スマホやSNSの利用者が増加するなか、動画マーケティングが注目されています。今後も国内外問わず動画の利用率は増加傾向にあり、多くの企業がその導入を検討しています。しかし、効果的に動画マーケティングを進めるには、正しい手法と戦略が必要です。

動画マーケティングとは

映像コンテンツを使用して集客や宣伝活動、販売戦略をおこなう施策が、動画マーケティングです。単に動画を作成して公開するだけでなく、効果検証をおこない改善につなげることが求められます。買い物をインターネット上で済ませる消費者が増えるなか、企業の収益を上げるには動画マーケティングを活用して競合他社と差をつけることが大切です。

動画マーケティングをおこなう目的

動画マーケティングには、どのような目的があるのかわからない人もいるはずです。動画マーケティングの目的には、次のようなものがあります。

認知獲得

動画マーケティングをおこなうと、多くのユーザーの目に触れる機会を得られます。興味や関心を惹ければ、ブランドや商品の認知度を上げられます。

またSNS上で拡散されやすくなるので、フォロワー以外のユーザーにも情報を届けられます。効果的な動画マーケティングを実施すれば、広告以上の効果を得られることも多いです。商品やブランドの知名度を上げたいなら動画マーケティングが最適です。

好感度向上

商品やブランドの認知度を高めたら、購入に促すために理解度を深めることが必要です。動画はテキストと異なり、多くの情報を伝えられます。

また商品の質感やブランドストーリーなど静止画だけでは伝えづらい情報も直感的に理解できます。近年は、店舗に足を運ばずインターネットで買い物するユーザーも少なくありません。多くの商品やブランドから選んでもらうには好感度を上げる施策が重要です。

購買促進

ネットショッピングが増えるなか、オンライン上での商品購入を効率的に促進することが必要です。動画マーケティングをうまく活用できれば、これまで店頭で提供していた接客をオンライン上でおこなえます。

たとえば、動画で商品の特徴や取り扱い方法、購入するメリットなどわかりやすく伝えられます。動画にすれば見た目の魅力も伝えられるので、商品の購買促進につなげることが可能です。

動画マーケティングが注目されている背景

動画を軸としたマーケティング手法が注目される背景には、さまざまな理由があります。社会の変化に応じてマーケティング手法を変えないと、新しいユーザーを獲得することはできません。動画マーケティングが注目されている背景は、次のとおりです。

動画コンテンツの普及

TikTokやInstagram、YouTubeなど、動画を投稿するSNSが普及し始めました。多くのユーザーは動画コンテンツに触れる機会が増え、そこから情報を得る人が増加しました。

また、SNSによってはお気に入りや誰かに教えたい動画を共有できる機能があります。共有されればSNS上でバズり、一気に話題になる可能性も高いです。

動画視聴環境の整備

従来は、ファイルサイズが大きい動画は途中で止まるなど快適に視聴することはできませんでした。また長時間視聴すると通信量が高くなり、情報収集する手段として好まれないことも多かったです。

ただ通信インフラや通信使いたい放題のサービスなどが飛躍的に普及したことにより、スマホから問題なく視聴できるようになりました。その結果、動画を視聴するユーザーが一気に増えたといわれています。

期待した効果を得られる

動画マーケティングは、期待した効果を得られやすいといわれています。基本的に人は動いているものに目が行きやすいです。

静止画より動画のほうがクリックされやすいので、多くの人に情報を届けられます。また文章を読むより動画を視聴したほうが楽に情報を得られるため、動画マーケティングに力を入れることで高い効果を期待できます。

動画マーケティングのメリット・デメリット

動画を投稿するSNSが普及したことにより、動画マーケティングを実施する企業が増えました。ただし、動画マーケティングにはメリットとデメリットがあります。それぞれの特徴を理解して、動画マーケティングを実施するのか決めましょう。

メリット

どのような効果を得られるのか事前に把握しておけば、動画作成に役立てられます。まずは動画マーケティングをおこなうメリットから確認しましょう。

伝えられる情報量が多い

テキストと異なり、動画は短時間でも多くの情報を届けられる特徴があります。ある米国の調査会社によると1分間で180万語の情報量があることが報告されています。

これを記事にすると3600ページ分に該当するため、動画を投稿したほうが1回の情報量が多いです。また、文字では魅力を伝えづらい洋服や音楽も動画は有効に働きます。

視聴者の記憶に残りやすい

文字情報に比べて、動画は視聴したユーザーの記憶に残りやすいといわれています。近年インターネット上には商品やブランドが溢れており、その中から選んでもらわなければいけません。

