営業資料の作り方!受注される資料の特徴や項目別の作成ポイントなど解説
営業資料の重要性は近年ますます高まっています。これは、企業がビデオ会議などを利用した非訪問型の営業、インサイドセールスを次々と導入しているためです。インサイドセールスでは、顧客とは直接対面しないため、営業資料の果たす役割が非常に大きく、成約に大きな影響を与えています。
受注がとれる営業資料の特徴
デジタル化の進展に伴いインサイドセールスが増加し、営業資料が果たす役割は一層重要になっています。しかし、受注のとれる資料を作るには、どんなポイントがあるのか気にかかるのではないでしょうか。そこで、受注がとれる営業資料の特徴やポイントを詳しく解説します。
参考ページ:インサイドセールスとは?導入手順や成功ポイントについて解説
顧客の知りたい情報が記載されている
受注のとれる営業資料は、顧客の知りたい情報が記載されていることが基本です。具体的には顧客の関心に合わせた順番で情報を整理するようにしてください。一例としては次のイメージです。
- 顧客が抱える課題の整理
- 製品やサービスのメリット
- 導入事例
- 技術的な詳細
- 社内稟議に必要な情報
上記は一例ですが、顧客心理を考え、顧客の意思決定がスムーズに進めるための手助けとなるよう資料をつくる必要があります。
営業トークの理解を促す
受注がとれる営業資料は、営業トークの理解を促進するように作られています。そのため、顧客が営業資料に目を通したとき、一瞬で理解できるようポイントを絞っているのが特徴です。逆に、過度に装飾されたものや文字情報を詰め込みすぎた営業資料は、顧客にとって分かりにくいと判断されてしまいます。
営業資料の作成手順
多くの人は、営業資料を作成すると決めたら、すぐにパワーポイントに書き込もうとしてしまいます。しかし、唐突に書き始めても受注がとれる良い資料にはなりません。そこで、ここでは実際に営業資料の作成手順をお伝えします。
ターゲットを設定する
営業資料を作成する最初の手順は、ターゲットになる顧客を設定することです。誰に対して営業資料を見せるのかということを想定しておかなければ、こちらが何を伝えれば良いか決めることができないからです。具体的には、ターゲット顧客の業界、企業規模、役職、顧客が感じているニーズや課題などを具体的に定義してください。
構成を考える
ターゲットを設定後、次に取り組むべきことは全体の構成を検討することです。ここを飛ばしてしまうと話が逸れたり、ロジックが飛躍したりすることになるので注意してください。構成を決めるときには、ゴールの設定と営業トークの展開を検討します。ゴールとは、顧客に促すアクションのことで下記のようなものが該当します。
- 製品を試してもらう
- 契約する
- 問い合わせをしてもらう
このようにゴールを設定後、トークの展開を踏まえ営業資料の構成を作ります。
目次を作る
構成を考えたら、より具体化するために目次を作成してください。目次は紙に書くか、Excelで作成するのが適切です。目次を作成することで、顧客に伝えたいことを細分化できるので、あとはそれぞれの項目に対してパワーポイントのスライド1枚を割りあてて資料を作成します。
スライドを作成
最後のステップでは、いよいよスライドを作成します。事前に構成や目次で全体の流れを整理しているため、あとはその各項目に対してパワーポイントで詳細を記述します。このとき、スライドには視覚的にわかりやすいデザインや図表をほどこし、営業トークのポイントが一目で伝わるよう工夫してください。
項目別の営業資料作成ポイント
ここでは、典型的な営業資料で使用する各スライドの作成例をお伝えします。例えば、表紙やサービスの概要などは、業種を問わず、多くの営業資料で共通している項目です。こういったよく使用されるスライドのポイントをお伝えします。
表紙
表紙は顧客に最初の印象を与える重要なスライドです。ブランドロゴや一貫したデザインを取り入れ、プロフェッショナルなイメージを伝えるようにしてください。また、販売商品によっては、表紙に顧客名や特定のプロジェクト名を含めるのが妥当なときもあります。表紙にこだわりすぎる必要はありませんが、顧客の第一印象を左右するという点を踏まえ、信頼感のあるイメージになるよう配慮してください。
製品・サービスの詳細
製品・サービスの資料を作成するポイントは、顧客の関心に合わせて情報を簡潔にまとめることです。例えば、提供する商品やサービスの特徴や機能など、顧客が知りたいと思う順番で伝えてください。また、資料は自社視点で伝えるのではなく、顧客目線に立ち課題解決や目標達成にどう役立つかを記載します。
競合比較
競合比較の項目では、自社サービスの優位性をわかりやすく伝えてください。最初に、顧客にとって重要な評価基準を選定し、その後、自社の強みが際立つ項目を中心に表やグラフで示すようにします。ただし注意点として、競合他社を批判したり、自社にとって都合の良い情報だけを記載したりするのは避けてください。それは、公平性や信頼性という点で適切ではありません。
導入メリット
導入メリットを伝える資料は、具体的な数値や事例を用いて、どのくらいの効果があるのかを示します。ポイントは、不正確な表現を避け、実際のデータや顧客の声を活用し客観性を持たせることです。導入前後の比較や投資対効果を表した図やグラフを示せば、顧客も理解しやすくなります。
事例紹介
事例紹介を作成するには、顧客が商品価値を自分ごととして感じられるよう、ストーリーを提供してください。ストーリーを伝えることで顧客から共感をえられるようにしたいので、どの事例を選定するかを慎重に検討します。できれば、顧客と同じ課題を抱えている企業を紹介するようにすれば、共感をえやすいです。共通した課題を抱えた顧客がいない場合は、同じ業界の事例を選定するようにします。
