マスマーケティングとは?メリットやデメリットと対義語や企業の事例を解説
多くの消費者に自社商品やサービスの情報を届けたい場合に役立つのがマスマーケティングです。現在では、価値観や考え方が多様化する中、マーケティング手法も多様化しています。
SEOやリターゲティング広告などのWebマーケティングは、検索キーワードやユーザーにセグメントするのでマスマーケティングの真逆といえます。マスマーケティングがどういった場合に有効なのか疑問に感じる人もいるでしょう。
マスマーケティングとは
特定のターゲットではなく、すべての消費者に向けて情報を発信する施策がマスマーケティングです。マスマーケティングが普及したのは、ラジオが開発された1920年頃といわれています。当時はほとんどの企業がマスマーケティングを採用しており、自社商品やサービスがたくさん売れました。
ここまでマスマーケティングの効果を得ていたのは、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどマスメディアの影響力が高かったことが考えられます。ただし現代はインターネットが普及し、マスメディアを介さず多くの情報を入手できるようになりました。その結果、現代はターゲットを絞った手法が主流です。
情報収集の手段が多様化しているため、マスマーケティングは古いと考える人もいます。しかし、高齢化が進む日本において若年層に寄せたマーケティングだけでは、すべての消費者に情報は届けられません。マスマーケティングをうまく活用して、若年層から高齢層まで取りこぼさない施策もあります。
マスマーケティングのメリット
情報の収集方法が多様化する時代には合わないといわれるマスマーケティングですが、実施することで多くのメリットを得られます。具体的にどのようなメリットを得られるのか、事前に確認して実施を検討することが大切です。マスマーケティングの主なメリットには、次のようなものがあります。
- 一度に多くの人に情報を届けられる
- 潜在的な顧客にもアプローチできる
- 大量生産で生産コストを抑えられる
- ブランドや企業の知名度を向上できる
一度に多くの人に情報を届けられる
マスマーケティングは、一度に多くの人に情報を届けられるメリットがあります。これは、マスメディアだからこそできる施策です。広告を通して多くの不特定多数の目に触れる機会が増えれば、目にした人の印象に残ります。
一般的に購買の意思決定をおこなう場合、身近に感じるものを選択しやすいといわれています。近年は多くの商品やサービスで溢れており、その中から自社製品を選んでもらわなければいけません。TVCMや新聞広告出稿で露出の機会を増やせば自然と記憶に残るので、他社製品と比べたときに選んでもらえます。
潜在的な顧客にもアプローチできる
マスマーケティングには、潜在的な顧客にもアプローチできる効果もあります。潜在顧客とは自社商品やサービスを知らない、または潜在的にある自分の悩みに気づいていない顧客のことです。
潜在的な顧客に情報を発信することで、今後自社商品やサービスを購入してくれる可能性があります。企業の利益を上げるには、いかに潜在顧客を獲得できるかが重要なポイントになります。潜在顧客の獲得には、マスマーケティングが有効です。
大量生産で生産コストを抑えられる
マスマーケティングで広告出稿することで、多くの消費者に目に触れる機会を得られます。その結果、大量に自社商品が売れる可能性があるため、企業は相応の商品在庫を確保しなければいけません。
一般的に同じ商品をまとめて大量に作れば、スケールメリットを得られます。スケールメリットとは、単体より複数で依頼して大量生産することで費用を抑えられることです。自社商品の大量生産により、生産コストを大幅に削減することができます。
ブランドや企業の知名度を向上できる
マスマーケティングでテレビCMに出稿した場合、一度に多くの消費者に情報を発信できます。情報だけでなく視覚的かつ聴覚的なアプローチができるので、一瞬で消費者を惹きつけられる力があります。
テレビCMの広告費用はかかりますが、1日に何度も流せば消費者にブランドや企業イメージを印象付けることが可能です。今まで知らなかった消費者にブランドや企業を知ってもらえます。食品や日用品、不動産など一般消費者を対象にした製品は、利益向上だけでなくブランディングにも最適です。
マスマーケティングのデメリット
価値観が多様化する現代でも、マスマーケティングを実施すれば多くのメリットを得られます。ただ、マスマーケティングにはデメリットがあることも事実です。デメリットも踏まえたうえで、マスマーケティングを実施するのか検討しましょう。マスマーケティングのデメリットは、次のとおりです。
