マーケティングとは?種類や効率化を図る方法について解説!
商品やサービスの売上最大化を目指すためには、適切な商品流通と認知活動が不可欠です。ターゲットと商品が接する場面を増やしたり、「自社商品は消費者のニーズを満たせるもの」であることを知ってもらう必要があります。そこで活用される手法がマーケティングと呼ばれるものです。
マーケティングとは
マーケティングとは、商品やサービスを売る仕組みを構築して、自社の利益を上げるための一連の施策を指します。具体的には、下記のアクションのすべてがマーケティング活動です。
- 市場調査
- データ分析
- 広告プロモーションや営業
- 効果検証
しかし現実的には、リサーチや広告宣伝、または集客方法を指してマーケティングという用語を使用するケースがあります。話し手や文脈によって、解釈が変わる場合がありますので混同しないように注意してください。
セールスとの違い
セールスとマーケティングは、売上を伸ばし利益を出すことが最終目標である点で共通します。しかしセールスとは、自社商品やサービスを売り込むための営業活動のことです。セールスはあくまで、売り込むための一連の活動を指します。
一方マーケティングは、商品を売り込むのではなくて、売る仕組みを構築して実行することを指しています。そのため、セールスはマーケティング活動の一部ということになります。
広告プロモーションとの違い
広告プロモーションは、メディアを活用して商品やサービスの存在や機能性を消費者に認知させるための手段です。そのため、広告プロモーションは営業活動と同じくマーケティング活動に包括されているという位置付けです。
集客との違い
マーケティングと集客という用語が混同されるケースが多々見られますが、厳密には異なる意味合いを持ちます。集客とは、広義の意味では特定の場所に人を集める作業を指します。そしてマーケティング用語では、人を集めてさらに顧客化するまでの工程を意味します。集客は人を集める方法や顧客化する手段のことですので、マーケティング活動の一部に属します。
マーケティングを実施するメリット
マーケティングを実施するメリットは、主に下記のとおりです。
- 効果的な商品訴求と商品配置
- 競合商品との差別化
効果的な商品訴求と商品配置
マーケティング施策を実行することで、市場調査を通じて、商品やサービスをどのように販売すればよいのかを特定できます。調査データをもとに、販売エリアや認知施策を検討できるため、効果的な商品訴求を期待できます。とくに大々的な広告宣伝をするとなると、多額の費用が必要です。広告の費用対効果を考慮するならば、マーケティングは必要な活動です。
競合商品との差別化
マーケティング施策が成功すると、消費者に的確な商品認知が広まります。とくに商品やサービスについて、消費者が正しい知識を持つようになると、自社商品と競合商品の違いを認識させられます。競合商品との差別化が進み、さらに自社商品の価値に自信がある場合は、大きくシェアを伸ばすチャンスが生まれます。
マーケティングを実施する上での注意点
マーケティングを実施する上で注意点があります。そのなかでも代表的な注意事項をご紹介していきます。
- コストがかかる
- 商品力の問題
- リサーチと分析の判断ミス
コストがかかる
マーケティング活動を実施すると、ひとつの商品やサービスの販売を強化するために複数の部署が対応に追われます。これは施策ないようにもよりますが、一定の工数もかかるため、人件費がかさみます。さらに広告を展開する場合は、メディアに出稿する予算を確保する必要があります。
商品力の問題
マーケティングはひとつの商品やサービスの販売強化を目的に実施されます。そのときに、そもそもの商品力やニーズがあるか否かが問われます。ニーズがない、もしくは自社商品が競合商品に品質面で劣っている場合は、期待した効果を得られないことがあります。
リサーチと分析の判断ミス
マーケティングでは、リサーチで得たデータをもとに販売施策を練ります。そのため、マーケティングの軸ともいえるリサーチや分析の段階でミスが発生すると、誤った販売施策を展開してしまうリスクがあります。時間と費用を消費して、その見返りを得られないといった可能性があります。
マーケティングの進め方
マーケティングは、下記のフローで進めていきます。
- 目標設定
- マーケティングリサーチ
- 分析と戦略
- 販売強化の施策
- 効果測定
目標設定
施策を進める前に、マーケティング活動の狙いと目的を設定します。合わせて課題を抽出しておくと、リサーチや今後の方針を決める際に役立ちます。合わせて事前に具体的な数値などで目標を立てておくことで、効果測定時に明確な答え合わせをできます。
