海外SNSの運用について解説!国別のポイントや手順などお伝えします
海外市場への展開を考える際、マーケティングで最も重要な点の1つはSNSの運用です。SNSを活用することで、世界中のユーザーにリーチでき、自社商品の認知度を高め、顧客と直接やりとりができるからです。実際、Statistaのデータによると、2023年時点で世界中の48億9千万人がSNSを使用していると報告されており、この数は年々増加しています。海外市場にビジネスを拡大させるなら、もはやSNSを外して考えることはできません。
海外SNSの運用とは?
海外SNSの運用とは、企業やクリエイターが日本以外のSNSを活用して、マーケティングやコミュニケーションをおこなうことを指します。「海外のSNS事情は?日本との違いや人気プラットフォームなど紹介」で記載したとおり、海外で利用される人気プラットフォームは、日本の状況とは異なっています。そのため、効果的にターゲットにリーチするには、独自の戦略を検討する必要があります。
海外SNSを運用すべき理由
海外SNSを運用すれば、ブランドの認知度向上や売上増加が期待できるなど、さまざまな利点があります。ここでは、なぜ今、海外SNSの運用に取り組むべきなのか、その理由について整理してお伝えします。
越境EC市場が拡大しているため
越境EC市場は、現在急拡大しています。事実、Fnfresearchによると2021年に7850億USドルだった市場規模が、2030年には10倍以上成長した7兆9380億USドルにまで拡大すると予測されています。
このような市場の成長期には、1つでもマーケティングチャネルを増やすことが成功のポイントです。チャネルが増えていくほど、市場拡大の恩恵を受けることが可能だからです。
参考ページ:Cross-Border B2C E-Commerce Market Size & Share Analysis Report 2022-2030 – Fnfresearch
SNSから直接販売できる環境が整った
2つ目の理由として、各SNSプラットフォームから直接販売できる環境が整いつつある点が挙げられます。例えば、InstagramショッピングやShopifyのYouTubeおよびInstagramとの連携機能などが挙げられます。
参考ページ:Instagramショッピング
こういったショッピング機能の充実により、企業がSNSを通じてユーザーに直接商品を販売するハードルが年々下がっています。そのため、今のうちに海外SNSを運用開始すれば、簡単に販売チャネルを増やし、売上増加に結びつけることができます。
現地市場にあった形で商品を届けられる
3つ目の理由は、現地の声を直接知ることができ、自社商品をそれに適した形で届けることができるからです。SNSを通じて現地のユーザーと直接交流することで、彼らのニーズやトレンド、文化的背景をリアルタイムで把握することが可能です。
これにより、企業はより効果的なマーケティング戦略を策定し、現地市場に適した形で商品やサービスを提供することができます。このように現地の生の声は、WEB広告ではえられない貴重な資産になります。
海外SNSの運用手順
実際に、海外SNSの運用を始めたいと思っても、どこから手をつければ良いのか分からないことも多いと思います。そこで、SNSの運用を始めるための3つのステップをお伝えします。
Step1.ターゲット国を決める
海外SNSの運用を始める際、ターゲットとなる国を最初に選択することが重要です。例えば、中国市場をターゲットにする場合と、アメリカを対象とする場合では、人気のあるプラットフォームもユーザーの文化や風習、言語も異なります。また、適用される法律も異なるため、自社がどの国でSNSを運用するのかを最初に検討する必要があります。
Step2.競合アカウントを分析
次のステップは、競合アカウントの分析です。現地企業の同業他社がどのようにアカウントを運用しているのかを確認してください。具体的には、競合アカウントのフォロワー数やエンゲージメント率、投稿頻度、使用しているハッシュタグやコンテンツのスタイルなどを分析します。こういった分析でえられた知見を自社の運用方針に反映させることが必要です。
参考ページ:競合分析とは?フレームワークやテンプレートを使ったやり方を解説
Step3.運用の方向性を定める
競合アカウントの分析が完了したら、それを元に自社の情報発信の仕方や方向性を決めてください。その後は、実際にアカウント運用をはじめ、コンテンツを投稿します。コンテンツに対してのユーザーの反応をみながら、軌道修正していくようにしてください。この段階まで到達したら、あとはPDCAを回すことに専念します。
国別の海外SNS運用ポイント
ここでは、海外SNSの運用をするにあたり、国別でどのようなメリットやデメリット、注意点があるのか詳しくお伝えします。ターゲット国を選別する際の参考にしてください。
中国
中国でSNSのアカウントを運用する最大のメリットは、14億人以上になる市場規模です。リーチできる数が日本とは比較できない程、規模が大きいため、自社商品とユーザーとの相性がマッチすれば大きな売上につながります。
ただし、中国市場で使用できるSNSは、中国のプラットフォームに限られます。例えば、WeChatやWeiboなどが該当します。グレートファイアウォールと呼ばれる厳格な検閲システムも存在するため、アカウントが規制されるリスクも伴います。現地の法律や規制を遵守し、文化的な背景に配慮したコンテンツを提供してください。
