オウンドメディア戦略の立て方!具体的な手順やトレンドなど解説
オウンドメディアは、現代のデジタルマーケティングにおいて重要な役割を担っています。実際、株式会社宣伝会議の月刊『広報会議』の調査では、オウンドメディアに「とても注力している」「注力している」と回答した企業が8割超に上ることが明らかになりました。
しかし一方で、運用には費用面や効果測定など多数の課題も存在します。こういった課題は、戦略を正しく立てることによって解決します。
オウンドメディア戦略の立て方とは?
自社が所有・管理するWEBサイトやソーシャルメディアをどう活用し、運用するかといったことを「オウンドメディアの戦略」と呼んでいます。そして、その戦略を策定するプロセスが「オウンドメディア戦略の立て方」です。戦略を立てる際には、運用目的、ペルソナの設定、競合分析などを正しい方法で実施する必要があります。
参考ページ:What is Owned Media: Strategies and Examples – SendPulse
重要性
そもそもなぜ、オウンドメディア戦略を立てることが重要なのでしょうか。ここでは、主な理由を3つとりあげ解説します。
1.リソースを効率的に活用できる
戦略を立てる理由の1つは、企業が保有する資産、資金、人材などのリソースを効率的に活用できるからです。オウンドメディアには、資金や人材を投入しなければいけません。その際、戦略を立てておくことで、こういったリソースを効率的に活用することができます。
2.競合との差別化
2つ目の理由としては、競合との差別化ができるという点が挙げられます。オウンドメディアが他社と類似したものであれば、そもそもコンテンツを公開する意味があまりありません。既存のコンテンツとは異なる価値を提供することによって、ユーザーや検索エンジンから高く評価されることに結びつきます。
3.コンテンツの統一感が生まれるから
オウンドメディア戦略を立てる3つ目の理由は、コンテンツの統一感が生まれるからです。企業がオウンドメディアを通じて情報を発信する際、そのすべてが一貫したブランドのメッセージやトーン、スタイルを反映する必要があります。この点がバラバラだと、顧客に対して正しいメッセージが伝わりません。そのため、戦略を立てる際に、どのような情報をどういう形で顧客に伝えるのかといったことを検討する必要があります。
オウンドメディア戦略を立てる際に役立つ最新トレンド
ここでは、オウンドメディア戦略を立てる際に役立つ最新トレンドを解説します。自社の戦略を立てる際の参考にしてください。
人間によるストーリーテリングへの回帰
2023年は、ChatGPTなどのAIを使ったコンテンツが爆発的に増えました。場合によっては、AIが書いたものをそのままオウンドメディアで公開しているケースも見られます。こういったAIコンテンツは今後も増加し続けるため、2024年は人間味や温かみがある表現で、独自のストーリーを語ったコンテンツが注目される可能性があります。そのため、人間が書いて作った独自性のあるコンテンツを戦略の軸に据えてください。
参考ページ: Key Trends in Content Marketing 2024 – ContentMarketingInstitute
新しい視点を提供する
AIがコンテンツを作成すれば、情報の網羅性が高い記事をつくることができます。しかし、どこまでも一般論に終始しているため独自性が薄く、ユーザーに新しい視点を提供したり、考えさせる内容になっていません。そのため、情報の網羅性をカバーしつつも、より深みのあるコンテンツを提供するようにしてください。自社独自の経験から伝えられること、自社オリジナルの調査結果などは非常に有益です。
人気のあるコンテンツフォーマットを利用
オウンドメディアでテキストしか投稿していないのであれば、2024年はそれを大きく転換させる必要があります。できれば、動画、音声、図解などの新しいコンテンツフォーマットを導入してください。特に近年は、動画が注目される傾向が続いており、HubSpotの『2024 The State of Marketing Report』によると、過去2年間だけでも動画の消費量は200%増加しています。
もちろん、業界や記事のテーマによってどのようなフォーマットが適切かはケースバイケースですが、リッチコンテンツ化することで、顧客は自社のオウンドメディアにより多くの時間を費やしてくれる可能性が高いです。また、今後、検索エンジンはこのようなリッチコンテンツをより高く評価する可能性があります。
参考ページ: 2024 The State of Marketing Report – HubSpot
パーソナライズしたメールマガジン
オウンドメディアの1つとして、メールマガジンを利用しているのではないでしょうか。HubSpotの『2024 The State of Marketing Report』によると、72%のマーケティング担当者は今後もメールマガジンを活用したマーケティングが重要であるという認識を持っています。
ただし、購読者の41.1%はメールを2-8秒程度、ざっと目を通すに留まっています。そのため、今後、メールマガジンのコンテンツをよりパーソナライズさせてください。購読者に「自分のためのコンテンツだ」と認識してもらう必要があります。具体的には、購読者をセグメント化し、そのターゲットにあったコンテンツを送るという方法を使うことで、購読者の注目を集めることができます。
【5ステップ】オウンドメディア戦略の立て方
オウンドメディアは、自社や商品のストーリーを伝え、顧客との関係を深めるための強力なツールです。しかし、その効果を最大限に引き出すには、戦略的なアプローチが必要です。そこでここでは、オウンドメディア戦略を効果的に立てるための5つのステップを解説します。
Step1.目的を決める
最初に、オウンドメディアの目的を決めることが重要です。オウンドメディアを運用することによって、何を達成したいのかを決めてください。典型的な例としては、ブランド認知の向上、リード獲得、自社商品の販売、顧客教育などが挙げられます。こういった目的を最初に明確にすることでそれ以外の要素、例えばコンテンツのトーンやターゲット、メディアフォーマット、配信チャネルなどの細部が決まります。
