営業プロセスとは?メリットやステップ、KPIなどを徹底解説
営業プロセスを考えるうえで、マーケティング目線で考えることが重要です。新人教育や将来の見通しに役立つ営業プロセスを作成・改善することで、業務効率アップが期待できます。
営業プロセスとは
営業プロセスとは、見込み顧客(リード)の発掘から、顧客のファン化までを行う一連の手順のことをいいます。営業プロセスを可視化することで、フレームワークを利用して顧客のファン化までを効率的に行えるようになります。
営業プロセスを考える3つのメリット
営業プロセスを考えるメリットには、次のようなものがあります。
- 一貫した手順で営業が行える
- 最終的に得られる利益を概算できるようになる
- プロセスを熟考できるようになる
以下では、3つのメリットについて詳しくご紹介します。
一貫した手順で営業が行える
営業プロセスを標準化することで、新人でも熟練の営業のように、営業を行えるようになります。
営業プロセスを新人自ら考えると、顧客目線やマーケティング目線が抜け落ちてしまう可能性があります。何度もPDCAサイクルを回されている営業プロセスを使うと、営業における考え方や重要な視点などを理解させることが可能です。
最終的に得られる利益を概算できるようになる
営業プロセスを標準化することで、リードがどの段階にいるのかを監視できるようになり、どの程度の利益を得られるのか推測できるようになります。
つまり、実現が不可能な最終予想に振り回されることなく、現実的な目標を立てて仕事に挑めるようになります。
効率的に営業プロセスを考えられる
営業プロセスを確立することで、効率的に営業プロセスを考えられるようになります。
営業プロセスが標準化されていなければ、営業目標が達成できなかった際に、精神論ややみくもの努力に走ってしまい、効率的に営業を行うことはできません。
プロセスごとになぜ目標を達成できなかったのかを確認することで、KPIに到達できなかった理由が明確になり、今後やるべき対策も導き出せます。
営業プロセスの7つのステップ
営業プロセスの概要や重要性について理解したうえで、営業プロセスの7つのステップをご紹介します。
- 見込み顧客を見つける
- 見込み顧客を評価する
- 見込み顧客を育成する
- 個別化したオファーを送る
- 諦めずに営業を行う
- 契約に結びつける
- 顧客のフォローアップを行う
営業プロセスの確立ができるように一つひとつのプロセスを詳しくご紹介します。
見込み顧客を見つける
営業プロセスの1つ目のステップは、見込み顧客を発掘することです。
見込み顧客の前段階である「潜在顧客」を見つけることは、営業を行う上で非常に重要です。見込み顧客の見つけ方には、
- 広告
- コンテンツマーケティング
- SNS
- メルマガ
- テレアポ
- 展示会
- セミナー
- 顧客からの紹介
などの複数の方法があります。
特に、ファン化した顧客からの紹介で得られる見込み顧客は、ファン化した相手を信頼しているため、サービスの販売・ファン化が行える可能性が高いとされています。つまり、営業プロセスを回せば回すほど、ファン化する顧客が増え、結果的にリードも増えることが期待できます。
見込み顧客を評価する
営業プロセスの2つ目のステップは、見込み顧客を評価することです。
見込み顧客と一口にいっても、相手の興味や優先事項は異なるもの。やみくもに営業をかけても、労力と時間が無駄になってしまう可能性があります。
リードの自社サービスへの興味を測るためには、見込み顧客との会話の中で
- 会社内で問題になっていることはなにか
- なぜ、問題だと考えているのか
- リードの会社内での役割がなにか
を聞き出します。
また、リードの勤めている会社がわかっている場合、会社を徹底的にリサーチをすることも一案です。
例えば、
- 会社のHPとその内容
- ミッションやポリシー
- 経営者のプロフィール
- 会社の財務状況
などがあります。これらの情報を整理することで、なぜ自社サービスに興味を持っているのか・どのくらい興味があるのかを推測できます。
見込み客を評価すると、労力や時間をかける価値があると判断できるのは全体の50%程度。顧客の評価することでアプローチを行う顧客は減りますが、その分営業の質が高まりまることが期待できます。
見込み顧客を育成する
営業プロセスの3つ目のステップは、見込み顧客を育成することです。
見込み顧客を分析することで、顧客がどの段階にいるのかを理解できるようになるため、自社商品を購入するように育成することが可能です。
例えば、ある問題で悩んでいるリードがいる場合、解決できるサービスがあることを周知することから行います。その後、購入してもらえるように徐々に誘導していくのです。リード育成には、サービス・競合の説明などを真摯に行い、相手との信頼関係を作ることが大切です。対応が迅速であること、自社だけではなく他社などの知識が深いことなど、相手からの信頼を徐々に積み重ねるように行動することが求められます。
また、初めから強く興味があるリードは、相手がサービスを購入できない理由を解決します。金銭面で購入できない場合でも、連絡を頻繁に交わすことで、予算に余裕ができたら選ばれる関係を作っておくことが大切です。
個別化したオファーを送る
営業プロセスの4つ目のステップは、個別化したオファーを送ることです。
顧客の評価や育成のステップで、顧客のニーズや課題、懸念点などを十分に活用し、パーソナライズされたオファーを提供します。顧客の課題をどのように解決するのか、懸念点に対する説明などを行うことで、オファーを受け入れてもらえる可能性が上がります。
諦めずに営業を行う
