ペルソナとは?マーケティングに必要な理由と設定方法を解説
近年、WEBマーケティングではペルソナ(Persona)に注目が集まっています。というのも、ペルソナを正しく設定することで、マーケティング戦略を立てやすくなるからです。
実際にコンテンツマーケティングなどに取り組もうと思えば、事前にこのペルソナを設定しているかどうかによって結果が大きく変わります。
ペルソナ(persona)について
ペルソナとは、自社が商品やサービスを購入してもらいたいターゲットの特徴を集約した人物像のことです。具体的には、名前、年齢、性別、職業、年収、居住地域、趣味、価値観、ライフスタイルなどを事細かく設定します。
このように実在する人物として仮説を立てることで企業戦略、商品開発、企画などを検討しやすいです。
参考ページ:How to Create Detailed Buyer Personas for Your Business – HubSpot
もうペルソナマーケティングは古い?
MAツールなどの発展により「ペルソナマーケティングは古い」といわれることもあります。しかし、現代のマーケティングにおいてもペルソナは重要な役割を果たしています。
ペルソナを設定するプロセスを通じ、企業は顧客の属性や行動、ニーズなどを把握することができ、商品開発やWEB広告などに、そこで得られた知見を活かすことができるからです。そのため、現代においても、WEBマーケティングの施策を成功させるためにペルソナは必要不可欠です。
ペルソナ設定をした方が良い業界
ペルソナ設定をすべき業界は、ほぼ全業種といっても過言ではありません。ペルソナは、商品・サービスを提供する際にとても効果的だからです。ペルソナを設定することで、顧客のニーズや購買プロセスなどを知ることができ、企業のマーケティング活動を効果的に進めることができます。
特にWEBマーケティングに取り組む企業にとっては、ペルソナの設定が欠かせません。普段、オンラインを通じて情報発信をすることが多いため、ペルソナを意識しておかなければ、見当違いの施策をおこなってしまう可能性があるからです。
ペルソナの活用場面
WEBマーケティングでは、さまざまな場面でこのペルソンを活用します。具体的には下記のようなケースがあります。
WEBサイトの構築
WEBサイトを構築する際に、事前にペルソナを立てておくと非常に作業がスムーズです。ペルソナを基にしたインターフェースやページ構成などを検討できるからです。WEBサイトをペルソナに合わせたテイストに仕上げることで、ユーザーから支持されるWEBサイトになります。これは後々、WEBサイトのアクセス数やコンバージョン率に影響します。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケテイングを展開する場合、必ずペルソナの設定が必要です。誰に対して情報を発信しているのかということを決めておかなければ、誰の役にも立たないコンテンツになってしまうからです。ペルソナを基にしたコンテンツ制作をおこなうことで、自社が狙ったターゲット層に刺さるメッセージを届けることができます。このようにペルソナはコンテンツマーケティングの成果に直結します。
インフルエンサーマーケティング
ペルソナを設定しておくとインフルエンサーマーケティングを展開する際にも役立ちます。具体的には、選定したインフルエンサーに対して商品やサービスを実際に利用してもらいます。すると、そのインフルエンサーに似たユーザー、すなわち自社が狙うターゲット層に商品を認知してもらうことができます。
広告配信
広告配信では、事前にペルソナを設定しておかなければ無駄なコストがかかります。近年、広告配信は細かなターゲティングをおこなうことができます。その際にはペルソナを元に設定してください。
SEO対策
SEO対策をおこなう前に、ペルソナを設定しておくと効果的です。というのも、検索エンジンを利用する際には、ペルソナが使用する単語やフレーズを事前に把握しておく必要があるからです。ペルソナが使いそうなキーワードを事前に想定しておくことでSEO対策を効果的に進めることができます。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナとターゲットを混合されている方もいますが、ペルソナは架空の個人であるのに対して、ターゲットは実在する集団です。
ターゲットの例としては「WEBマーケティング職に就く40代男性」や「美容整形に興味のある30代女性」のようになります。
対してペルソナは下図のようにかなり詳細まで設定する必要があります。
※ターゲットは実在する集団、ペルソナは架空の個人と説明しましたが、ペルソナは実在する個人であっても構いません。
ペルソナと顧客セグメンテーションの違い
ペルソナと似た概念に顧客セグメンテーションがあります。
顧客セグメンテーションは、市場にいる顧客全体をいくつかの基準で区分したものです。ペルソナはあくまでも商品・サービスを好んで購入してくれる特定の顧客像をイメージしたものですが、顧客セグメンテーションはターゲット市場を決める際に活用します。
ペルソナを設定するメリット
