マーケターとは?マーケターの種類と業務内容からマーケターになる方法まで解説
マーケターという職種がありますが、「実際にどのようなことをする仕事なのか」がわからないといった声をよく耳にします。マーケターとは、企業が実施するマーケティング活動を進める役割のことなのですが、実務作業の内容はさまざまです。
マーケターとは
マーケターとは、マーケティング施策を担当する会社員やフリーランスの労働者を指します。具体的な業務内容としては、企業の商品やサービスの売上を伸ばすために実施するリサーチや分析、または販売促進のための戦略を立案するといった作業があります。
一般的には、マーケターがマーケティング戦略を策定して、営業部門や広報部門に所属する各種担当者と連携し活動していきます。そのためマーケターは、多数の関係者とコミュニケーションをとっていくことになります。
マーケターの将来性
マーケターは企業の売上を伸ばすための要となるポジションです。利益を追求する企業には、優れたマーケターに対するニーズがあります。さらに現代の社会では、オンラインビジネスの需要が高まっています。デジタルを活用したマーケティングが活発であることから、マーケターはこうした領域で今後も活躍できると見込まれています。
現実的に近年の政府調べで、青少年(満10歳から満17歳)世代ではスマートフォンを通じたインターネットの利用率が過半数を大きく超えていることがわかっています。内閣府調べの令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 によると、青少年の93.2%がインターネットを利用していて、このうちの63.3%がスマートフォンでオンラインにアクセスしているとのことです。
スマートフォンを利用したインターネット利用が若年層の生活習慣として根付いているという背景から、今後もWEB領域を得意とするマーケターのニーズが続くと見られています。
そもそもマーケティングとは
そもそもマーケティングとは、商品やサービスを売る仕組みを構築するための一連の活動を指します。
マーケティングとよく混同される活動として、営業活動や広告活動が挙げられます。営業や広告活動は、あくまでも売る仕組みを構築するための具体的な手段の1つです。つまり、営業や広告活動はマーケティング活動の一環という位置づけになります。
マーケターの種類
ひとえにマーケターといっても、企業が求めるマーケター像はまちまちです。マーケターが担当する領域によって、さまざまな役割に分けられます。代表的なマーケターの種類として、下記のようなものがあります。
- WEBマーケター
- SNSマーケター
- リサーチャー
WEBマーケター
WEBマーケターは、主にWEBを活用したマーケティングを担当します。マーケティング施策に採用される対象としては、下記のようなものがあります。
- 企業サイト
- 商品サイト
- オウンドメディア
- SNS(Social Networking Service)
- WEB広告
- Eメール
リサーチや分析で得られた結果を基に、こうしたWEB上のチャネルを組み合わせて、どのように自社商品やサービスの認知を上げて販促につなげるかといった戦略を練ります。なおチャネルとは、集客するための流入経路のことを指します。
SNSマーケター
SNSマーケターは、WEBのなかでもSNS(Social Networking Service)を利用したマーケティング活動を担当します。WEBマーケターがWEB全般のチャネルを利用することに対して、SNSマーケターはSNS領域を専門としています。具体的には、下記のようなSNSメディアをマーケティングに活用します。
- Facebook(フェイスブック)
- LINE(ライン)
- Twitter(ツイッター)
- Instagram(インスタグラム)
- tiktok(ティックトック)
- Youtube(ユーチューブ)
近年では、SNSメディア内での口コミが実社会に影響を及ぼすことが度々起こっています。こうした時代的な背景から、マーケティングの観点でもチャネルとしてSNSツールが注目されています。
リサーチャー
リサーチャーは、市場の状態や消費者の意見や考えを調べ、データ分析して消費者ニーズを導き出す業務を担います。
消費者ニーズの把握は、新商品の開発時や広告宣伝を展開するうえで必須の事項です。通常、企業は消費者のニーズを把握したうえで、商品やサービスを流通させたり、「自社商品が消費者のニーズを満たすためのアイテム」であることを訴えていきます。
リサーチャーは、このなかで消費者のニーズを吸い上げるまでのプロセスを担当します。リサーチャーのミッションは、正確に消費者ニーズを吸い上げて、その後の活動につなげることにあります。
マーケターの業務内容
マーケター業務は、マーケティング活動により発生する一連のプロセスに関わることです。そもそもマーケティング活動とは、下記のような一連の流れで進んでいきます。
- リサーチ
- データ分析
- 戦略の立案
- 施策活動
- 効果検証
リサーチ
リサーチの業務目的は、主に消費者のニーズを見つけるための材料を集めることです。具体的には、下記のような手段を通じて消費者の意見や考えていることを集めてデータ化していきます。
- アンケート
- インタビュー
- グループディスカッション
- 試供品の流通
データ分析
データ分析の業務目的は、リサーチで集めたデータを基にして消費者のニーズを抽出することです。分析する際は、分析フレームワークと呼ばれる手法を活用します。分析フレームワークとは、過去のマーケティングにおける成功事例などをフォーマット化して汎用的に利用できるようにしたものです。