営業プロセスの5つ目のステップは、諦めずに営業を行うことです。
個別化したオファーを提供できていても、1度目のオファーでは拒否されることも多いもの。一度断られたからといって、その顧客を諦めてしまうのではなく、顧客がなぜ拒否したのかを分析し何度も挑戦することが必要です。
サービスの購入まで誘導するためには、最低5回以上の挑戦が必要だといわれています。やみくもに購入をお願いするのではなく、相手の懸念点を解決した状態でオファーを提供することが大事です。
契約に結びつける
営業プロセスの6つ目のステップは、契約に結びつける(クロージング)ことです。どんなに相手が興味を持っているように見えてもクロージングまで繋げられなければ意味がありません。商談の最後であるからといって、気を抜かずに徹底的に下準備を行うことが大切です。
クロージングの段階でも、サービスを使用するメリットや利益などを提示し、相手の不安を解決できることを主張します。また、強引なタイミングでは相手が尻込みをする可能性があるので、相手の興味が最大限に高まったとき、商品の需要が高まったときなどに行うことが大切です。
顧客のフォローアップを行う
営業プロセスの7つ目のステップは、顧客のフォローアップを行うことです。
商品・サービスの購入や契約を進めてから、ファン化させるためのフォローアップも非常に重要です。ファン化させることで、顧客からのリードの紹介を促すこともできます。
また、一般的に既存顧客の維持にかかるコストは、新規顧客を獲得することに比べて7倍程度低いといわれています。安定した利益を得るためには、既存の顧客との関係を大切にすることが必要です。
営業プロセスは可視化することが重要
営業プロセスを可視化することで、リードがどの段階にいるか・何人いるか・どの段階で離脱率が高いのかなどを徹底的に分析できるようになります。また、成功率が高い顧客属性をあぶり出すことによって、より効率的に営業を行うことが可能です。
営業プロセスを可視化していない会社は、まずは営業プロセスを言語化することから始めることをおすすめします。
営業プロセスを改善する方法
営業プロセスの実行だけではなく、営業プロセス自体にもPDCAサイクルを回すことによって、さらに洗練されたプロセスを作ることが可能です。また、時代によって営業プロセスは変化していくため、定期的に見直しをすることが必要です。
営業プロセスを改善する方法には、次のようなものがあります。
- 現在使用しているプロセスを分析する
- 成功例を分析する
それぞれの改善方法について詳しく解説しましょう。
現在使用しているプロセスを分析する
営業プロセスを改善するためには、現在使用しているプロセスの問題点をあぶり出すことが必要です。チームでの会議を通して問題点を見つけ出し、解決できるように調整します。
また、失敗した例を参考に、プロセスをどのように改善すれば成功したかどうかを考えるのも一案です。失敗した例を挙げ、一つひとつのプロセスや顧客とのタッチポイントなどをチームで振り返ることをおすすめします。
成功例を分析する
営業プロセスを改善するためには、失敗例だけではなく、成功例の分析も必要です。
既存の顧客に対して、アンケートなどを配布し、サービスの購入を決めるときに実は悩んでいたことや、商品購入の決め手などを把握することで、営業プロセスに組み込むことが可能です。
既存の顧客を正確に把握することで、見込み顧客への営業プロセスを改善できます。
営業プロセスには、KPIを設定することが重要
営業プロセスを評価するためにも、KPIを設定することが重要です。
KPI(Key Performance Indicator)とは、日本語では「重要業績評価指標」とも呼ばれるもの。ゴールに向けて作られた中間目標をどれだけ満たしているのかを表す指標です。
KPIは、営業に限らずコールセンターやシステム開発などで使われる言葉です。
営業プロセスでKPIを導入することで、
- 全体や個人の業績を可視化できる
- モチベーションが上がる
- 課題発見をしやすくなる
などのメリットがあります。
営業プロセスのKPI例
営業プロセスに応じて適切なKPIを導入することが重要です。
- 見込み顧客発掘:見込み顧客の総数、獲得割合
- 見込み顧客の評価・育成:成功率が高い属性を持った見込み顧客の数、コンバージョン、アンケート回答率
- オファー段階:アポイント件数・成功率
- フォローアップ段階:リピート率・リード紹介数
営業プロセスごとにKPIを設置し、施策や戦略の効果を客観的に分析することをおすすめします。
営業プロセスと商談プロセスとの違い
営業プロセスと商談プロセスを混合している人もいるのではないでしょうか。
営業プロセスは、見込み顧客の発掘から、クロージング、フォローアップなどの一連の手順のことをいう一方で、商談プロセスは、初回訪問からクロージングまでの手順に過ぎません。
つまり、商談プロセスは営業プロセスの一部であり、営業プロセスの改善を行う際に、商談プロセスの改善のみを行っていては商談以外の部分の改善は見込めません。
営業プロセスと商談プロセスとの意味の違いを正確に把握し、一連の流れを解決することが大切です。
営業プロセスに関するよくある質問
Q:営業プロセスとは?
Answer)見込み顧客の発掘から、評価、育成、クロージング、ファン化までの一連の手順のこと。
Q:営業プロセスのメリットは?
Answer)営業初心者でも玄人と同様のプロセスを踏んで営業できるようになること、効率的に教育できることなどがあります。
Q:営業プロセスで使われるKPIは?
Answer)見込み顧客の総数・獲得率・コンバージョン・リピート率などがあります。
まとめ