ペルソナを設定するのは苦労しますが、最初にきちんと設定をすることで効果的なマーケティングを展開できます。具体的なメリットとしては、次のようなものがあります。
マーケティング施策の最適化
ペルソナを設定することで、マーケティングを最適化することができます。例えば、ペルソナが「若年層でゲーム好き」などのように具体的になればなるほど、ターゲットを絞ったマーケティングを展開することができるため、集客コストや成約コストが下がる傾向があるからです。十分にターゲットを絞ったマーケティングは収益性が高いものになります。
コンテンツ制作の方向性が定まる
ペルソナを設定することで、コンテンツの制作をする際の方向性を定めやすくなります。例えば、ペルソナが設定できていると、どのような悩みや不安を抱えているのかということが想像しやすいため、ピンポイントでコンテンツをつくることができます。あるいは、趣味やライフスタイルが想像できれば、興味・関心を引くために何を伝えれば良いのかが明確になります。
顧客理解の深化
ペルソナを設定することで、自社のマーケティングスタッフ全員が顧客についての理解を深めることができます。その結果、顧客のニーズや要望をより的確に捉えることができ、顧客満足度の向上やリピート率の向上、新商品開発などにつながります。
競合優位性の確立
ペルソナを具体的に設定すれば、他社との差別化につながります。同業他社であっても設定したペルソナが異なれば、競争自体を避けることも可能です。このようにペルソナの設定は、無意味な競争を避けて自社の収益拡大に役立ちます。
社内で共通認識を持つため
ペルソナを設定することで、自社のサイトにどのような人が来てほしいのかが明確になります。検索ボリュームの多いキーワードで上位表示できれば自然とアクセスが集まるのだからそれで十分だろうと考えるのはあまりに早計です。
検索ボリュームの多いキーワードで上位化できてもサイトの目的を達成できなければ意味がありません。多くの場合、目標は問い合わせや購入になりますが、ビッグワードは曖昧な意味を持つことが多く、ペルソナに対してどういう商品や企画であればアプローチできるかを考えることで少ない労力で目標を達成しやすくなります。
結果的には社内で共通認識を持つことで時間の節約や無駄なコストをかけずに済むというメリットがあります。
ユーザーニーズを満たすため
ペルソナを明確に設定するということは、その人に対する悩みを解決できるということです。悩みを解決できるということはまさしくユーザーニーズですので、仮に設置したペルソナが十分に満足する商品や企画をすることでユーザーニーズを満たす=検索上位に表示されやすいということになり、結果的にSEOが上手くいきます。
ペルソナの設定方法
ペルソナの設定方法ですが、大きく3つのステップが必要です。
- 自社の強み分析
- 顧客や社内で情報収集
- 設定項目を埋める
まずは自社の強みを分析してください。サイトを作る際にSWOT分析(強み:Strength、弱み:Weakness、機会:Opportunity、脅威:Threat)をしていれば、そのまま使えます。この強みを生かしてペルソナにアプローチする必要があります。
次に、顧客や社内で情報収集をしてください。どのような悩みを持つ顧客が多いのか、本音はどうなのかの情報を集めることでペルソナを作りやすくなります。顧客に直に聞くことができればよいですが、直接聞けない場合でも営業担当が顧客でも把握していないようなニーズを知っていることがあります。
自社の強みと情報収集が終わったら設定項目を設けて埋めることで完成します。ペルソナは仮説になりますので正しいとは限りませんし、十分とも言い切れません。時間の経過とともに作り変えていったり、増やしたりすることでより深くサイトを充実できます。
自社の強みを分析
どのようなサービスでも自社と他社の違いやそれぞれの強みを把握しなければ戦えません。仮に明らかに他社の方が強いのに同じ分野で戦おうとしても負けることがわかっているからです。
自社の強みは何かを突き詰めて考え、それをどのようにペルソナに届かせるかはペルソナマーケティングでなくとも非常に重要な施策です。
情報収集をする
ペルソナを作る前にできる限り情報を集めてください。顧客にインタビューやアンケートを取るのもよいですし、社内で問い合わせメールや過去の資料を探すのもよいです。
意外に営業担当者が顧客でも把握していない本音を知っていることもありますし、必要によってはYahoo知恵袋や匿名の大型掲示板、SNSなどで調べることで本音が引き出せることがあります。
設定項目を埋める
ペルソナを作る際にインターネットで調べればペルソナ用のシートが簡単に見つかりますが、項目は本当に自社に必要かどうかを考えてください。配布されているシートでもかなり網羅されていますが、一般論としてのシートであることが多いからです。
シートのサンプルとしては次のようなものがあります。
ペルソナシート.サンプル1
ペルソナシート.サンプル2
シートの項目を考える際に必要になるのはデモグラフィックとサイコグラフィックの2つです。
デモグラフィック
人口統計学的属性。 顧客データ分析の切り口のひとつ。 デモグラフィックは人口統計学的属性、つまり性別、年齢、住んでいる地域、所得、職業、学歴、家族構成などその人のもつ社会経済的な特質データ。