料金
料金の項目を作成するポイントは、顧客が価格に見合う価値を納得できるよう、費用対効果をわかりやすく示すことです。また、いくつかの料金プランがある場合は、各プランの特徴や違いを明確に伝えるようにしてください。注意点としては、メンテナンス費用や更新料など隠れたコストがある場合は、その点も伝えることです。透明性を持った情報提供は、自社の信頼へとつながるからです。
ご利用の流れ
顧客がスムーズに購入できるよう、サービス利用の流れを伝える資料が必要です。この資料のポイントは、顧客が導入プロセスを具体的にイメージできるように各ステップを視覚的にわかりやすくすることです。例えば、下記のように手順を箇条書きにするなどの方法が考えられます。
- ヒアリング
- 見積もり
- 契約
- 導入サポート
こういった導入までの流れをフローチャートで整理するのも良い方法です。
FAQページ
よくある質問(FAQ)を作成すると、顧客の不安を払拭することに役立ちます。事前に顧客が抱きやすい疑問を取りあげ、それに対して回答しておきます。質問と回答はシンプルにして、専門用語を避けるようにしてください。また、資料だけですべての質問に答えようとするのは無理があるため、別途お問い合わせ窓口も案内しておくのが望ましいです。
会社概要
会社概要を作成する際には、社名や所在地、設立年、資本金、従業員数などの基本情報に加え、企業のビジョンやミッション、主要取引会社、主要製品やサービスの概要などを整理して記述します。情報量が多すぎると顧客の理解を妨げるため、伝えたい内容を絞るようにしてください。
CTA
CTA(Call to Action)とは、顧客が次に取るべき行動を簡潔に伝えるものです。例えば下記のようなものが該当します。
- お問い合わせ先
- 無料見積もりのご依頼
- デモのご予約
こういったアクション内容とそのメリットをシンプルな言葉で表現します。注意点として、複数のCTAを提示するとかえって混乱を招くため、1つか2つに絞るようにしてください。
営業資料を作成する際の注意点
実際に、営業資料を作成する際には、次の注意点を守るようにしてください。細部に配慮することで、品質の高い営業資料に仕上げることができます。
注目ポイントをギャップで表す
顧客に注目してほしいポイントは、ギャップで表すようにします。例えば、重要なキーワードは、他の部分とサイズや色を変えて際立たせるなどのようにします。このように営業資料を作成する際は、視覚的にギャップをつけることで目立たせることができます。
タイトルや見出しは小さくする
スライドのタイトルや見出しは小さくしてください。タイトルや見出しは、話しの方向性を示すのに役立ちますが、大きすぎると本題よりも目立ってしまうので不適切です。タイトルや見出しは控えめに配置し、本題の箇所がクローズアップされるように資料を作成します。
色は3色までにする
色を3色までにしてください。具体的には、ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーの3つに絞ることです。こうすることで、視覚的な統一感が生まれ、営業資料がプロフェッショナルな印象になります。ベースカラーは全体の背景として使い、メインカラーは重要なメッセージや見出しに使用します。アクセントカラーは、特に強調したい文字や数値、グラフなどに対して使い、顧客の注目を向けるようにします。このように色を制限し統一感を出すことで、視覚的に洗練されたものにしてください。
営業資料のよくある質問
ここでは、営業資料を作成する際によくある質問をとありあげ解説します。営業資料は、自分の思い込みだけで進めると顧客にとって分かりにくいものになる可能性があります。そのため、下記の質問項目のすべてに目を通してください。
Q:余白は少ない方が良いですか?
Answer)余った箇所が余白なので、もったいない領域だからなくしてしまおうと考えがちです。しかし、余白を減らしすぎると、要素同士が干渉してしまい非常に見にくい営業資料となります。そのため、余白は無駄なスペースではなく、各要素を目立たせるための必要不可欠な箇所といっても過言ではありません。
Q:フォーマットを変えない方が良いですか?
Answer)1つの営業資料の中では、フォーマットを変えないようにしてください。資料の途中でフォーマットが変われば、途端に理解しにくくなってしまうからです。
Q:避けた方が良いグラフのデザインはありますか?
Answer)立体になっているタイプのグラフは、存在感が増す一方で、データが読み取りにくくなることが多いです。そのため、平面のグラフを利用するようにしてください。
Q:グラフのカラー設定が難しい
Answer)営業資料に組み込むグラフの配色は、その資料で使用しているテーマカラーに合わせるのが基本です。しかし、棒グラフや円グラフを作成すると、何色も必要になることがあります。この場合、グラフ配色ツールを利用すると、デザイン的に適切なものになりやすいです。下記のCOLORSというサービスを利用してみてください。
参考ページ:COLORS – Chart Color Generator
Q:載せたい情報が多い場合はどうすれば?
Answer)1枚のスライドに載せたい情報が多い場合、2つに分割することを考えてください。どんなに重要な情報でも視認性が悪ければ、読み飛ばされる可能性が高くなるためです。
まとめ