ユーザー生成コンテンツとは?CVRを向上させる活用法
今、マーケティングにおいてSNSを軽視することはできません。特定の製品を購入するときに購入検討者の背中を押すのは、ほかのユーザーが投稿した製品のレビューや情報です。
こうしたユーザーの手による口コミやレビューをユーザー生成コンテンツといいます。
このユーザー生成コンテンツをマーケティングに活用することで、CVRが1.3倍に向上した企業も存在します。ユーザー生成コンテンツは自社のPRだけでなく、自社製品やサービスの新規開発、改良のヒントを得ることも可能です。
ですが、反面、情報の正確性や投稿内容のクオリティは不均一になりやすく、同時に著作権や薬機法を侵害する可能性もあります。
ユーザー生成コンテンツとは
ユーザー生成コンテンツとは、一般ユーザーによって作成されたコンテンツのことです。User Generated Contentsともいい、UGCはその略語です。
UGCの具体例を3つあげます。
- Twitterに投稿された商品の口コミやレビュー
- インターネット掲示板への書き込み
- ECサイトでの購入者からの評価
これら以外にも、ユーザーからの投稿で成立するコンテンツをUGCといいます。
CGMとの違い
CGMとはConsumer Generated Mediaの略語です。ユーザーからの情報発信によって成立するメディアを指しています。つまり、CGMはUGCを生成している場所といえます。代表的なCGMとして挙げられるのはTwitterやInstagram、クックパッドなどです。
SEOとの関係
UGC自体は、SEOに直接の影響はありません。ですが、UGCはサイトやページのリンクを共有して投稿するケースが多くみられ、良質なリンクを獲得するという意味では、SEOに影響があるといえます。
SEOで重視すべきは、ユーザーにとって見やすいサイト、知りたい情報を的確に伝えられるコンテンツです。また、外部サイトからのリンクは、自サイトが信頼できるものであると推薦していると解釈できます。
ですから、良質なリンクを獲得するためにサイトや各ページにSNSへの共有リンクや、簡単にURLを引用できる仕組みを作ってください。
またブログやフォーラムでユーザーからのコメントや投稿を許可している場合、リンクタグ内にrel=”ugc”を使ってください。rel=”ugc”を使うことによる検索順位への影響はありませんが、Googleのクローラーに対してリンク先の情報を正確に伝えることができます。
これまでは、ブログへのコメントやフォーラムへの投稿のリンクにはrel=”nofollow”が使われてきました。この属性は、クローラーにリンク先の巡回を回避させることができます。
そのため、低品質なサイトへのリンクが貼られたときに自社サイトへの評価に影響を及ぼさせないための対策として用いられてもいました。
rel=”ugc”を使用したときも同様に、クローラーはリンク先の巡回をおこないません。リンク付きスパムコメントによるSEOへの悪影響を防ぎながら、リンク先の情報を正確に伝えることができます。
このことはGoogleからも公式に発信されています。
rel=”ugc”
コメントやフォーラム投稿など、ユーザー作成コンテンツ(UGC)のリンクは、ugc でマークアップすることをおすすめします。
<a rel=”ugc” href=”https://cheese.example.com/Appenzeller_cheese”>Appenzeller</a>
長期にわたって質の高い投稿を続けているメンバーやユーザーが存在し、そういった信頼のおける投稿者を尊重したい場合は、この属性を削除することもできます。
出典:Google に外部リンクの関係性を伝える(Google検索セントラル)
マーケティングでUGCを活用すべき理由
マーケティングにおいて、UGCを活用すべき理由は2つあります。
- ユーザーの認知拡大
- ユーザー発信が鍵を握る
特にSNSの発展がめざましい今、ユーザーの発信によってCVRが向上することは珍しくありません。多くの企業がUGCに注目しており、また活用しています。
ユーザーの認知拡大
SNSに投稿されたUGCを活用することで、より多くの人々に自社製品やサービスをアピールできます。
