q:BIツールを選ぶポイントは?
Answer)BIツールの選び方にはいくつか重要なポイントが存在します。まず、ユーザーフレンドリーなインターフェースは、使いやすさと仕事の効率性を高めるのに大切です。
また、自社が求めているニーズに応える機能を備えているかどうかも確認してください。分析、可視化、ダッシュボード作成など、自社が重きを置いている機能を事前に明確にしておくことが必要です。
Q:どのようなデータソースと連携できますか?
Answer)BIツールは、さまざまなデータベースと連携することができます。スプレッドシートやCSVファイル、Googleアナリティクス、Google広告、SalesForceなどが典型的な連携先です。
まとめ