狙いや目的を設定せずに見切り発車でマーケティングを進めると、そもそもマーケティング施策が不要だったということになりかねないので注意してください。
マーケティングリサーチ
マーケティングリサーチは、消費者のニーズを引き出すことが主な目的です。そこで下記のようにリサーチの進め方を決めます。
- 調査対象
- 調査方法
- 調査項目
調査対象
調査対象とは、リサーチ時にアンケートやインタビューする対象です。商品やサービスのターゲット層を設定します。調査対象の選定では、より具体的な属性を設定してください。
調査方法
実際にどのように調査をするのかを決めます。調査方法は、細かく分けていくとさまざまな手法があります。そのなかで具体的手段として代表的なものは下記のようなものがあります。
- アンケート
- インタビュー
- グループディスカッション
- 試供サンプルの提供
調査項目
調査項目とは、アンケートなどで使用する設問やディスカッションのテーマなどを指します。ターゲットに対し質問を投げかけて、どのようなデータを集めたいのかを検討の上で決めていきます。
分析と戦略
リサーチを終えてサンプルデータが集まったら、分析して実際の戦略を組み立てていきます。
まず分析では、フレームワークと呼ばれるマーケティング分析時に利用される枠組みに則ります。分析結果を得たら、主に下記のような今後の営業や広告プロモーションを決定していきます。
- 訴求ターゲット
- 訴求内容
- 訴求方法
- 販売チャネル
自社商品やサービスを誰に、どのようなことを、どのような手段で訴求していくかを決めていきます。合わせて、販売手段として配布する店舗やエリア、商品であれば流通させる数などを設定します。
販売強化の施策
商品やサービスを消費者に認知させる手段は、主に下記の3つが挙げられます。
- 広告活動
- 広報活動
- 営業活動
広告活動
広告は、メディアに費用を支払って商品やサービス情報を掲載して認知を広める宣伝方法です。代表的なメディアとしては下記のようなものがあります。
- テレビやラジオ放送局
- 雑誌や新聞などの紙メディア
- OOH(アウト・オブ・ホーム)や交通機関
- WEBサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
なおOOH(アウト・オブ・ホーム)とは、大型ビジョンやビルの看板など屋外広告全域を指します。
広報活動
広報活動は、社内から外部に向けて自社商品やサービス情報を発信する宣伝方法です。広告と異なり、コストを抑えた認知を実現できます。具体的な手法として下記のようなものがあります。
- プレスリリースの発行
- パブリシティ掲載の打診
- 記者発表やイベント企画
このうちパブリシティ掲載の打診とは、メディアが自発的に自社商品やサービス情報を掲載してもらうように働きかけることです。普段から付き合いのあるメディアや記者などに依頼するケースが一般的な手法です。
営業活動
営業活動では、主に商品やサービスの直接的な売り込みや、商品やサービスを販売するためのチャネル作りをします。そのための手段として、下記のような活動をします。
- テレアポや飛び込み営業
- 販売店舗のルート営業や開拓
効果測定
販売強化のための活動を進めたら、一定の期間を設定して効果を測定します。具体的には、下記のような要素をチェックします。
- 事前の目標設定に対して、どの程度の効果があったのか
- マーケティング施策の前後で売上がどの程度変化したのか
- 効果が見られたと活動と効果が見られなかった活動
一般的には人件費や備蓄費を含めて、利益が伸びた場合はマーケティング活動を実行します。逆に効果が見られなかった場合は、その理由を洗い出して施策を停止するか、または改善して続行するかといった判断を下します。
マーケティング分析のフレームワーク
マーケティング分析する際に、よく用いられるフレームワークは下記のようなものがあります。
- 3C分析
- 4P分析
- ファイブフォース分析
- STP分析
- SWOT分析
このうち、代表的なフレームワークの例として3C分析と4P分析についてご紹介します。
3C分析とは
3C分析とは、「Customer=消費者」「Competitor=競合」「Company=自社」の頭文字をとったマーケティング分析の用語です。3C分析では、競合と消費者といった、自社が参入する市場を調査していきます。具体的には、下記のような要素をリサーチして分析します。
- 消費者のニーズや行動履歴
- 競合商品の特徴やシェア
- 自社商品の特徴やシェア
4P分析とは