少し前までマーケティングはテレビのCMや新聞、雑誌をメインにしていましたが、人々の関心が薄れつつある現在ではインターネット上でのマーケティングが欠かせません。実際、Twitter上の広告出稿量および会話の多さと、購買率の向上には相関性が認められています。
これはほかのSNSでも同じことがいえると考えられていて、今後のマーケティングはいかにSNSで製品やサービスにまつわる会話を誘発させるかを考える必要があります。
ユーザー発信が鍵を握る
多くの人が情報を調べるときにSNSを利用しています。つまり、ユーザー投稿が購買の鍵を握っているということです。UGCを起点とした購買プロセスをULSSAS(ウルサス)といい、6つのプロセスから成り立っています。
- UGC
- Like(いいね)
- Search1(SNS検索)
- Search2(検索エンジン)
- Action(購買)
- Spread(拡散)
SNS上でユーザーの投稿に「いいね」がつくことによって、情報が拡散されます。その情報を目にしたユーザーがSNSや検索エンジンで製品やサービスについて調べ、購買につながります。そして購入したユーザーが新たに情報を拡散することで、さらに認知が拡大していきます。
UGCのメリット
UGCを活用することで得られるメリットは3つあります。
- ユーザーによる拡散
- 親近感や共感を集める
- 商品開発や改良のヒントになる
ユーザーによる拡散
一般ユーザーによって製品やサービスがSNSで投稿されれば、多くの人の目につきます。これまでそうした製品やサービスを知らなかった人や求めていた人に向けて自社をアピールできるため、CVRの向上につながります。
ユーザーの手で拡散してもらうためには、ユーザーが自ら投稿したくなるような仕掛けが必要です。親しみやすいキャラクターを作ったり、製品やデザインを刷新して写真映えするようなものに変えてみたりできます。
親近感や共感を集める
商品やサービスについて企業が発信するとき、内容はメリットを前面に押し出したものや偏ったものになる傾向があります。ですがUGCの場合、消費者の目線でメリットやデメリットを率直に語っています。
これによってほかのユーザーも安心して購入でき、結果として売り上げの向上が見込めます。
商品開発や改良のヒントになる
企業側が想定していなかった使い方やアレンジによって、これまで見えてこなかった新たなサービスや商品のヒントや改良点がわかります。新たなニーズを知るきっかけとしても、UGCの活用は必須といえます。
UGCのデメリット
UGCを活用する上でのデメリットは主に4つあります。
- 情報の精度とクオリティ
- 著作権の侵害
- 薬機法への抵触
- ステルスマーケティング
情報の精度とクオリティ
UGCは誰でも投稿できるぶん、その内容の精度は不均一です。なかには著しく正確性に欠けたものや、ブランドのイメージをおとしめるようなものもあります。
また、SNSでハッシュタグを使ったキャンペーンを催したときに、タグを乱用したスパムが投稿されるリスクもあります。このような状況を避けるために、あらかじめ投稿に際してルールを定めたり、投稿者を選定したりする必要があります。
著作権の侵害
仮にSNSで自社製品やサービスに関する投稿を募ったとしても、投稿された内容の著作権はユーザーにあります。ですから、使用したいコンテンツには必ずユーザー個人から許可を得てからにしなければなりません。
また写真や動画を使うとき、他社の製品や第三者が映り込んでいないかをチェックしてください。著作権に関するトラブルを避けるためにも、必ずおこなうべきです。
ただし、モニターで事前に二次使用の許諾を得ている場合は、あらためて許諾を得る必要はありません。
薬機法への抵触
化粧品やサプリメントなどのUGCを募集するとき、企業は薬機法について気をつけなければなりません。企業がUGCをランディングページや広告で活用する時点で、そのUGCは企業の表現物です。
つまり、ユーザーの主観に基づいた内容のUGCであっても薬機法の対象となります。ですから、投稿されたUGCの内容を厳しくチェックしてください。対策の1つとして、薬機法に抵触しやすいテキスト部分を省略して、写真のみを利用する方法があります。
ステルスマーケティング
ステルスマーケティングとは、企業から依頼された商品をそうと明示せずに好意的な評価とともに宣伝する行為のことです。ステルスマーケティングは口コミやレビューを参考に商品購入を検討中のユーザーに対して、正当な判断を妨害します。
