マーケティングの身近な事例8選!活用できるテクニック例も紹介
マーケティングと聞くと、今までにはない画期的なアイデアによって成功していると捉えやすいですが、実際はすべて事例に当てはまるわけではありません。
以前から活用されている手法ではあるものの、アプローチの仕方に工夫をしているだけという場合もあります。また世の中の身近な例でもマーケティングが活用されているため、学べるポイントは数多く存在します。
マーケティングの身近な事例8選
ここでは以下の祝日やイベントに関するマーケティング事例、そして身近な企業のマーケティング事例を厳選して紹介していきます。
初詣
新年最初のイベントとして馴染みのある初詣ですが、もとをたどればマーケティングとして考案された事例になります。
具体的には、ある鉄道会社が正月期間の利用客増加を目的として考案したのが始まりです。正月は出掛ける人が少なく鉄道の利用客も減少します。そこで神社への参拝を促す広告を制作し、初詣という言葉と合わせて広めました。
もともと大晦日や信念に参拝する人はいたものの、当時は初詣という言葉が存在しません。また現在のように一年のご加護を祈るといったこともなかったはずです。
しかしながら現在では文化として多くの人に浸透し、知らない人がいないほど当たり前の風習となっています。
バレンタインデー
バレンタインデーも日本人なら知らない人がいないほど定着しているイベントですが、始まりはある製菓会社のキャンペーンとして知られています。
最初にバレンタインが行われたのは、1959年代に「バレンタインセール」という広告が掲載されたことがきっかけです。しかし当時はチョコレートを渡すというものではなく、化粧品や小物など、さまざまな物品がプレゼントの対象でした。
現在のように女性がチョコレートを渡すという文化は、1980年代にチョコレート販売を行っていた製菓会社が打ち出したキャンペーンが始まりです。小学生から高校生までの学生を軸に広まり、いまでは年代をとわずに親しまれている風習といえます。
このように企業が仕掛けたマーケティングが長期間に渡って定着し、気づけば風習として当たり前の状態になっている事例も多くあります。
土用の丑の日
一年に一回訪れる土用の丑の日ではうなぎを食べることが定着していますが、始まりは江戸時代のある蘭学者と言われています。
現在では夏季の味覚としてうなぎを食べることが一般的ですが、当時は夏にうなぎが売れない状況でした。そこで蘭学者は知り合いのうなぎ屋を救う手段として、土用の丑の日と書いた紙を店前に張り出し、客の呼び込みに成功しています。
それ以降は他のうなぎ屋がこぞって真似るほど、土用の丑の日は多くの客に浸透した風習となっています。土用の丑の日ほど定着させることは簡単ではありませんが、仮に売上が低迷しているような商品やサービスだとしても、見せ方次第で販売につなげられることを学べる事例です。
結婚指輪
結婚指輪と聞くと「給料の3ヶ月分」というイメージをもつ方も多いのではないでしょうか。
婚約のタイミングで結婚指輪を送る風習は中世のヨーロッパ時代が始まりと言われていますが、給料の3ヶ月分という価格帯は日本企業のマーケティング戦略となります。
そもそも日本で結婚指輪を送る風習が定着したのは1970年代ごろです。ただし当時は現在ほど高額な費用をかけることなく、平均給料の1ヶ月分程度と考えられます。
現在の価値観が定着したのは、ジュエリー会社が放映したCMの影響です。CM内で「給料の3ヶ月分」というフレーズを活用したことがきっかけとなり、バブル時期も重なって急激に広まりました。
このように商品の認知や購買の促進はもちろんのこと、価格帯の定着化を図れる点もマーケティングの強みといえます。
パーソナルトレーニング企業
近年はフィットネス分野が拡大しておりパーソナルトレーニングが一般的となりましたが、以前までのフィットネス業界は小さな市場でした。
そのようななかで一躍ブームを引き起こしたのが、あるパーソナルトレーニング企業の事例です。
トレーニングによるビフォーアフターの身体を効果的に映し出し、印象強いフレーズとともに見事なブランディング戦略を行いました。
他にも以下のポイントが成功の秘訣と考えられます。
- 積極的な広告プロモーションの活用
- 誰もが知る芸能人の起用
- 安心できる全額返金保証
また従来までは月額制のスポーツジムが主流でしたが、短期間で効果を出すパーソナルジムというブルーオーシャン領域も成功のポイントです。
