Zuoraとは?導入に向いている業種やシステムの概要などを解説
サブスクリプション事業に取り組む多くの企業が、請求管理業務などの煩雑さに頭を悩ませています。
そこで注目を集めているのがZuora(ズオラ)です。Zuoraは、サブスクリプションに特化した機能を提供し、課金処理や顧客分析などを一括管理できます。
Zuoraとは?
Zuoraは、サブスクリプションビジネスのバックヤード業務を支援するシステムのことです。具体的には、サブスクリプションに伴うアカウント管理、価格設定、請求書作成、収益分析などをおこないます。
企業はZuoraを利用することによって、請求書発行や顧客との契約、顧客のサービス利用状況追跡などが自動でおこなえます。
参考ページ:Zuora
会社概要
Zuoraの創業者はTien Tzuo氏(ティエン・ツォ)氏です。彼は元々、顧客管理ツールなどを提供しているSalesforce初期メンバーの1人でした。
2000年代後半の大不況時代、リーマンショックなど経済的に困難な時期にSalesforceの創設者であるMarc Benioff氏(マーク・ベニオフ)から出資を受けてZuoraを創業しています。
その当時、サブスクリプションビジネスを展開する多くの企業が、複雑な請求業務に悩んでいることに目を付けました。そして、Tien Tzuo氏はこの課題を解決するための新しい会社であるZuoraを設立したのです。
現在、Zuoraはアメリカだけでなく、日本や中国、イギリスなどの世界10カ国に事業所を展開しています。ZoomやGoProなどを含む1,000社以上の主要顧客がZuoraのソフトウェアを導入して、サブスクリプションビジネスを軌道に乗せています。
Zuoraの導入が向いている業種・業界
そもそもZuoraは、どういった企業や業種に向いているソフトウェアなのでしょうか?基本的には、サブスクリプション事業をおこなう企業全般に有益ですが、具体的には次のような業界が挙げられます。
デジタルコンテンツ業界
音楽や映画、オンラインゲームなどを一般ユーザーに向けて提供している業種にとって、Zuoraの導入は有益です。こういった業種の多くは、継続課金でコンテンツを提供するからです。
また、Zuoraでは多言語・多通貨に対応しているため、デジタルコンテンツを海外のユーザーに提供するのにも便利です。異なる地域や国の税金、通貨変換などを簡単に管理できます。
保険業界
保険業界ではZuoraの導入が有益です。保険業界では原則、継続課金での支払いが一般的だからです。また、Zuoraではプラン変更に伴う柔軟な決済システムを備えているため、保険料の変更やプランの変更があっても安心です。また、ZUoraではリアルタイムで収益分析をおこなえるため、ユーザーに対してクロスセルやアップセルを提案しやすいなどのメリットがあります。
SaaS業界
ソフトウェアをクラウドで提供するサービスをSaaS(Software as a Service)といいます。このSaaS業界では、通常、サブスクリプション型ビジネスモデルのためZuoraの導入が有益です。
Zuora導入に伴い請求管理がしやすくなることに加え、顧客のサービス利用状況をリアルタイムで確認できます。そのため、プラン変更やアップグレードなどの提案がしやすいなどのメリットが生まれます。
Zuoraを導入するメリット
Zuoraはサブスクリプションビジネスの運営を大いに助けてくれます。しかし、導入することによって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、その代表的なものをいくつか取りあげ解説します。
請求管理業務の自動化
従来、サブスクリプションビジネスでは、請求業務が非常に大変でした。請求書の作成・送付や支払いの確認、回収など、こういった業務をExcelで管理していたのです。そのため、請求業務だけで、多くの人材を必要としていたのです。
Zuoraを導入すると、請求、決済管理などの収益プロセスをすべて自動化できます。これにより、企業は手作業によるミスを減らし、結果として顧客満足度にもプラスの影響を与えます。
解約率を下げる
Zuoraの導入により、顧客のサービス利用状況を把握できます。このデータを活用すれば、解約などを未然に防ぐことが可能です。
Zuoraは顧客の利用状況をモニタリングすることができ、サービスの利用頻度、特定の機能やコンテンツへのアクセス、使用量などをトラッキングできすます。企業は利用頻度が減少している顧客を素早く把握し、サービスの利用方法などについてフォローするといった解約防止策を講じることができます。
CRMやMAツールとの連携
Zuoraは、主要なCRM(Customer Relationship Management)システムや、MAツールなどと連携することができます。こうすることで、顧客情報を一元管理することができ、データの断片化を防ぐことができます。
また、営業担当者は、顧客の請求情報やサービス利用状況などをリアルタイムに把握できるため、その情報を元にアップセルをおこない、販売機会を増やすことかできます。
多様な請求プランに適用
サブスクリプションのプランは1ヶ月更新や3ヶ月更新、1年更新などさまざまなパターンが存在します。Zuoraは、これらサブスクリプションのさまざまな決済タイミングに対応しています。
また、ユーザーが自ら契約内容を変更した場合でも、即座に請求額の変更などをおこなえます。
収益分析ができる
サブスクリプションビジネスは収益の予測がしやすい反面、管理がとても複雑です。Zuoraは、顧客のさまざまなプラン契約に対する収益を自動で識別して、手数料や税金の扱いを含めた販売コストの分析も自動でおこなうため、収益予想なども容易におこなえます。
Zuoraの基本機能
