マーケティング分析とは?初心者向けに基本や流れとフレームワークについて解説
企業が商品やサービスの売上を伸ばす方法として、マーケティング分析という手段が挙げられます。企業には、これまで販売してきた商品やサービスの各種データが蓄積されています。
こうしたデータを市場環境や社会情勢と組み合わせて分析することで未来予測を立てることができます。その上で、次に起こすべきアクションを決定していくと、商品やサービスの売上や利益アップにつながる可能性が高まります。
マーケティング分析とは
マーケティング分析とは、自社内のデータを運用管理して、売上を伸ばすための手段です。具体的には、社内外の市場環境をリサーチしたり、自社内に蓄積した商品やサービスの売上実績のデータなどを活用し、自社の立ち位置を把握して改善点を探していきます。
そもそもマーケティングとは
そもそもマーケティングとは、自社商品やサービスを効率的に売ることを目的に立案した一連の戦略を指します。市場調査や社内データを整理して分析して、戦略を立案し、商品改良や広告活動を実行していきます。
マーケティング分析の必要性
マーケティングを考える場合、マーケティング分析は企業としての戦略を立案するソース(情報の出どこ)に該当します。企業法人が売上や利益を伸ばすための集団である以上、マーケティング分析は重要な位置付けになります。
マーケティング施策を成功させて売上を伸ばすためにも、自社が保有する過去の実績や市場環境を客観的に捉える視点を持つ必要があります。
マーケティング分析のメリット
マーケティング分析を実行する主なメリットは下記の通りです。
- 自社が置かれた現状を把握できる
- PDCAで役立つ
- 新商品やサービスの開発につながる
自社が置かれた現状を把握できる
まずマーケティング分析すると、市場のなかで自社が置かれた現状を把握できるようになります。分析結果で得られた情報は、自社の課題を浮き彫りにして次に起こすべきアクションの仮説を立てる材料になります。
PDCAで役立つ
マーケティング分析によって自社の現状を把握できると、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-ActH3:cycle)を回す上で役立ちます。そもそもPDCAkとは、下記4つの頭文字をとった言葉で業務品質を高める手段です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
新商品やサービスの開発につながる
マーケティング分析で得た情報を応用することで、消費者のニーズや自社商品の課題が見えてきます。すると新たなアイデアが浮かぶこともあり、新商品やサービスの開発に役立つケースがあります。
マーケティング分析に必要な基本要素
マーケティング分析を進めるにあたって理解しておく基本的な考え方があります。その要素は下記の通りです。
- マーケティングツールでデータ分析して管理する
- 顧客消費者の属性を把握する
- 見込み消費者を発掘する
- 商品の価格相場を把握する
- ブランドの価値を知る
マーケティングツールでデータ分析して管理する
マーケティング分析するためには、さまざまなデータを管理する必要があります。そのために、データを管理するツールを利用します。例えば、WEBマーケティングではGoogle Analyticsのように基本利用料が無料でも十分すぎる機能を有したツールがあります。また、ツールを利用してデータ管理するための社員も合わせて配置してください。
顧客消費者の属性を把握する
実際に自社商品やサービスを購入した消費者の属性や行動ログをチェックしてください。消費者の属性が集計されてくると、商品やサービスのターゲット像を特定できるようになります。そうなると、ターゲットに合わせた効果的なプロモーションを実行できるといったメリットが生まれます。
見込み消費者を発掘する
自社商品やサービスのターゲットであるにも関わらず、まだ顧客になっていない消費者は将来の顧客になり得ます。潜在的には顧客になり得るのに、まだ自社商品やサービスを購入していない原因を分析してください。こういった層に適したアプローチをすることで、新たな新規顧客や市場開拓につながります。
商品の価格相場を把握する
ターゲット層がどの程度の金銭を自社商品に費やせるか、といった商品の価格相場を分析することも大切です。商品価格が相場より高く設定していれば実売本数が落ちます。一方、価格が相場より安ければ実売本数は上がりますが商品単価が落ちます。そのバランスをとることで、売上が上がるか下がるかを管理できます。
ブランドの価値を知る
自社商品と競合商品を比較して、消費者がいずれのブランドに引かれているかを分析してください。そもそもブランドとは、消費者が商品に対して持っているイメージを指します。自社商品が持つブランド価値を把握して、売上に悪影響を与えていることが判明したら改善が必要です。そのときは、ブランドマーケティングの実行を視野に入れてください。
マーケティング分析の流れ
マーケティング分析の作業上の大まかな流れは下記の通りです。
- 分析に必要なデータを集める
- 分析フレームワークを決める
- データをフレームワークに当てはめる
分析に必要なデータを集める
まずは分析するためのデータを集めたり整理していきます。社内に蓄積された顧客データなどを整理しつつ、市場調査を実施します。とくに、商品やサービスのターゲット属性を特定しておきます。
分析フレームワークを決める
マーケティング分析にはフレームワークと呼ばれる概念があります。フレームワークとは、先人たちが提唱し広く使用されてきたマーケティング施策の考え方をフォーマット化したものです。自社の目的に従って、なにを分析したいのかを検討の上でマーケティング分析のフレームワークを決めてください。
データをフレームワークに当てはめる
調査整理したデータをフレームワークに当てはめて分析を進めます。この段階で、自社の課題や今後のとるべきアクションなどがある程度見えてきます。
