カスタマーセントリックとは?重要性や成功させる7つの方法、事例を徹底解説
カスタマーセントリックとは「顧客中心主義」のことであり、ビジネス面における重要な方針とされています。
カスタマーセントリックとは?
カスタマーセントリックとは、日本語では「顧客中心主義」とも呼ばれ、短期的な売り上げにとらわれず、長期的な顧客との関係を優先することを意味します。カスタマーセントリックは、しばしば「CC」とも略されることがあります。
カスタマーセントリックではない会社は、以下のような会社です。
- 台風による悪天候で飛行機が離陸できず宿泊できなかったが、直前のキャンセルということでキャンセル料を請求された
- 記念日に間に合うようにオンラインサイトでプレゼントを購入していたが、記念日になっても音沙汰がない
- オンラインサイトで壊れた商品が届き、メールをしたが返信がない
顧客中心で考えることで、顧客を不安・不快にさせないビジネスを行えます。
カスタマーセントリックの重要性
カスタマーセントリックは、なぜ今になって注目されるようになったのでしょうか。
実際、1900年代のマーケティングの考え方は、製品が中心であり、安ければ売れる時代でした。フィリップ・コトラーの「4Pモデル」における、製品と価格が重視されていたのです。
しかし、モノが溢れている現代では、安いだけでは売れません。1970年代になって、買い手中心のマーケティング、カスタマーセントリックが注目され始めました。
現代では、インターネットやSNSが発展したことから、モノを購入するまでの家庭が変化し、顧客自身を満たすことが重視されるようになったのです。そのため、顧客が求めていることを理解し、顧客に沿ったサービスの提供が必要になりました。
カスタマーセントリックを実践するメリット
カスタマーセントリックを実践するメリットは、次のようなものがあります。
- 顧客生涯価値(LTV)が上がる
- 顧客との深い関係が構築できる
- 事業の成長スピードが上がる
ここでは、それぞれのメリットについて詳しくご紹介します。
顧客生涯価値(LTV)が上がる
カスタマーセントリックを行うことで、顧客生涯価値(LTV)が上がります。顧客生涯価値とは、サービスを利用し始めてから使用しなくなるまでの期間における利益のこと。
例えば、サブスクリプション型のサービスがカスタマーセントリックを重視することで、解約率が下がり継続的に利用してくれるようになります。また、サービスに満足した利用者はb、さらに上のプランを契約したり(アップセル)、同じ会社の別の商品を購入してくれたり(クロスセル)するでしょう。
このようにして、顧客が自社に使用してくれる金額が上がり、結果的に会社に利益をもたらします。
顧客との深い関係が構築できる
顧客中心にサービスやモノを提供することで、顧客との深い関係が構築できます。
商品やサービスのファンにさせることで、多少の値上げがあったとしても受け入れてもらえる可能性が高まります。また、顧客満足度が高いサービスを提供できれば、家族や友人などに勧めてもらえるかもしれません。
このように、顧客との深い関係が構築できることにはたくさんのメリットがあります。
事業の成長スピードが上がる
カスタマーセントリックを実践することで、事業の成長スピードが上がることが期待できます。
顧客との良好な関係ができていると、サービスやモノに対する率直な意見を聞けたり、より良いサービスが共有できたりします。その結果、これまでのターゲット以外の顧客を獲得できたり、新しい取り組みにチャレンジできたりするでしょう。
また、顧客中心主義という明確な指針があることで、無駄な改革を行わずコスト削減にも繋が離ます。顧客の意見をもとにPDCAサイクルを回すことで、効率よく事業が進むようになるでしょう。
カスタマーセントリックを成功させる7つの方法
カスタマーセントリックを成功させるためには、次のような方法があります。
- 顧客サポートチームの教育を行う
- 社内全体に情報を共有する
- 顧客からフィードバックをもらう
- 従業員の労働環境を整える
- 顧客に合わせて対応する
- 顧客データを活用する
- 利用者への特典を作る
ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。
顧客サポートチームの教育を行う
顧客との関わりが深い顧客サポートチームの教育・育成は、カスタマーセントリックを実現するために必要不可欠です。教育・育成には費用がかかりますが、その費用を回収するだけの働きをしてくれます。
顧客をサポートする優秀な従業員を育てるためには、適切なマニュアルを準備し、時間をかける必要があります。お客様の不満を解決するだけで仕事を終わらせるのではなく、ステークホルダーとの関係を強固にするためのよりよいサービスを提供することを周知しましょう。
社内全体に情報を共有する
車内全体にお客様の不安・不満を共有することもカスタマーセントリックな企業にするためには非常に重要です。
顧客サポートで問題を一時的に解決できても、サービス内容やUI自体に問題があれば、他の顧客も同様の場所で困ってしまう可能性があります。
普段お客様の声を聞くことがない、エンジニアや営業などと情報を共有することで、よりよいサービスを提供できるようになります。その結果、顧客は製品が使いやすくなるだけではなく、自分の意見を採用してくれたことに対して喜んでもらえます。
部署に振られた仕事だけをするのではなく、部署全体・会社全体でカスタマーセントリックな企業を作っていきましょう。
顧客からフィードバックをもらう
カスタマーセントリックを実現するためには、顧客からフィードバックをもらうことが大切です。
顧客中心で物事を考えるためには、顧客のことを知らなければなりません。顧客が何を重視して、何に役立てたいのかを知るためには、顧客の声(VoC)を収集する必要があります。