- 多額の広告費用がかかる
- 顧客に応じて情報を発信できない
- 広告効果を検証するのが難しい
多額の広告費用がかかる
マスマーケティングを実施するには、多額の広告費用がかかります。マスメディアの広告は、出演タレントや演出家、スタイリストなど多くの人々が携わり作られるものです。消費者を魅了するような広告を作成しようとすると、どうしても制作費用がかかります。
基本的にはこだわりが強くなると、広告費用は高くなる傾向があります。広告費用を確保できる企業であれば問題はありませんが、予算がない企業は金銭的な負担が大きくなるはずです。マスマーケティングの集客手法によって広告費用は変わるので、まずは見積もりを取るのがおすすめです。
顧客に応じて情報を発信できない
マスマーケティングは、あくまで不特定多数に情報を発信する際に適した施策です。セグメント化された顧客に対して、自社商品やサービスに関する情報を個別に発信できるわけではありません。
顧客のニーズが多様化する現代において、消費者は自分のテイストにあう商品やサービスの情報を求めています。一般受けするような情報は購買行動に直接的な影響を持たないことも多いです。特定のターゲット層に情報を発信したい場合は、マスマーケティング以外の施策を検討しましょう。
広告効果を検証するのが難しい
マスマーケティングは、広告効果を検証するのが難しいというデメリットがあります。一部の広告ではWebと絡めて広告効果を図る場合もありますが、高齢層への影響を正しく検証することはできません。
広告出稿後に自社商品やサービスが売れたとしても、どのような経路で売れたのか細かい分析をおこなうことが難しいです。次に広告出稿する際も役立てられないため、一か八かでマスマーケティングを実施する企業もあります。
マスマーケティングの集客手法
マスマーケティングはさまざまな手法があるので、状況に応じて適切なものを選ぶことが大切です。自社に合わない手法を選ぶと、期待した効果が出ないこともあるので注意する必要があります。マスマーケティングの集客手法は、次のとおりです。
- 紙媒体
- ビルボード
- テレビ広告
紙媒体
新聞や書籍、雑誌、チラシなど情報を紙に記載して印刷されたものが、紙媒体です。テレビやインターネットが普及する前は、紙媒体で広告を出稿して情報を発信する企業が一般的でした。なかでも、新聞は政治経済から娯楽まで扱う情報が多く、新聞配達という手法で毎日家庭に届けられます。
従来は、手軽に情報を得る手段として新聞が最適でした。雑誌には週刊誌や女性誌、ファッション誌、スポーツ紙など複数の種類があり、特定のターゲット層に向けて情報を発信できます。紙媒体は信頼度も高いので、消費者の信頼も得やすいです。紙媒体は今後衰退すると予測する声もありますが、ネット時代だからこそ貴重な存在になりつつあります。
ビルボード
看板広告や交通広告など屋外にいる消費者を対象にしたものが、ビルボードです。一般的には交通量の多い地域や場所に広告を貼り、より多くの人に自社商品やサービスの情報を発信します。ビルボード広告には、看板広告や交通広告のほかに広告塔やポスター、ビルの壁面広告などがあります。
ビルボード広告は、掲載できる地域を絞れるのがメリットです。自社商品やサービスのターゲット層に応じて掲載する地域を選べるので、より効果的に訴求できます。また視覚的にアプローチできるため、伝えたい情報を一目見ただけでわかります。何度も通る場所に広告があれば、毎日目にするため消費者の印象にも残りやすくなるのもメリットです。
テレビ広告
より多くの消費者に情報を届けられるのが、テレビ広告です。近年は若者のテレビ離れが進んでいますが、それでも自宅にテレビがある家庭は多いので目に触れる機会を与えられます。特にニュース番組やゴールデンタイムなど消費者がテレビを付ける時間帯を狙えば効果も大きいです。
また紙媒体やビルボード広告と異なり、テレビは視聴率で影響力を分析することが可能です。従来はCM広告の効果測定を正確におこなうのが困難でしたが、近年は瞬間指名検索数から広告効果を可視化することが可能になりました。広告効果を分析したいなら、テレビ広告の出稿がおすすめです。
マスマーケティングの対義語
価値観が多様化する現代において、マスマーケティングを実施すれば必ず期待した効果が出るとは限りません。さまざまなマーケティングを実施することで、あらゆる層に情報を届けられます。マスマーケティングの対義語として扱われるマーケティング手法には、次のようなものが挙げられます。