このような行為がおこなわれていれば、企業だけでなく業界全体の信用にかかわります。UGC投稿をインフルエンサーもしくはモニターに依頼するときは、必ず企業との関係性を明記するように伝えてください。また提供した製品や金銭、サービスについても同様です。
UGCを集める方法
UGCを集めるときは3つの方法が使えます。
- SNSで検索する
- ハッシュタグを使う
- アンバサダーを募集する
ただし、新しくリリースする製品やサービスは、ユーザーにコンテンツの作成を促すよう働きかける必要があります。
SNSで検索する
既存の製品やサービスに対するUGCを集めるとき、SNSで製品またはサービス名から投稿を検索してください。企業がSNSでキャンペーンを開催したことがなければ、ユーザーが独自のハッシュタグを作成している可能性もあります。
ハッシュタグを使う
SNSで検索しても投稿が見当たらなければ、ハッシュタグキャンペーンを開催します。「#(製品またはサービス名)」というタグと写真を一緒に投稿するよう、ユーザーに呼びかけてUGCを集めてください。
このとき、投稿したユーザーには抽選または投稿者全員にプレゼントといったメリットを提供します。イメージキャラクターの名前やキャッチコピーを募集することで、自発的に投稿したくなるような仕掛けを作ることもできます。
ですが製品やサービスの知名度が低いときは、まずはインフルエンサーに依頼してユーザーへの呼びかけをおこなってもらうか、広告を打ち出してキャンペーンの認知を広げることから始めてください。
アンバサダーを募集する
良質なUGCを集める方法として、一般投稿者のなかから公式アンバサダーを起用して製品やサービスをPRしてもらうことができます。質の高い投稿者を事前に選ぶことで、ブランドのイメージを保つことができます。
例えばデザートを販売している企業が、パティシエにアレンジレシピを投稿してもらうことでユーザーの購買意欲を刺激して、売り上げにつながったケースがあります。
美容系の製品やサービスなら、女性インフルエンサーやアンバサダーに体験してもらう様子を動画で配信することもできます。このとき製品やサービスがターゲットにしている年齢層と近い人に体験してもらえば、ユーザーからの信頼と共感を得られます。
企業のUGC成功事例
さまざまな企業がマーケティングにUGCを積極的に取り入れています。その結果、CVRが大幅に向上した企業もあります。ここでは3社の成功事例をピックアップしました。
- ニトリ
- スノーピーク
- 株式会社ヤマサキ
ニトリ
ニトリはユーザーから寄せられたSNSの投稿を引用して紹介しています。これによって実際にニトリの製品がどう使われているかを、写真でわかりやすく伝えられます。例えば、ペット用の接触冷感マットを購入したユーザーが自分のペットが使っている様子を写真や動画で投稿することで、よりリアルなイメージや使用感が想像できます。
また、ガラスジャーを購入したユーザーがお米を保管して、虫の侵入が防げることや部屋の景観を損ねることなくおしゃれにみせられると投稿しました。
部屋全体のイメージやデザインにこだわりのあるユーザーや、調味料を保管できるジャーを求めていたユーザーにとって購入の決め手になります。
このようにユーザー自身が投稿した製品の使い方やアイデアを広めることでリアルなイメージを持たせ、新たなユーザーの購買意欲をかきたてることに成功しています。
スノーピーク
アウトドアブランドであるスノーピークは、Facebook上で購入をためらうユーザーがすでに使用しているユーザーへ製品の質問をしていることに注目しました。ユーザー同士でアドバイスしあえる場所を、自社のECサイトに持ち込んだのです。
さらにレビュー投稿の際には、キャンプ歴や利用人数などをユーザーに入力するように促しました。
これによってユーザーの属性が明確になり、レビューへの信頼性を高めることに成功しています。
株式会社ヤマサキ
株式会社ヤマサキはUGCの活用によってCVRを1.3倍に向上させました。株式会社ヤマサキはヘアケア商品を販売していますが、写真では髪の質感や変化を正確に伝えられません。
そこで、ヤマサキのランディングページではテキストを大きく取り上げ、使用感や実感を伝えることにしました。さらに実際の利用者の年齢や髪質を併記して、購入検討者に強くアピールすることでCVRの向上につながったのです。
まとめ