韓国
韓国では全年齢層でインターネットの利用率が高いという特徴があります。『DIGITAL 2023: SOUTH KOREA』によると2023年初頭のインターネット普及率は97.6%に達しており、60代の利用率も9割近い状況です。そのため、インターネットを使ったマーケティングで幅広い層にリーチできる点が魅力です。
また、動画コンテンツが好まれる傾向があるため、SNSでは動画を中心に配信してください。ただし、韓国市場は競争も激しいため、質の高いコンテンツである必要があります。この点に労力とコストをかけられるかどうかが、韓国市場においては重要です。
参考ページ:DIGITAL 2023: SOUTH KOREA – Datareportal
アメリカ
アメリカでSNSを運用する魅力の1つは、多様なプラットフォームを活用できることです。日本でもよく知られたFacebookやInstagramなどはもちろん、SnapchatやPinterest、WhatsAppなどさまざまなタイプのプラットフォームが揃っています。アメリカ市場は、ユーザーが多様なプラットフォームを利用しているため、自社のターゲット層がどこに属しているかをよく見極め、アカウント運用を開始してください。
参考ページ:アメリカのSNSを運用する方法!はじめ方の手順や成功ポイントなど解説
ヨーロッパ
ヨーロッパは多くの国々から成り立ち、それぞれが独自の市場を持っています。そのため、ターゲットを細分化して国と地域毎に適合したコンテンツを配信することがポイントです。例えば、ドイツ向けには環境意識の高い製品をアピールし、フランス向けにはファッションや美食に関連したコンテンツを強化するなどが考えられます。国ごとの特性が異なるため、事前のリサーチが肝心です。
東南アジア
『DIGITAL 2023: GLOBAL OVERVIEW REPORT』によると、東南アジアの人々は日本の2倍以上、ソーシャルメディアに時間を費やしているため、高いエンゲージメントが期待できます。
また、多様な市場が存在し、各国の特性に合わせたマーケティング戦略を展開する必要があります。東南アジアで成功するためには、現地文化や言語に適応したコンテンツ作成、ローカルなトレンドを把握することがポイントです。日本の常識とは異なる点も多いので、可能であれば現地パートナーと協力して進めてください。
参考ページ:DIGITAL 2023: GLOBAL OVERVIEW REPORT – Datareportal
海外SNS運用のよくある質問
ここでは海外SNSの運用について、よく寄せられる質問を取りあげ解説します。海外SNSの運用については、未知の部分が多く、踏み出すのに心理的なハードルもあるのではないでしょうか。疑問点を解消するためにも、早速次の内容をご確認ください。
Q:成果指標はどうすれば良いですか?
Answer)海外SNSを運用する際の成果指標は、基本的には日本と変わりません。具体的には、フォロワー数やエンゲージメント率(いいね、コメント、シェアなど)、WEBサイトへのトラフィック、コンバージョン率(購入、問い合わせなど)などが主要な指標となります。分析は、各SNSプラットフォームが提供するアナリティクスツールや、SNSの運用を管理するアプリケーションなどを活用してください。
Q:どの程度、予算を見積もれば良いですか?
Answer)海外SNSを運用するのに必要な予算は、選定するプラットフォームやSNS広告を利用するのかなどによって異なります。また、現地のインフルエンサーと協力する場合などは、そのインフルエンサーの影響力などによっても異なります。一般的に小規模な運用なら月額500ドルから1000ドル、大規模な運用では月額5000ドル以上を見積もるようにしてください。
Q:運用をする際には、翻訳機で対応できますか?
Answer)翻訳機を利用することで海外SNSの基本的な運用は可能です。しかし、ターゲット市場の文化や言語ニュアンスまでは、翻訳機で対応できません。そのため、現地のネイティブスピーカーによるチェックや編集をおこなうことが望ましいです。自動翻訳だけだと微妙なニュアンスが伝わらないため、ブランドイメージを損なうリスクがあります。
Q:どのような企業が海外SNSの運用を始めていますか?
Answer)海外SNSの運用をしている日本の企業は、例えばユニクロやソニーが挙げられます。ユニクロはInstagramを活用し、グローバルな視点からファッションやライフスタイルに関する高品質なコンテンツを発信しています。また、ソニーはYouTubeを活用して、製品のプロモーションなどをおこなっています。
Q:SNSから直接販売するには?
Answer)海外SNSで現地からの注文を受け付ける方法として、まず、SNSの投稿やプロフィールにECサイトへのリンクを設定し、ユーザーが直接購入できるようにするのが1つの方法です。
ただし、ECサイトは多言語に対応している必要があります。CMSの1つであるShopifyなどを利用すれば、多言語、他通貨に対応可能です。また、Instagramのショッピング機能を利用すれば、ユーザーがSNS内で直接商品を購入することもできます。
参考ページ:Shopifyを使った越境ECのはじめ方!役立つアプリなども紹介
まとめ