4P分析とは、「Product=商品」、「Price=価格」、「Place=流通」、「Promotion=プロモーション」の頭文字をとったマーケティング分析のことです。この分析対象は、すべて自社で完結する要素で主に消費者のニーズと自社商品の相性を確認するための施策です。
また4P分析では、これらの要素感で矛盾がないかどうかをチェックすることも大切です。要素間の矛盾としては、下記のような例があります。
- 消費者ニーズに合致しない商品の機能性
- ターゲットの可処分所得を考慮していない価格設定
- ターゲットの流動性が低いエリアでの商品流通
- 消費者ニーズに合致しない広告クリエイティブ
マーケティングの種類
一口にマーケティングといっても、その手法は下記のとおり千差万別です。自社の商品特徴や狙いにあった手法を採用してください。
- マスマーケティング
- ダイレクトマーケティング
- インバウンドマーケティング
- デジタルマーケティング
- WEBマーケティング
- SNSマーケティング
- バイラルマーケティング
- インサイトマーケティング
- ブランドマーケティング
マスマーケティング
マスマーケティングとは、商品やサービスの認知拡大の手段としてマスメディアを通じて消費者に訴求していくことです。そもそもマスメディアとは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4つのマス媒体の総称で、こうした歴史あるメディアを活用していくことになります。またマスマーケティングには、下記のような大きな特徴があります。
- ブランディング効果を期待できる
- リーチできる層が広い
- 獲得数が多い
- 広告コストが高い
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは、特定のターゲットに狙いを定めてプロモーションすることを指します。メールマガジンやSNSアカウントなどを利用してターゲットと直接的に接する機会があることから、顧客データを蓄積しやすいといった特徴があります。またダイレクトマーケティングではターゲットを限定するため、特徴としては下記のような要素が挙げられます。
- 顧客ログを蓄積しやすい
- 効果検証時に利用できるデータが豊富
- 費用対効果面で期待できる
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングとは、WEBサイトなどで自社商品を発信して活動的な消費者を顧客化する施策です。消費者が自社の商品情報にたどり着くための導線が商品サイトやSNSアカウントなどにあたるため、いかに優れたコンテンツを作成できるかどうかが大切になります。
また顧客化するためには、消費者に信頼されて満足させる必要があります。そのため、前提として商品やサービス力の高さが求められます。インバウンドマーケティングの特徴としては、下記のようなものがあります。
- 顧客ログを蓄積しやすい
- 広告色が薄く消費者に受け入れられやすい
- ランディングコストが低め
デジタルマーケティング
デジタルマーケティグとは、デジタル技術の全般をマーケティング活動に取り入れる手法です。ここでいうデジタルは、WEBサイトやSNSといったWEB上のインターネットメディアのみならず、スマートフォンなどの筐体からビッグデータなどの技術まで幅広い領域を指します。具体的な活用方法としては、下記のようなものがあります。
- スマートフォン向けに商品アプリを配信して、顧客データを収集する
- 業務提携した大手企業のビッグデータを活用して、リサーチと分析に役立てる
- メタバース(仮想空間)に商品店舗を設置して、販売経路に利用する
WEBマーケティング
WEBマーケティングとは、WEBサイトや広告といったWEB上のコンテンツを利用してマーケティングを展開することです。デジタルマーケティングの一部にあたり、とくにWEBに特化したマーケティング施策です。WEBマーケティングとしては下記のような具体例が挙げられます。
- 商品サイトを設置して、SEO施策で検索順位を高める
- 商品サイトにアンケート機能を実装して、顧客データを収集する
- WEB広告を出稿して、商品サイトへの流入を促す
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、SNS(Social networking service)を活用したマーケティング施策を指します。そもそもSNSとは、双方向性に特化したコミュニケーションツールのことです。近年では、SNSを利用する生活者が増えていて、消費者ニーズを引き出すうえで重宝するフィールドとなっています。具体的には、下記のような活用例があります。