マーケティング分析のフレームワーク
マーケティング分析には、さまざまな手法があります。そのうち採用すべき手法は、自社が置かれている状況や目的によって異なってきます。実際にマーケティング分析を実行する前に、どのような分析をすべきなのかを検討してください。
3C分析
3C分析は、下記3つの頭文字をとったマーケティング用語で、自社を取り巻く経営環境を分析するものです。
- Customer(消費者)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
消費者のニーズや購入ログ、または市場の動向を把握します。競合調査では、競合他社のシェアや商品の特徴などをチェックしていきます。自社については、強みや弱みの認識、また競合他社との業界内でのポジション関係を分析していきます。
4P分析
4P分析は、下記4つの頭文字をとった用語で、マーケティング分析の手法です。
- Product(商品やサービス)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(プロモーション)
4P分析の対象はすべて自社でコントロール可能なものなので、消費者のニーズに合致するように設定してください。このほかで大切なことは、実質的な商品の特徴と広告クリエイティブの表現面が合致しない、といったように4要素の間で矛盾を起こさないことです。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、以下5つの要素からなるマーケティング用語です。フォースとは驚異を意味していて、商業上の5つの障壁を表しています。
- 新規参入の企業
- 売り手(企業)の交渉力
- 買い手(消費者)の交渉力
- 代替品
- 競争(競合他社)
商品やサービスの市場環境を分析して自社商品のポジションを把握することで、業界内で起こりうる自社商品の売上を変動させる要因の仮説を立てることができます。
例えば、商品を製造するために莫大な初期費用が必要となる場合は、生産コスト面が参入障壁を高くしている状態といえます。このケースでは、「新規参入の企業」が現れるケースは稀です。さらに「売り手(企業)」が少なく、かつ商品需要が高いと「売り手(企業)の交渉力」が強くなる傾向になります。その結果、商品の単価価格を上げても実売数が減ることなく売上アップにつながる」という仮説が立ちます。
STP分析
STP分析は、下記3要素の頭文字が語源の分析手段です。
- Segmentation(市場の細分化)
- Targeting(参入市場の決定)
- Positioning(自社の立ち位置)
まずは、商品やサービスのターゲットとなる消費者の性別や年齢といった属性を明確にします。その上で市場内の消費者を属性ごとにグループ分けして自社商品と相性がよい市場かどうかを検討します。市場参入を決定したら、市場内での競合他社と自社の立ち位置を明確にしていきます。
SWOT分析
SWOT分析は、4つの英単語の頭文字から構成されたマーケティング用語です。またSWOT分析では社内の環境と社外の環境を組み合わせて分析します。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(驚異)
「強み」と「弱み」は自社内環境を示し、「機会」と「驚異」は社外環境を指しています。この4要素を組み合わせることで、「驚異」に対してどのように「強み」を活かせるのか、または「機会」に対してどのような「弱み」があるのか、といった具合に社内と社外の環境を照らし合わせて分析していきます。
PEST分析
PEST分析は、下記の4要素の頭文字をとったマーケティング用語です。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
こうした社会全域の動向というマクロな視点で捉える点がこの分析の特徴です。具体的な考え方としては、社会全体の流れの中で自社が受ける影響を検討して、未来予測を立ててリスクやチャンスに備えることが目的となります。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、商品やサービスが消費者に到達するまでの過程のなかで、どの段階で価値が発生するのかを検討する分析方法です。これにより、商品などが消費者に届くまでの一連のプロセス中で競合他社に優っているポイントを特定できます。
分析時に自社の活動を以下の2つに分けます。
- 主活動
- 支援活動
主活動
主活動とは、下記のように商品やサービスが消費者に届くまでに発生する直接的な活動を指します。
- 商品の製造
- 商品の出荷
- 商品の販売
- 商品のマーケティング
- 商品のプローモション
支援活動
支援活動とは、主活動を支える企業としての間接的な活動を指します。
- 商品原料の調達
- 商品の開発
- 人事管理や新規採用
- 財務や会計
ファネル分析
ファネル分析は、消費者が商品やサービスを認識してから購入するまでのプロセスのなかで、どの段階で消費者が離脱したのかを分析する手法です。コンバージョン(商品購入)までの離脱ポイントを明確化することで、商品の売上アップに貢献します。
例えば、テレビCMなどの広告で商品の存在を消費者が認知したとします。ただし単純に興味を持たれなければ段階が離脱ポイントになります。この場合はリーチしたターゲットを誤ったか、広告クリエイティブ、または商品自体に魅力がない可能性があります。商品企画か広告宣伝の手法に問題があったと予測されるため、商品とプロモーションを見直す必要があります。
一方、テレビCMで商品に興味を持った消費者がWEB検索やSNSで商品情報を探したとします。このとき、オンライン上で商品情報の露出が少なければ、消費者は商品の詳細情報にたどり着けずに諦めて離脱する可能性が生まれます。この場合は、商品サイトを設置してSEOを強化する、SNS上で商品アカウントを設置して運用するといった方法で離脱ポイントを解消できると予測が立ちます。
まとめ