Zuoraが提供しているソフトウェアの基本機能としては、6つあります。具体的には次のとおりです。
- 契約管理
- プライシング
- レーティング
- グローバル決済
- 会計管理
- メトリクス
それぞれの機能について詳しく解説します。
契約管理
顧客の契約内容や選択しているプランの状況などを簡単に確認ではます。また、顧客が契約変更をした場合も、それによって生じる収益の変化をリアルタイムで計算します。
プライシング
サブスクリプションビジネスは顧客に継続的に利用してもらう必要があるため、価格の見直しも頻繁におこなわれます。Zuoraでは、料金プランのモデルを40種類以上から選ぶことができ、価格や課金方法の変更に対して柔軟に対応します。
レーティング
自社の課金システムが、ユーザーのサービス利用状況によって変動するような場合、このレーティングシステムを活用します。レーティングシステムを使うことにより、正確な請求ができるため、顧客から信頼される企業と認識されます。
グローバル決済
Zuoraでは180種以上の通貨に対応しています。また、決済方法も事前に20種類以上が用意されているため、グローバルな展開をする際にもZuoraが役立ちます。
会計
サブスクリプションビジネスの決算に関する業務をサポートする機能が充実しています。監査証跡や業務処理統制など、さまざまなコンプライアンスに対応しており、正確かつ迅速な会計業務がおこなえます。
メトリクス
さまざまな取り組みを数値化し、分析するメトリクス機能はサブスクリプションビジネスの多くのシーンで重宝されています。KPI(重要業績評価指標)やMRR(月次経常収益)などをリアルタイムで把握できます。
Zuoraの導入事例
サブスクリプションビジネスを展開する多くの企業で、すでにZuoraを利用しているため、いくつか事例を紹介します。Zuoraの導入を検討する際の参考にしてください。
GoPro
GoProは、アクションカメラを製造・販売するアメリカの企業です。主にスキーやサーフィン、アウトドアなどをする際に使用するカメラで、世界中で人気があります。GoProでは2016年にZuoraを導入しました。
GoProではZuoraを使用することで、請求書の作成・送信・支払い管理などを大幅に効率化することに成功しました。また、Zuoraは多言語・多通貨に対応しているため、世界中にユーザーを抱えるGoProにとって、最適な管理システムとなっています。
Zoom
Zoomは、ビデオ会議やチャット、ライブ配信などのサービスを提供するアメリカの多国籍企業です。Zoomは世界で最も支持されているビデオ会議サービスの1つで、個人、企業、政府など幅広い顧客を抱えています。
Zoomは2018年にZuoraを導入しました。Zoomには多様な顧客がいますが、Zuoraを導入することによって請求・決済管理を自動化できています。さらに、Zuoraで顧客分析をおこない、よく使用される機能を調べ、いち早くアプリケーションの強化・改善に努めました。結果として、顧客満足度を高めることに成功しています。
Zuoraのよくある質問
Zuoraについてよくある質問の中から、代表的なものを取りあげ解説します。
Q:導入費用は?
Answer)Zuoraはサポートするサブスクリプションビジネスによって費用が異なります。そのため、Zuoraで見積もりを請求して確認する必要があります。Zuoraへ直接、問い合わせてください。
Q:導入する際に注意することは?
Answer)Zuoraの導入で注意すべき内容は、サブスクリプションビジネスを展開するうえで軽減したい自社の業務を事前にピックアップすることです。Zuoraは業務内容を軽減するサポートをおこなうため、あらかじめ自社の要望を整理しておく必要があります。
Q:Zuoraは日本語対応している?
Answer)基本的には、サブスクリプションビジネスの決済・請求書業務の管理が大幅に削減できることです。その他、次のような利点が挙げられます。
- 人的ミスを減らすことができる
- 顧客のサービス利用状況が把握でき、解約防止に役立てることができる
- データ分析やレポートにより、ビジネスの改善点を見つけられる
Q:Zuoraの利点は?
Answer)基本的には、サブスクリプションビジネスの決済・請求書業務の管理が大幅に削減できることです。その他、次のような利点が挙げられます。
- 人的ミスを減らすことができる
- 顧客のサービス利用状況が把握でき、解約防止に役立てることができる
- データ分析やレポートにより、ビジネスの改善点を見つけられる
Q: BtoCとBtoBのどちらに対応?
Answer)ZuoraはBtoBにも、BtoCにも対応します。どちらのタイプで導入してもZuoraを役立てることができます。
Zuoraは顧客の契約情報、購買履歴などのデータを追跡し、セグメンテーションやターゲティングに活用することができます。この機能によって、BtoCマーケティングの戦略を効果的に立てることができます。
また、BtoBビジネスの場合は、契約やプランの複雑さが課題としてあげられます。しかし、Zuoraがあれば設定をカスタマイズできるため、こういった複雑な顧客情報を一元管理することができます。
Q:どのようなツールと連携ができますか?
Answer)Zuoraは、他のビジネスシステムやプラットフォームとの連携が可能です。例えば、SalesForceなどのCRMシステムやQuickBooksなどの会計ソフトウェアが挙げられます。
その他、下記のようなツールと連携が可能です。
- 会計システム
- 認証システム
- マーケティングオートメーション
- データ分析ツール
- チャットボット
- 電子決済サービス
これらのデータと連携し、業務の自動化が実現できます。
まとめ