デモグラフィック|コトバンク より
サイコグラフィック
心理学的属性。ライフスタイル、行動、信念(宗教)、価値観、個性、購買動機、あるいは商品使用程度によって顧客を分類するための基準。一般に購買者の心理的要因を総評している言葉。
サイコグラフィック|コトバンク より
具体的な設定項目
下記は一例ですが、これらの項目が埋まればかなり具体的に設定できたはずです。ただし、ペルソナを作るのは項目を埋めることが目的ではなく、悩みや抱えている問題を明確にして自社商品を届けることが目的です。ここは意識して作ってみてください。
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 学歴
- 職業
- 役職
- 年収
- 居住地(賃貸か持ち家か)
- 既婚・未婚
- 家族構成(子供の数や同居家族)
- 趣味
- 日課
- 利用しているSNS
- 使っているデバイス
- 価値観・ライフスタイル・ストーリー
- 生活パターン
- ニーズ・ウォンツ
ペルソナ作成時の注意点
ペルソナは仮説ですので自由に作って構いません。間違っていれば後で修正できますし、必要があれば追記したり、追加したりすることは可能です。
それでも作る際には次の3つは意識してみてください。
- 実際にいる人を作る
- 主観で作らない
- 関係者がイメージしやすいように
実際にいる人を作る
ペルソナは仮説とはいえ、存在するであろう架空の個人です。明らかに存在しない人を設定しても意味がありません。実際に顧客になった方のデモグラフィックをよくよく見ることで大きくずれることはないはずですが、一度作ったペルソナも定期的に見直すことで精度が高くなります。
主観で作らない
ペルソナは自由に作れるため、こういう人がいたらいいなで作りがちです。これは主観が強すぎるためペルソナにならないことが多く、思い込みで作ることは厳禁です。
主観で作らないためには事前に情報収集をして、営業担当に見せたときに「こういう人いるよね」と言われるようなものがよいペルソナです。
関係者がイメージしやすいように
ペルソナを作るのは社内で共通認識を持つためです。実在しそうな個人を作ったとしても社内の関係者がイメージできないもの、イメージしづらいものでは効果は半減です。
ペルソナマーケティングの展望
ここでは、ペルソナマーケティングが今後どのように進化していくのか、その展望についてお伝えします。
AIやビックデータの活用
AIやビックデータを活用することで、顧客の属性や購買プロセスなどがこれまで以上に明確になるはずです。そのため、より細かなペルソナ設定が可能です。ペルソナが具体的になることによって、顧客獲得コストなどが抑えられる可能性があります。
カスタマージャーニーマップとの併用
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を購入するまでのプロセスを可視化したものです。ペルソナ設定をこのカスタマージャーニーマップと組み合わせることで、より多角的なアプローチをすることが可能です。今後は、その併用が進むと考えられます。
ブランド構築や新商品開発に役立てられる
ペルソナマーケティングの手法が進化するに伴い、顧客が求めている価値観などがより具体的になります。そうすると、これまで以上に顧客が求めているニーズを満たしたり、新たな商品開発の加速が予想されます。
以上のようにペルソナマーケティングは今後、他の手法と組み合わされWEBマーケテイングの中で重要な役割を果たすと考えられます。
ペルソナのよくある質問
ここでは、ペルソナについてよくある質問と答えをお伝えします。
Q:ペルソナ設定にはどのような情報が必要?
Answer)ペルソナ設定をするには、性別などの顧客の属性やニーズ、ライフスタイルの情報などが必要です。具体的には下記のような項目です。
- 顧客属性
- 顧客の行動
- 顧客のニーズや課題
- 顧客のライフスタイル
これらの情報を踏まえて、さらにアンケートやインタビューなどをおこなえば、より確かなペルソナ設定をすることができます。
Q:ペルソナは定期的に見直す必要がある?
Answer)ペルソナは定期的に見直す必要があります。理由としては、ターゲット層や市場環境が変化するためです。そのため、定期的にペルソナも見直し、それに合わせてマーケティング施策を調整する必要があります。
Q:ペルソナはどの程度具体的に設定すれば良い?
Answer)できる限り具体的であることが望ましいです。ペルソナ設定が曖昧なままだと、マーケティング施策に無駄が生じたり、方向性を間違えたりするからです。ただ、あまりにも細かく設定すると、その内容をマーケティング施策にいかせない可能性もあるため、バランスを考慮して設定することが大切です。
Q:ペルソナ設定をするためにはどのような方法がある?
Answer)ペルソナ設定をするためには、できる限り情報を事前に収集しておきます。具体的には市場調査やアンケート調査、インタビュー、顧客分析、購入履歴などを調べるのが一般的です。これらの情報を元に現場のスタッフなど社内の関係者からも意見を聴くようにしてください。それらを統合することで、適切なペルソナ設定がおこなえます。
まとめ