動画を投稿してユーザーの印象に残れば、競合他社の商品ではなく自社商品を選択してもらえる可能性もあります。また映像より音の印象が強く記憶に残るといわれているので、BGMの選び方も重要です。

上位表示されやすくなる

ユーザーの興味関心を惹く動画を作成すれば、検索エンジンに最適化できます。いわゆるSEOと呼ばれるもので、検索エンジンからの評価を高めて上位表示されやすくなります。

上位表示されれば多くのユーザーの目に触れる機会を得られるため、情報を届けやすくなるはずです。SNSには多くの動画で溢れているので、SEO対策が重要です。

顧客満足度を高められる

使用方法や注意点をまとめた動画マニュアルを作成すれば、顧客満足度を高められます。商品利用への満足度が向上するので、継続的に利用してもらえる可能性も高いです。

また商品に付属された説明書だけでは、正しく理解できないことも多いため動画が役立ちます。商品やブランドのイメージも浸透するので、新規顧客の獲得にもつなげられます。

プラットフォームが多い

動画コンテンツは、YouTubeやInstagramなどプラットフォームが多いのも特徴です。従来は、動画といえばテレビCMしか選択肢はありませんでした。

テレビCMへの出稿は莫大な費用がかかるので、お金を理由に諦める人も少なくありません。動画コンテンツなら費用を抑えて広告を出稿できるので、十分な予算を確保できない企業にもおすすめです。

デメリット

多くのメリットがある動画マーケティングですが、デメリットがあるのも事実です。デメリットも理解したうえで動画マーケティングを実施しましょう。主なデメリットは、次のとおりです。

動画作成に時間がかかる

動画マーケティングのデメリットには、動画作成に時間がかかることが挙げられます。動画作成はさまざまな工程があり、企画構成から実際に投稿するまで少なくとも2ヶ月程度かかることも多いです。

動画内容にこだわると、さらに時間がかかります。なるべく早くマーケティング効果を得たい場合、時間がかかることがデメリットになるかもしれません

多額の制作費用がかかる

自社に動画を作成できる人材がいない場合は、外注しなければいけません。外注すると多額の制作費用がかかるので、予算が少ない企業の場合はデメリットに感じるはずです。外注の制作にかかる費用には、企画や構成費、キャスティング費、撮影費、スタジオ費などがあります。ただ制作会社で価格設定は異なるため、まずは見積もりを取りましょう。

取得可能データが少ない

動画コンテンツは、視聴回数や視聴率、ユーザー属性など多くの情報を得られます。ただし、ユーザーがどのような目的で視聴しているか、なぜ離脱したのかといった理由まではわかりません。

取得可能データが少ないというデメリットがあるため、動画の改善に活かせない場合があります。データを取れる外部ツールの導入を検討することが必要です。

動画マーケティングの手法

動画マーケティングはさまざまな手法があります。それぞれ情報を届けられるターゲット層や得られる効果が大きく異なるため、目的に応じて動画マーケティングの手法を選ぶことが大切です。動画マーケティングの手法には、次のようなものがあります。

交通広告

電車やバス、飛行機、タクシーなど交通機関に掲示できるのが、交通広告です。通勤通学や日々の買い物など、日常的に交通機関を利用するユーザーに情報を届けられます。自然に目に触れる機会を得られるので、効率よく訴求できる広告です。どのような交通機関に広告を出稿するかでリーチするターゲット層も異なるので目的に応じて選びましょう。

動画広告

高いインプレッションを狙うなら、WebサイトやSNSに出稿する動画広告がおすすめです。日本の広告費に関する調査によると、ネット広告媒体費の中で動画広告のシェアが2割に達したと報告されています。前年比121％の成長率を誇り、動画広告の市場規模が急速に拡大しているのが現状です。動画広告の種類には、インリード動画広告・インバナー動画広告・インストリーム動画広告があります。