戦略の立案
戦略立案の業務目的は、データ分析で抽出した消費者ニーズを参考にして、アクションを決めていくことです。そして、ここがマーケティング活動の岐路を分けるプロセスになります。具体的には、下記のようなことを決定します。
- 営業活動の内容
- 広告やプロモーション活動の内容
- 商品の流通方法
- 商品パッケージやキャッチフレーズ
効果検証
効果検証の業務目的は、戦略立案で進めた各種の活動を評価していくことです。このうち、効果が見られた活動は継続していき、効果が見られなかった施策は活動を停止します。さらに、活動内容を見直すことで、より効果が高い施策へのブラッシュアップを図ります。
マーケターに必要なスキル
マーケターに求められるスキルは、主に下記のような能力です。
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
- 調査力と分析力
- 戦略の立案力
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、周囲の人間と適切に交流するための能力です。一般的に、社会のなかで活動するために必須の能力とされていますが、マーケターも例外ではありません。
マーケターは、商品が売れる仕組みを構築することがミッションです。その業務内容の性質から社内のいろいろな関係者と連携することが求められます。さらに、広告展開といった場面では外部の企業と商談や交渉をすることもあります。実務遂行のためには、人と付き合うといったコミュニケーション能力が不可欠です。
マネジメント能力
マネジメント能力は、周囲の人間を管理するためのスキルです。これは担当する業務の守備範囲にもよりますが、原則的にマーケターは一連のマーケティング活動を仕切るポジションにあります。マーケティングを成功させるためには、下記のような部門の協力を仰ぐ必要があります。
- 経営陣
- 営業部門
- 広報部門
- 商品開発
調査力と分析力
調査力と分析力は、データを集める能力とそれから答えを導くための能力です。マーケティング活動のうち、下調べにあたる調査や分析で見落としやミスがあると、その後のすべての活動に悪影響を与えます。
わかりやすくいうと、効果がない施策を練ってしまう可能性があります。企業利益を上げるどころか、施策活動に用意した膨大なコストを無駄にしてしまいかねませんので、マーケターには調査力や分析力を兼ね備えていることが求められます。
戦略の立案力
戦略の立案力とは、集めたデータや解析結果を基にして、適切な施策や活動を決める能力のことです。よく耳にする言葉に言い換えると、計画の立案力や企画力といったものが挙げられます。
マーケターは、リサーチや分析で得た消費者のニーズを基に戦略を練ることになります。適切な戦略と口でいうのは簡単ですが、効果的な戦略を打ち出すためには社会のあらゆる事象と向き合う必要がありますので、膨大な知識が求められます。
マーケターの年収
マーケターには膨大な知識や思考力が求められますので、一般的には報酬金額が高めになります。業務内容にもよりますが、一人前のマーケターの年収は500万円前後といわれています。ただし、その報酬額は下記のようにさまざまです。
- 業務内容によって年収が変化する
- デジタル関連の業務は需要が高い
- マネージャーの年収は高額
業務内容によって年収が変化する
当たり前の話ですが、マーケターとしての能力や実績に基づいて年収が変わります。一連のマーケティング活動のうち、マーケターが担当できる領域が多いほど、それに比例して年収が上がる傾向にあります。逆に、一部の領域のみ担えるマーケターは一般的な相場よりも年収が低めになります。
デジタル関連の業務は需要が高い
専門とするジャンルも、マーケターの年収を分ける要素になっています。
昨今では、デジタル領域の技術が日進月歩で発展していて、新たな概念や仕組みが度々生まれています。マーケティングの観点からしても、新たな取り組みにつながることから注目されています。例えば、インターネットの普及によりオンライン上のマーケティング活動が高い効果を発揮するケースが多々みられます。
こうした領域を専門に活動するマーケターの需要があり、年収が高くなる傾向にあります。
マネージャーの年収は高額
マーケターとして順調に成長してければ、年収アップを見込めます。例えば、マーケティング活動を管理できたり、プロジェクトの責任者として具体的なマーケティング戦略を立案できるようになると、年収が1,000万円を超えることさえあります。
マーケターになる方法
マーケターになるためには、下記のようなプロセスをとります。
- マーケターに向いている性格か確認する
- マーケターになるための勉強をする
- マーケターの仕事を探す
1.マーケターに向いている性格か確認する
マーケターに求められる性格は下記のとおりです。
- 人と関わることが好き
- 主体性がある
- ロジカル的に考えることが好き
- 好奇心が強い
一般的には、自分がやりたい仕事と向いている仕事は異なるといわれます。マーケターも例外ではありませんので、マーケターを目指す前に、まず自分に向いている仕事かどうかを検討する必要があります。
具体的な方法として、マーケターに求められる性質と自分の性格を照らし合わせてください。
人と関わることが好き
人と関わることが好きかどうかは、マーケターになるうえで大切な要素です。マーケターという仕事は、その性質上、社内外のさまざまな関係者と連携して業務を進めていきます。
またマーケターとしての経験が増えていくと、マーケティングにおける一連の活動を管理する立場になります。こうしたときには、マネジメントといった人間を管理する仕事を担当するといった業務が求められます。