Step2.目標(KPI)を決める
次のステップとして目標(KPI)を決めてください。KPI(Key Performance Indicators)とは、オウンドメディアの目的達成に役立つ指標のことです。例えば、オウンドメディアの運用がリード獲得を目的としているなら、WEBサイトの訪問者数やページビュー、SNSでのシェア数などがKPIになる可能性があります。これらのKPIを設定することにより、オウンドメディア担当者が日々の業務で何に取り組めば良いのかが明確になります。
参考ページ:オウンドメディアのKPIの正しい設定方法とは?KPIを設定すべき理由・注意点を解説
Step3.ペルソナの設定
ペルソナとは、理想的な顧客を具体的に描写した架空の人物のことで、年齢、性別、職業、趣味、ライフスタイル、購買行動、課題や悩みなどの詳細な情報を設定したものです。オウンドメディア戦略においても、ペルソナの設定は必要不可欠です。なぜなら、コンテンツを制作するときには、このペルソナを想定して記事を書くからです。例えば、ペルソナとして男性を設定している場合と、女性を設定している場合では、表現やトーン、画像のカラーなども大きく異なってきます。
参考ページ:ペルソナとは?マーケティングに必要な理由と設定方法を解説
Step4.ターゲットキーワードを決める
Step3で設定したペルソナが、実際に検索しそうな言葉やフレーズを特定し、それらのキーワードに対して関連するコンテンツを作成します。そのため、Step4では、その検索しそうなキーワードを最大限洗い出します。このプロセスが適切におこなえれば、検索エンジンからの流入が増え、自社の目的をより達成しやすくなります。
例えば、若年層のアウトドア愛好者をペルソナとして設定しているなら、彼らが検索しそうな「ハイキング+コツ」や「安価+キャンプ用品」といったキーワードに対してコンテンツを作成します。
参考ページ:キーワード選定とは【初心者向け】良いキーワード選定のコツなどを徹底解説!
Step5.チームの構築
持続的にオウンドメディアを成長させるためには、それを支えるチーム編成が必要です。新規記事作成や既存記事を修正するライター、競合の動向把握や検索順位を分析するマーケター、SEOスペシャリスト、ソーシャルメディア管理者など、オウンドメディア運営にかかわるさまざまな役割を担当者に割りあてます。こういったチームで協力することで、高品質なコンテンツの継続的な提供と、市場環境の変化への柔軟な対応が可能になります。
オウンドメディア戦略を立てる際の注意点
効果的なオウンドメディア戦略を立てるには、いくつかの重要な注意点があります。ここでお伝えすることを守って戦略立案を進めてください。
ロングテールキーワードから対策
実際にコンテンツ制作をおこなう際には、ロングテールキーワードから対策してください。ロングテールキーワードとは複数のキーワードによって作られたものです。具体的には「SEO対策+戦略+立て方」などのように3語前後のキーワード群のことです。こういった複合キーワードは、競争が少なく、検索エンジンでの上位表示を達成しやすいです。そして、上位表示できれば、自社WEBサイトのSEO評価を高めるのに役立ちます。
参考ページ:ロングテールキーワードとは? ツールを使った探し方や選び方のコツ
リライトに注力
オウンドメディアを運営する際には、新規記事作成ばかりに注目しがちです。しかし、リライトも計画的に進める必要があります。リライトとは、既存のコンテンツを見直し更新することです。リライトをすれば、質を向上させたり、最新の情報に合わせてアップデートすることができます。
具体的にリライトの対象となるページは、検索エンジンでの順位が低い記事や時代遅れになっている情報を含む記事などが該当します。このように、リライトをおこなうことで、SEO効果を高めるだけでなく、ユーザーにとっても価値の高い情報を提供することができます。
参考ページ:ブログ記事においてSEOにおけるリライトの重要性を解説
オウンドメディア戦略のよくある質問
Q.コンテンツマーケティングとは?
Answer)コンテンツマーケティングとはコンテンツを通じて、見込み客にリーチしたり、育成するマーケティング手法のことです。主にはオウンドメディアを通じてコンテンツマーケティングを展開します。
参考ページ:コンテンツマーケティングとは?手法やコツ、成功事例を徹底解説
Q.採用オウンドメディアとは?
Answer)採用オウンドメディアとは、企業が自ら運営するメディア(例.WEBサイト、ソーシャルメディアアカウント、メールマガジンなど)を利用して、採用活動や人材獲得のための情報を発信することです。オウンドメディアを通じて情報を発信するため、企業の文化や働く環境、職場の雰囲気など、自社が伝えたいと思っているポイントをあますことなく伝えられることがメリットの1つです。
参考ページ:採用オウンドメディアとは?メリットやデメリットはじめ方を解説
Q.顧客理解は、オウンドメディア戦略を考える際に重要?
Answer)顧客理解はオウンドメディアを運用する際に非常に重要です。ターゲットとなる顧客のニーズ、関心、行動パターンを深く理解するからこそ、適切なコンテンツを制作できるためです。顧客のことが理解できていなければ、どのようなコンテンツを提供すれば良いのか判断できません。そのため、オウンドメディア戦略を立てる際には、顧客理解を重視してください。
参考ページ:顧客理解とは?その重要性や実施方法、マーケティングへの活かし方など解説
Q.SNSを併用することは有効ですか?
Answer)オウンドメディアを運用する際にSNSを併用することは有効です。SNSはオウンドメディアのコンテンツを拡散し、より広いオーディエンスにリーチするための強力なツールとなるからです。自社のターゲットに合わせて適切なSNSを活用してください。
まとめ