動画セミナー

2020年以降に需要が急増しているのが、動画セミナーです。オフラインで開催したセミナーの様子を録画したもの、または動画化することを前提として撮影した動画を活用してアプローチします。簡潔にまとめられた動画セミナーは初心者でも理解しやすく、後から何度でも見返すことが可能です。また、短時間でインパクトを持たせられるのでユーザーの印象に残りやすくなるメリットもあります。

メルマガ配信

ユーザーとコミュニケーションを図るために、動画を活用したメルマガ配信する企業が増えています。メルマガ配信とは、見込み顧客や顧客に対して一斉配信するメールのことです。いわゆるメールマーケティングの一種で、メルマガを配信すればユーザーと定期的に接触を持てます。見込み客や顧客に応じて興味関心を惹ける情報を発信すれば、満足度向上やクリック率の向上できるのも特徴です。

オンライン配信

株主総会や商品の発表会、音楽ライブなどオンライン配信を実施する企業が増えています。リアルタイムで情報を発信することにより、商品やブランドの認知拡大やブランディング、サイトへの誘導や商品購入を促すことが可能です。また、オンライン配信を編集すればアーカイブ配信やオンデマンド配信など二次利用できるメリットもあります。

サイトに埋め込む

企業サイトやLPなどWebサイト上に動画を埋め込む手法もあります。自社サイトに訪れたユーザーに向けた動画マーケティング手法で、コンバージョンを促したい場合に有効です。たとえば、商品の活用方法を説明したり新商品を紹介したりする方法があります。すでに自社商品に興味のあるユーザーが対象なので、有益な情報を発信することが必要です。

インフルエンサーの活用

SNSのインフルエンサーを活用したプロモーション動画も動画マーケティングで有効です。影響力の高いインフルエンサーを使うことにより、企業が目的とするコンバージョンを狙います。ユーザーは露骨な広告に嫌悪感を感じるため、広告の要素を消す工夫が必要です。企業が情報を発信するより圧倒的に高いエンゲージメントが期待できます。

動画マーケティング成功のポイント

単に動画を作成して投稿しても期待した効果は得られません。動画マーケティングの成功ポイントには、次のようなものが挙げられます。

動画作成の目的を明確にする

動画マーケティングをおこなうにあたって、まず目的を明確にすることが必要です。動画作成の目的によって方向性や配信媒体、依頼すべき制作会社が大きく変わります。たとえば認知獲得を得たいなら、ユーザーの興味関心を惹ける動画を作成したり品質の高い動画を作ったりすることが求められます。目的が曖昧だと期待した効果には繋げられません。

重要目標達成指標を設定する

動画作成の目的を明確にしたら、重要目標達成指標を設定しましょう。重要目標達成指標とは、ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標です。いわゆるKPIと呼ばれるもので、目的達成率を評価するための中間的な指標になります。動画マーケティングにおけるKPIは、再生回数や視聴者数、再生時間、クリック率、コンバージョン率などです。

動画時間は長くし過ぎない

動画はテキストより多くの情報を伝えられますが、動画時間を長くし過ぎるのはやめましょう。基本的に動画時間が長くなればなるほど離脱率が高くなるといわれています。こだわって作成した動画でもユーザーに視聴されなければ意味がありません。ユーザーの反応を見るためにも、まずは1分以内の動画から作成してみるのがおすすめです。

配信に効果測定をおこなう

動画を作成して配信するときは、効果測定をおこなうのがおすすめです。効果測定をおこなうことで、どのくらい目的を達成できたかを測定できます。再生回数や視聴者数、再生時間など効果を測定し、修正箇所があれば改善しましょう。これを繰り返すことで当初の目的を達成しやすくなるため、必ず配信に効果測定をおこないましょう。

動画マーケティングの事例

動画マーケティングは多くの手法があるので、どのように実施すればいいか迷う人もいるはずです。ここでは、動画マーケティングの事例をまとめました。それぞれの動画マーケティングの事例を参考にして、自社の動画作成に活かしましょう。

十六茶

YouTubeに動画を投稿する際に役立つのが、十六茶の動画事例です。動画内では主演の新垣結衣さんが、いきなり冒頭で「スキップしないで！」と視聴者に呼びかけています。多くの視聴者は動画をスキップして早く本編を観たいと思っているので、アピールすることで動画を見てもらえます。