主体性がある
自発的に考えて行動できるといった、主体性がマーケターには必要です。一般的に企業のマーケティング活動は、マーケター主体で進んでいきます。能動的に企画案を出したり、行動するといった性質が求められます。
ロジカル的に考えることが好き
能力面では、物事を論理的に考えることが好きかどうかが問われます。マーケティング活動を成功させるためには、下記のようなポイントがあります。
- リサーチしたデータから正しい答えを導き出す
- 分析結果から適切な活動方針を決める
このように、マーケターには考える力が求められます。考えることが苦手だったりすると、マーケターの実務業務を辛いと感じてしまう可能性があります。
好奇心が強い
好奇心が強くて、さまざまな事象に興味を持てるかどうかも、マーケターに求められる性質です。マーケティング活動で戦略の立案をするためには、自社商品の知識だけではなく、幅広い豊富な知識が求められます。例えば、下記のようなことを知っている必要があります。
- 社会経済や情勢といった一般知識
- マーケティング手法といった基礎知識
- 経営知識
- 製造知識
- 流通知識
- 営業知識
- プロモーション知識
- 広告知識
- メディア知識
- 深い業界知識
2.マーケターになるための勉強をする
マーケターになるための勉強方法としては、下記のような手段があります。
- 書籍を読む
- スクールに通う
- 資格を取得する
- WEBサイトを作成する
書籍を読む
もっとも簡単で手軽にはじめられる勉強方法は、マーケティングの専門書籍を購入して読んでみることです。一般的に書籍は、出版社の責任のもとで経験値が高いマーケターが執筆や監修を任されて発行されています。発行前に何度も、誤りがないかをチェックしながら出版に至るので信頼性が高い情報として重宝されています。
ただし、通常、書籍は1人の著者と編集者が相談のうえで執筆していきます。こうした性質を持つので、著者の経験や知識によっては、その内容にも偏りが起こります。そのため、複数の専門書籍を読み比べて、自分なりに解釈するといった工夫をしてください。
スクールに通う
効率的で高い効果の勉強方法としては、マーケター向けのビジネススクールに通うといったことが挙げられます。
ビジネススクールに通うことで、プロのマーケターの言葉を耳で聴けるので書籍を読むよりも高い理解を得られます。さらに、疑問が発生したときに質問ができて個別具体的な回答をもらえるといった利点があります。ただし、通常はスクールに通うと費用が発生しますので注意してください。
資格を取得する
勉強方法の1つに、マーケター向けの資格を取得するといった方法があります。
資格を取得する過程では、さまざまな調べごとをしたり、知識を身に着ける必要があります。資格を取得できると、一定の知識を持っているというアピールにもなりますので、仕事探しをするうえでも有利に働きます。
WEBサイトを作成する
もっとも効果がある勉強法は、部分的にでもマーケティングを実践してみることです。例えば、WEBマーケターを目指すならば自分でWEBサイトを構築して広告運用してみるといった方法が適切です。
さらに作成したWEBサイトは、仕事を探す際に実績見本として提出できるといった利点もあります。例えば、入社面接などで「このサイトを作りました」や「このサイトを構築するうえで必要な作業はすべてできます」といった具体的な話ができますので、入社面接を突破する意味でも強力な効果を発揮します。
3.マーケターの仕事を探す
マーケターの仕事を探す方法としては、下記のような手段があります。
- 求人に応募する
- 社内で異動願いを出す
求人に応募する
企業は新たにマーケターを雇用したいと考えると、通常はマーケターの求人を出します。その求人に応募して選考を通過するとマーケターとして採用されます。ただし、マーケターという仕事が未経験の場合は、採用される可能性が極めて低いので注意してください。
未経験の場合は、必ず「未経験でも可」といった募集要項の求人に応募します。または、アルバイトといった雇用条件が低めの求人に応募して、まずはマーケターとしての経験を積むことを優先してください。
社内で異動願いを出す
マーケティング部や宣伝部といった部門がある企業に勤めている場合は、異動願いを出すことで、所属企業がマーケティング部などへの社内異動を検討してくれるケースがあります。ただし社内異動は、あくまでも企業が判断することです。企業としてのメリットやタイミングにも依存しますので、現実としてはなかなか異動要望が通らなかったり、異動までに長い時間がかかるといったことが間々みられます。
マーケターに関するよくある質問
マーケターに関する、よくある質問をQ&A方式でお答えします。
Q:マーケターにはどのような仕事がありますか?
Answer)マーケターの仕事は、マーケティング活動を進めるうえで必要となる実務作業が該当します。例えば、下記のような実務作業が挙げられます。
- マーケティング活動の全体的な進捗管理
- 市場調査や消費者のリサーチ作業
- データ管理や分析作業
- 広告やプロモーションを決めるための社外打ち合わせ
- マーケティング活動に対する企画書の作成
- 広告運用や計測データの管理
- 各種活動に対する評価資料の作成
Q:マーケター向けの資格にはどのようなものがありますか?
Answer)マーケター向けの資格としては下記のようなものがあります。
- マーケティング・ビジネス実務検定
- 統計検定
- 中小企業診断士
- IMA検定
自分が目指すマーケター像に応じて、取得を目指す資格を決めてください。
まとめ