満足度アンケートやサポートチームへの問い合わせなどを使って、顧客の声を収集し徹底的に分析を行うことが必要です。
従業員の労働環境を整える
顧客だけに目を向けるのではなく、従業員の労働環境を整えることも大切です。
例えば、コストコは、給料や福利厚生を充実させることで、従業員の満足度をあげ、離職率を下げることができました。その結果、レベルの高い従業員が残り、顧客への良質なサービスを提供できるようになり、顧客満足度が上昇しました。
従業員を大切にすることで、心に余裕ができた従業員が顧客を大切にできるようになるのでしょう。
顧客に合わせて対応する
最高の顧客体験を提供する企業は、顧客の生活に自らを合わせることを優先します。その逆ではありません。顧客に無理やり来てもらうのではなく、顧客がいる場所で対応しましょう。
したがって、顧客がソーシャル メディアで問い合わせてきた場合は、問い合わせフォームを送信してそこから問い合わせるように依頼するのではなく、そのチャネルで問い合わせに回答してください。問い合わせてきたチャネルで直接顧客の問い合わせに回答できない場合は、顧客が必要な場所にたどり着くのができるだけ簡単になるようにしてください。たとえば、ソーシャル メディアで直接サポートを提供できない場合は、顧客が質問や追加の詳細を繰り返し言わなくても済むように、より適切なチャネルに簡単に転送できるパスを作成してください。
優れた顧客体験の基本原則は、顧客の負担をできるだけ軽減することです。つまり、顧客が手を差し伸べるあらゆる場所に存在し、対応できる状態を維持するということです。
顧客データを活用する
どのようなビジネスであっても、顧客に関する情報を少なくともいくつかは持っているはずです。その情報を活用して、顧客や潜在顧客を引き付けるパーソナライズされたエクスペリエンスを作りましょう。
パーソナライゼーションを効果的に活用する方法は数多くあります。ユーザーの閲覧履歴に基づいて自動的に商品を表示する必要はありません。代わりに、ユーザーベースの特定のセグメントに合わせてニュースレターをカスタマイズしたり、サポート応答に役立つ追加の推奨事項を追加したりすることを検討してください。
たとえば、顧客が製品の購入に問題があったと連絡してきた場合は、問題を解決するために返信し、購入後に顧客が興味を持つ可能性のあることに関する情報を含めます。このような事前の配慮により、顧客は感謝され、注目されていると感じます。
顧客データは非常に重要であり、それを正しく使用することは顧客中心のアプローチを構築する上で不可欠です。
利用者への特典を作る
サービスを利用してくれる顧客に特典を作ることで、顧客との関係を強固にすることが可能です。
例えば、ANAのマイレージを貯めることで、ポイントを貯めることの楽しさ・ポイントを使用することの楽しさなどを提供できます。そのため、多少値上がりしても、マイレージを貯めている顧客は他の航空会社を選ばず、ANAを選ぶでしょう。
ANAのマイレージはお金のように使用できるため、コスト削減にはなりません。しかし、このような特典を作ることで長期的なファンを作れるため、より多くの利益を得られます。
カスタマーセントリックの効果を測定する方法
カスタマーセントリックを実行するならば、その効果を測定する方法を覚えておくことが重要です。
例えば、以下のような測定方法があります。
- 顧客生涯価値(LTV)
- 内部留保率
- 解約率
- 顧客満足度調査
- 顧客利益率(ROC)
カスタマーセントリックに取り組むことで、これらの数字が上昇する傾向があります。単独ではなく、複数組み合わせて利用されることがほとんどです。政策を実行する前に、どのように効果測定を行うかを考えておく必要があります。
カスタマーセントリックの事例
カスタマーセントリックな企業は多々ありますが、ここでは次のような企業について詳しくご紹介します。
- マクドナルド
- ディズニー
マクドナルド
マクドナルドのフランチャイズ化を成功させたレイ・クロックは、『成功はゴミ箱の中に: レイ・クロック自伝』で「私の仕事は顧客の利益を伸ばすことで、顧客の利益を奪うことではない」という名言を残しました。
自分の利益を考えるのではなく、顧客を儲けさせるという顧客中心的な思考でマクドナルドは、多くの人に愛される企業になりました。
マクドナルドは、従業員を「クルー(乗組員)」と呼び、店舗を一つの船のように考えています。従業員を店舗の重要人物とみなし、先輩クルーから1対1で丁寧に指導される結果、それぞれのクルーが顧客満足度をあげているのです。
ディズニー
「夢の国」とも呼ばれるディズニーでも、カスタマーセントリックの考え方が浸透しています。
ディズニーには接客マニュアルがなく、ディズニーに来店した顧客に幸せを届けるという企業理念をもとに接客が行われています。そのため、従業員個人の判断で、お客様の要望を叶えることが可能です。
また従業員全体に理念が浸透しているため、「ディズニーならこれくらいする」と考えて自ら行動しているようです。素晴らしいサービスが提供されているため、95%のリピート率と顧客に愛される企業になったのでしょう。
カスタマーセントリックに関するよくある質問
Q:カスタマーセントリックとは?
Answer)カスタマーセントリックとは、「顧客中心主義」であり、マーケティング4.0の時代に欠かせないビジネス方針です。
Q:カスタマーセントリックのメリットは?
Answer)顧客との深い関係を築けることで、LTVや事業の成長スピード、コスト削減が期待できます。
Q:カスタマーセントリックを成功させるには?
Answer)顧客サポートの質を上げる・顧客データを活用しサービスをパーソナライズするなどがあります。
まとめ