ヤマサ醤油

ヤマサ醤油の企業サイトには、ヤマサムービーギャラリーという動画コンテンツをまとめたページがあります。社長のインタビュー動画やソムリエが紹介する料理レシピ動画など、さまざまな切り口でユーザーにアプローチしているのが特徴です。

オリンパス

オリンパスの公式YouTubeチャンネルでは、ライブ配信に力を入れています。オンライン講座であるYouTubeのライブ配信を開始したことにより、チャンネル登録者数は格段に増えています。商品・ブランド理解や好意度の向上に成功した事例です。

au

高い認知度を獲得した動画として有名なのが、auのテレビコマーシャルです。桃太郎・浦島太郎・金太郎を主役にした独特の世界観でストーリーが展開されています。動画内容のインパクトにより、つい最後まで視聴してしまうユーザーも多いです。

JTB

JTBのふるさと納税のポータルサイト「ふるぽ」を紹介した動画です。初心者でも理解しやすいようにアニメーションで作成されています。ふるさと納税といった複雑な内容でもアニメで親しみやすさが出るので、視聴者の関心を惹けるのが魅力です。

pino

森永乳業株式会社の大人気商品であるpino（ピノ）の公式Twitterアカウントでは、オーガニック投稿でGIF動画を活用しています。リツイートや引用リツイートも多数おこなわれており、高いエンゲージメント効果を得ている成功事例です。

SK-Ⅱ

国内外問わず人気の高い化粧品ブランドのSK-Ⅱでは、新商品を紹介したり使い方を教えたりする動画をYouTubeで配信しています。渡辺直美さんや佐々木あさひさんなどインフルエンサーを活用し、若年層へのアプローチを強化しています。

Adobe

世界的に利用されているAdobeですが、初心者が使いこなせずに解約してしまう課題を抱えていました。そこで使い方を教える動画を作成して、実際に活用してもらう工夫を実施しています。ユーザーの満足度を向上させて解約率を改善しました。

Video Brain

簡単に動画制作できるクラウド型動画編集ツールを提供するVideo Brainでは、BtoBビジネスであることからタクシー広告を積極的に実施しています。ビジネスマンが乗車する機会が多いタクシーに動画を配信することで認知獲得に努めています。

動画マーケティングの支援サービスの費用

動画マーケティングを成功させるには、専門的な知識が必要になることも多いです。しかし自社に動画を作成したりSNSを運用できたりする人材が在籍していないことも少なくありません。

このような場合は、外注を検討することが必要です。動画マーケティングの外注方法には、動画制作・SNS広告運用・YouTubeコンサルがあります。それぞれの特徴や費用相場を確認しましょう。

動画制作

動画制作を外注する場合は、実写動画とアニメーション動画から選べます。実写動画はリアル感があり、自分が使用している印象を与えられるのが魅力です。近年はアニメーション動画の需要が増えており、実写ではできない演出も叶います。実写動画またはアニメーション動画の制作を外注する際にかかる費用は、10万～200万円程度です。

SNS広告運用

InstagramやTwitterなどSNSに動画広告を出稿する際にプロに任せたい人もいるはずです。SNS広告の運用を外注する場合、代行手数料は広告費の10～20%が発生します。動画制作も制作会社に任せる場合は別置費用がかかります。ただし制作会社によって価格設定は大きく異なるため、複数の制作会社に見積もりを依頼して比較検討しましょう。

YouTubeコンサル

参入者が増えるなか、YouTubeで効果を出すのは難しい時代になりました。YouTubeコンサルに依頼することで、運用方法や動画内容のアドバイスをもらえます。YouTubeコンサルの費用相場は、月額30万～50万円が相場です。効果が出るまで時間はかかりますが、一度軌道に乗ると登録者数が増えることも多いので目標を達成しやすくなります。

まとめ

YouTubeやTikTok、Instagramなど動画を投稿するSNSが増えるなか、動画で情報を収集したりコンテンツを楽しんだりするユーザーが増えています。今後も動画市場は成長することが予測されているため、動画マーケティングの実施は必要不可欠になることが考えられます。動画マーケティングは多くの手法があるので、自社商品に適した方法で認知獲得や顧客満足度の向上を目指しましょう。

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