マーケティング戦略を徹底的に考え自社の強みをしっかりと打ち出している点は、どの企業も参考にすべき事例といえます。
ファストフード店
日本でも有名なフライドチキンを販売しているファストフード店は、クリスマスには行列が並ぶほど、クリスマスを活用したマーケティングに成功しています。
もともとはアメリカの企業となり、1970年に日本で1号店をオープンしました。海外でクリスマスに七面鳥を食べる習慣から着想を得て、パーティー仕様のチキンセットを販売し始めたことがヒットに。
日本人はクリスマスを祝うという風習もなかったため「クリスマスは(企業名)」というキャッチフレーズのもと、海外での祝い方を上手に活用しました。
シンプルな訴求方法ではあるものの、企業名と関連語句から印象強いフレーズを作り出したことが成功のポイントと考えられます。
コーヒーチェーン店
従来までの喫茶店とは異なり、定員の接客スタイルや店内の居心地の良さなど、新しい価値観を植え付けたのがあるコーヒーチェーン店の成功事例です。
また一般的なマーケティング手法と大きく異なるポイントが、広告宣伝を一切活用しないことです。本来はブランドとして確立するため、まずは広告宣伝によって認知度を向上させます。
しかし事例のコーヒーチェーン店は、実際に来店した顧客を満足させ、再度行きたくなるような「体験の提供」からブランドを確立しました。
価格は決して安くはないものの、独自の訴求ポイントや季節限定の商品開発、そして競合にはない非日常の体験が多くのファン獲得につながり大ブランドへと成長しています。
このように価格や商品だけでなく、消費者体験といった店舗独自の強みは、競合との差別化を図るうえでも重要な成功ポイントといえます。
ファストファッションブランド
日本だけでなく世界のアパレル業界で首位を勝ち取ったファストファッションブランドは、独自のブランド力と戦略的なマーケティングによって成功した事例です。
独自のブランド力や、価格が安いにもかかわらず高品質な商品の展開など、機能性を兼ね備えたシンプルなデザイン設計が強みとなります。
また戦略的なマーケティングでは、時代にあったWeb広告やECサイトはもちろんのこと、週に一回新聞の折り込みチラシを活用している点がポイントです。
チラシでは消費者の購買を促進するため、意図的に情報量を多くしています。いわばセール商品を見つける宝探し感覚が好評となり、多くの消費者が実店舗に足を運んでいます。
このように消費者心理を考えた戦略的なマーケティングは、さまざまな面で参考にできる事例といえます。
マーケティングで活用できる身近なテクニック例5選
マーケティングでは戦略として確立した手法だけでなく、心理学を活用したテクニックも数多く存在します。
なかでも活用の幅が広く、即座に取り入れられるテクニック5選を紹介していきます。
- カラーバス効果
- アンカリング効果
- カリギュラ効果
- ザイオンス効果
- 返報性の原則
カラーバス効果
カラーバス効果とは、特定の事柄を意識することで、日常的に関連する情報が目に留まりやすくなる現象のことです。
本来、人間は五感で情報をキャッチしていますが、無意識のなかで情報の取捨選択を行っています。そのため自分がいま必要としていない情報であれば、気づかぬ間に見落としていることもあるはずです。
しかしカラーバス効果では、特定の事柄に関する情報は常にキャッチできる状態となります。
そのためマーケティングではカラーバス効果を活用し、消費者に情報への意識を強める施策が効果的です。
例えば「糖質を気にしている30代男性のあなたにおすすめ!」といった広告の場合、該当する消費者はまさに自分に向けた商品だと感じるはずです。このように詳細なターゲットへ訴求することで、カラーバス効果によって内容をダイレクトに伝えられます。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に印象の強い情報を与えることで、その後の行動に影響を及ぼす現象のことです。
人間は少ない情報量のとき、認知している情報を主軸に、偏った状況下で判断してしまう場合があります。
例えばある商品が「50%オフ」となっている場合、商品の情報が一切なければ多くの人が「お買い得商品」と認識するはずです。しかし商品の相場価格に関する情報があれば、50%オフでも相場より高い商品は購入しない選択をとります。