- 商品用のSNSアカウントを運用して、消費者のニーズや商品に対する評価を探る
- SNS広告やインフルエンサーに出稿し、情報拡散させて商品認知度を高める
- キャンペーンを企画して、情報拡散を狙いつつも商品のファンを増やす
バイラルマーケティング
バイラルマーケティングとは、WEBサイトやSNSの口コミを利用し、話題喚起して消費者の間で商品やサービス情報を拡散させるマーケティング手法のことです。バイラルマーケティングでは、バイラルコンテンツと呼ばれる、話題喚起のためのネタを用意します。バイラルマーケティングが成功するか否かは、このコンテンツをいかに作り出せるかにかかっています。
インサイトマーケティング
インサイトマーケティングとは、顧客インサイトを見つけて新たなニーズと市場を生み出すマーケティング方法です。顧客インサイトとは、ニーズにつながる消費者が持つ無意識の心理のことです。インサイトマーケティングではリサーチや分析を通じて、新たなニーズを発掘して消費者に気付かせることを狙いとしています。
ブランドマーケティング
ブランドマーケティングとは、商品やサービスを消費者の意識レベルに根付かせるための一連のマーケティング活動を指します。一般的なマーケティング活動と比較すると、いかに商品やサービスの付加価値を高めて、消費者が生活するうえで便利なものであるかを深く理解してもらうことを重視しています。そのため、長期的な視点で商品育成をしたいケースなどに適しています。
マーケティングの効率化を図る方法
マーケティング活動の効率化を図る方法をご紹介します。
- マーケティングオートメーション(MA)の導入
- クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の導入
マーケティングオートメーション(MA)の導入
マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティング活動における顧客情報を自動管理できるツールの総称です。主にBtoB向けのもので、リード(見込み顧客)やその確度設定から商談といった活動をカバーできるため、営業部門やマーケティング部門の業務効率化を図れます。MAを導入している企業では、下記のような狙いで活用されています。
- 見込み顧客(法人)のデータ管理簡略化
- 見込み顧客数(法人)や商談回数の増加
クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)の導入
クロスチャネル・キャンペーン・マネジメント(CCCM)は、マーケティング活動の顧客管理ツールで、MAの一種として位置付けられます。MAとCCOMの違いは、前者が主にBtoB向けのものであることに対して、後者はBtoC向けとして利用されます。CCOMでは、プロモーションから消費者の来店までのフローを管理できます。CCOMは下記のような目的で使われています。
- 最適なプロモーション活動の検証
- 見込み顧客(消費者)のデータ管理簡略化
- 見込み顧客数(消費者)や来店回数の増加
マーケティングに関するよくある質問
マーケティングにまつわる、よくある質問をQ&A方式でご紹介します。
Q:自社にマーケティングを取り入れたほうがよいですか?
Answer)マーケティングの目的は、商品やサービスを売る仕組みを構築することです。商品やサービスの売上を伸ばす施策を検討している際は、マーケティングの実施を視野に入れてください。また、明らかに商品課題が浮き彫りになっている場合は、マーケティング活動による課題解決が必要です。
Q:自社にマーケティングに詳しい社員がいない場合は?
Answer)新たにマーケティングに詳しい人材を採用する予定がなく、かつ施策が必要である場合は専門のマーケティング会社を利用してください。
Q:おすすめのマーケティング会社は?
Answer)マーケティングをするうえで大切なポイントは、その狙いや商品特徴と施策内容が合致しているか否かです。マーケティング会社にも、得意な領域や強みがありますので、自社が求める施策とマーケティング会社の相性を考慮して判断してください。
Q:マーケティングを成功させるポイントは?
Answer)マーケティングを成功させるためには、正しく顧客ニーズを引き出せるかが重要です。そのためにも、下記の点に注意してください。
- 自社にあった手法を採用する
- 入念にリサーチして正しいニーズを引き出す
さらに下記のような点を考慮しておくと、後々役立つことがあります。
- 顧客データを管理する(今後のマーケティングで役立つ)
- サポート体制を構築する(リピーターの増加施策につながる)
まとめ