- ニッチマーケティング
- ダイレクトマーケティング
- セグメントマーケティング
- スモールマスマーケティング
ニッチマーケティング
特定の市場を狙って情報を届け、収益に繋げる手法です。大企業が目を付けていない分野にいち早く参入し、差別化を図ります。ニッチマーケティングは競合他社が少なく価格を高く設定しても市場を独占できるので高い収益性が期待できるのが特徴です。また、その分野で先駆者になれるため、企業の知名度向上や新規取引きの獲得にも繋がります。
ダイレクトマーケティング
企業が顧客と直接コミュニケーションを取りながら購入を促すマーケティング手法です。インターネットが普及したことにより、メールやSNSなど企業は顧客と直接繋がれる機会を得られました。ターゲットの属性に応じてアプローチできるので、費用対効果を得られるのが特徴です。また、ネット広告を出稿すれば効果を数値で検証できます。
セグメントマーケティング
年齢や性別、興味など属性に合わせて顧客をグループ化し、個別にアプローチするマーケティング手法です。一人ひとりに応じて情報を発信できるので、効率的な訴求効果を高められます。テレビ離れやSNSが普及するなか、セグメントマーケティングが注目されています。マスマーケティングと並行して実施すれば幅広い層へのアプローチが可能です。
スモールマスマーケティング
一般的なマスより小さい消費者を狙ったマーケティング手法です。ライフスタイルの変化から消費者の興味やニーズは多様化しました。その結果、多くのスモールニーズが生まれている状態です。マスを対象にした施策では取り溢れてしまう消費者が出てしまいます。そこで生まれたのが、スモールマスマーケティングです。
マスマーケティングの注意点
テレビや雑誌、新聞が主流メディアだった時代は、マスマーケティングで絶大な効果を得られました。ただ近年は、テレビ離れやSNSの普及により、消費者のニーズは細分化されています。より多くの人に情報を届けたい場合はマスマーケティング手法は効果がありますが、それだけでは取りこぼしてしまう消費者がいることも事実です。
マスマーケティングだけでなく、ニッチマーケティングやダイレクトマーケティングなど複数のマーケティング戦略を立てることが求められます。注意すべき点は、それぞれの特性を理解したうえでマーケティング戦略を立てることです。使い方によっては期待した以上の効果を得られることもあるので、自社に適したマーケティング戦略を立てましょう。
マスマーケティングの企業事例
マスマーケティングを検討しているものの、うまくいくか心配になる人もいるはずです。ここでは、マスマーケティングの企業事例をまとめました。それぞれの成功事例を確認して、マスマーケティングを実施する際の参考にしましょう。
- マクドナルド
- ソフトバンク
- コカ・コーラ
マクドナルド
若年層から高齢層まで幅広いファンがいるマクドナルドは、マスマーケティングに注力する企業です。特にCM広告に力を入れており、1日1回はテレビで必ず見るというほど何回も放映されています。
その結果、ハンバーガーといえばマクドナルドといったイメージを定着させ、多くの新規顧客を獲得してきました。ただし日本では若年層を中心にテレビ離れが進んでいるので、SNS広告や動画広告などデジタルマーケティングにも取り組んでいます。
サイトURL:マクドナルド
ソフトバンク
スマホやインターネット通信、固定電話などライフスタイルを豊かにするサービスを提供する企業です。ソフトバンクはCM広告に力を入れており、幅広い年代のファン獲得に成功しています。お父さんを犬にした白戸家のCMは有名です。
ストーリー性のあるCMは消費者を惹きつけ、記憶に残ります。マクドナルドと同じく1日に多くのCMが放送されており、マスマーケティングを戦略的に活用しています。
サイトURL:ソフトバンク
コカ・コーラ
世界中で愛されているコカ・コーラもマスマーケティングに成功している企業です。日本でコカ・コーラの知名度を上げたのは、1960年代頃になります。「いつでも・どこでも・だれにでも」のキャッチフレーズと赤いラベルを印象付けるCMを作成し、炭酸飲料としての存在が確立されました。
コカ・コーラは時代に合わせたCMを作成し、多くの新規ファンを獲得しています。また、コカ・コーラはセグメントマーケティングも実施しており、ダイエットを頑張る人に向けた「コカ・コーラゼロ」の商品も販売しているのも特徴です。
サイトURL:コカ・コーラ
まとめ