日常でも活用される場面が多い心理テクニックとなるため、マーケティングでも実践しやすい手法です。ただし活用する際は「異常な割引額の提示」などに注意をし、妥当な範囲内で取り入れましょう。
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、禁止されている行為ほど興味が強まり、最終的には行動に移してしまう現象のことです。
例えば、
- 「稼ぎたい人以外見ないでください」
- 「ダイエットしたい人以外はおすすめしません」
など、一見胡散臭く感じるタイトルですが、かえって興味がそそられます。
このようにカリギュラ効果は広告のキャッチコピーや、コンテンツのタイトルとして効果を発揮するテクニックです。そのためクリック率やメルマガの開封率を高めたい場合に活用しましょう。
ザイオンス効果
ザイオンス効果とは、同じ相手に何度も接触することで、自分の評価や高感度が向上していく現象のことです。
初対面ではいい印象を抱いていない場合でも、何度か会ううちに良い印象に変化するなどが挙げられます。基本的には接触回数が増えるほど警戒心が弱まり、親近感が強まっていくといえます。
マーケティングで考えると、営業マンが何度も同じ会社を訪れ、徐々に信頼関係を強めていく手順が見本的な例です。
他にもメルマガ配信やブログの更新など、Webを活用して接触回数を高める方法も数多く存在します。
ただし一度「嫌い」と判断された相手には効果が見込めないため、できるだけ関係値の低い状態で活用しましょう。
返報性の法則
返報性の法則とは、人から何かをしてもらった際に、同じようにお返ししたいと感じる現象のことです。
以下の4種類が存在します。
- 行為の返報性
- 敵意の返報性
- 譲歩の返報性
- 自己開示の返報性
マーケティング分野でも幅広く活用できますが、例としてコンテンツ配信が挙げられます。仮にSNSでユーザーの役立つ情報を発信していた場合、ユーザー側からは「いつも役立つ情報を得ているから、企業の情報を拡散しよう」などとプラスに働くこともあります。
他にも企業の無料相談で丁寧にカウンセリングした場合、顧客としても「少しは契約しようかな」などの感情が芽生えることもあります。
ただし見返り目的のあからさまな対応では相手に悟られてしまうため、あくまで見返りを求めずに活用しましょう。
マーケティングを成功させるポイント
マーケティングを成功させるためには、成功事例を分析し要因を考えることが重要になります。なかでも成功事例に共通するポイントは、以下の3つといえます。
- ターゲットを明確にする
- 消費者の利益を明確にする
- 競合との差別化を図る
各々、解説していきます。
ターゲットを明確にする
まず重要視すべき成功ポイントが、ターゲットを明確にすることです。
ターゲットを明確にしない場合、不特定多数の対象に向けてアプローチしなければいけません。そのため効果を得るまでには時間がかかり、マーケティングにかかるコストも膨大になります。
しかし明確なターゲットに向けたマーケティングであれば、少ないアプローチ数でも対象に響きやすく、効果を得やすいことが強みです。
ターゲット選定については扱う商品やサービスによって異なりますが、年齢や性別といった基本情報以外にも、趣味やライフスタイルも加味した戦略を考えましょう。
消費者の利益を明確にする
消費者の興味を引くアプローチを行なうためには、得られる利益を明確にすることが重要です。
よくある例として、ターゲット選定は行えているものの、具体的な内容を伝えられていないケースが挙げられます。
世の中に存在しない画期的な商品であれば問題ありませんが、消費者は日々多くの情報に触れているため、自分にとって利益になると感じない限り興味をもちません。
そのため自社の特徴を端的に伝えられる内容やキャッチコピーを考え、消費者が得られる利益を瞬時に理解できるアプローチを行いましょう。
競合との差別化を図る
最後に紹介する成功ポイントは、競合との差別化を図り、自社の強みをしっかりと伝えることです。
前述の内容と共通する部分でもありますが、ありきたりな特徴や情報だけでは消費者の興味を引くことはできません。
逆に競合と明確に差別化された商品やサービスの場合、どんなにレッドオーシャンの領域だとしても、十分に競り勝つことが可能です。
一度有利なポジションを確立できればその後のマーケティング施策は行いやすくなるため、自社の強みや訴求ポイントを丁寧に考え、競合との差別化を図りましょう。