コンテンツマーケティングの市場規模は？日米格差と将来性について解説
インターネット時代に入り、従来型の広告が消費者から敬遠される傾向が強まり、消費者の興味関心を惹きつける手法として、コンテンツマーケティングに注目が集まるようになりました。近年のサブスク方式のコンテンツ提供やSNSの浸透により、よりコンテンツマーケティングの重要性が高まっています。
それに伴って、コンテンツマーケティングの市場規模も拡大し、今後もその衰えを知らないとも言われています。この記事では、コンテンツマーケティングの市場規模と将来性について解説します。
コンテンツマーケティング市場の現状
総務省の令和６年度版の白書「情報通信分野の現状と課題」によると、日本のデジタル広告は2023年には約3兆3000億円を突破し、広告市場の約45%を超えています。
伸長を続けるデジタル広告ですが、従来のプッシュ型広告に対する消費者の抵抗感が強まっており、効果が薄れる傾向にあります。この対策としてコンテンツマーケティングに対する注目が高まっており、市場としても拡大傾向です。
市場規模は1兆円超
コンテンツマーケティングは主に、SEO対策、アウトソーシング、インターネット広告、SNSマーケティングの4つで構成されます。
インターネット広告はバナーやポップアップなどのプッシュ型の広告出稿がメインでしたが、2023年時点で、インターネット広告の約20%程度がコンテンツマーケティングに該当すると考えられています。以上の条件を踏まえて、2024年の市場規模を算出すると、コンテンツマーケティング市場は約1兆円規模の巨大なマーケットだと想定できるでしょう。
インターネット広告が市場を牽引
2024年のインターネット広告費は、3兆円に迫る勢いだと予想されています。この広告費の約20%がコンテンツマーケティングであると考えると、その規模は約6,000億円です。
インターネット広告は、近年平均10%程度の成長を見せています。その中でも次第に比重がコンテンツマーケティングに移りつつあります。ここからも、コンテンツマーケティング市場の成長が窺えるでしょう。
参考：2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析
SEO対策の伸長
SEO対策の浸透も、コンテンツマーケティング市場の成長を押し上げています。少し古いデータにはなりますが、2018年ごろのSEOの市場規模は約500億円です。
SEOの市場は毎年8%前後の伸びを示しており、2024年ごろには約800億円に迫ると考えられています。SEOはKPI設定などを通じて、コンテンツマーケティングと密接に関係しており、SEOの伸びは、そのままコンテンツマーケティングの需要拡大につながっています。
関連記事：コンテンツマーケティングとは？手法やコツ、成功事例を徹底解説
コンテンツマーケティング市場の日米格差
アメリカのコンテンツマーケティング市場は2023年に約720億ドル（約10兆円）と、日本の約10倍の規模です。市場は歴史が100年以上あり、マスメディアやインターネットの普及とともに拡大しました。
アメリカ発のSNSや動画プラットフォームなど、技術的な優位性があり、近年では生成AIを活用した高度なターゲティングとパーソナライゼーションにより、効率的なマーケティングが行われています。2026年には市場規模が約1070億ドルに達すると予測されています。
見出しごとに解説します。
アメリカの市場規模は日本の約10倍
2023年のアメリカのコンテンツマーケティング市場は、約720億米ドルに達すると予想されています。
1米ドル150円で計算すると、約10兆円で日本の約10倍です。そして、2026年には約1070億米ドルに達すると予測しています。
参考：Content marketing revenue worldwide from 2018 to 2026
アメリカのコンテンツマーケティング市場
アメリカでは、コンテンツマーケティングの歴史が100年以上あるといわれています。それが20世紀中頃にマスメディアと結びつき、市場が飛躍的に拡大します。
21世紀に入ってからは、インターネットと結びつき、従来のプッシュ型ではなくプル型、いわゆるインバウンドマーケティングの手法が一般的になりました。これによりSEOの技術が発展します。
アメリカのテクノロジーの優位性
コンテンツマーケティング自体の歴史の深さ自体に、アメリカの優位性がありますが、そのマーケティング手法を活かすプラットフォームも、アメリカ発のものが多く、技術的な優位性があります。
コンテンツマーケティングを展開するインターネット自体はもちろん、各種SNSや動画プラットフォームも多くはアメリカで誕生しました。近年では生成AIを活用して、より精緻なターゲティングとパーソナライゼーションを実現。より効率的で効果的なマーケティング戦略が展開されています。
コンテンツマーケティング市場の将来性
企業活動に与える影響度も増していますが、将来性はどうなのでしょうか。成長予測、キーテクノロジー、もたらされるアクションに分けて解説します。
今後も市場成長が予測される
コンテンツマーケティング市場は日本においても加速度的に拡大するでしょう。プッシュ型広告に消費者が背中を向けつつある現在、コンテンツマーケティングが持つインタラクティブ性が市場成長には欠かせません。
インタラクティブ性が高まることで、消費者ニーズをより正確に把握し、商品やサービスに反映することができます。インタラクティブに焦点を置いた時、オンラインだけではなくオフラインでの接点も重要になるでしょう。オフラインでの接触は、ブランドへのエンゲージメントを高める最高の機会です。
AIの普及が追い風になる
ここ数年、ChatGPTやgeminiなど、生成AIが急速な勢いで普及しています。この成長がコンテンツマーケティングには、追い風になると考えられます。生成AIを活用することで、コンテンツを大量に生産できます。しかもパーソナライズすることも簡単で、SEOの最適化にも役立つでしょう。
生成AIは大量のデータを瞬時に分析して、トレンドや消費者の思考に基づいたインサイトを提供します。これによってコンテンツマーケティング戦略がより精緻になり、効果の最大化に貢献するでしょう。同時に、動画作成機能も急激に進歩しており、より消費者のニーズにマッチしたコンテンツ提供が可能になると予測されます。
リアルタイム分析・リアルタイム対応が可能に
生成AIを活用することでリアルタイム性が向上し、コンテンツマーケティングの必要性がより高まります。生成AIの活用は大量のデータを瞬時に分析し、対応策の提示を可能にするため、リアルタイムでのデータ分析やユーザー対応が可能になります。
これからのコンテンツマーケティングの価値は、消費者に対して、いかにパーソナライズされた情報をリアルタイムで提供できるかにかかってくるでしょう。最新のテクノロジーを活用することで、リアルタイム性を確保することは重要です。
コンテンツマーケティング市場での成功ポイント
市場が拡大しているコンテンツマーケティングですが、需要が増しているということは、競争も激しくなります。マーケティングで成功するための、効果的なプロジェクトの運用ポイントを確認しましょう。
デジタル人材の確保
社内のコンテンツマーケティングに取り組む、体制を整えましょう。コンテンツを制作し、効果的で競争力のあるマーケティング戦略を確立するためには、デジタル人材を確保することが重要です。
データを収集して分析し、エンゲージメントを高めるには、各種ITツールを使いこなす人材が求められます。コンテンツマーケティングはトライ＆エラーの繰り返しで、プロジェクトが長期にわたるケースが多いため、そうした人材を継続的に維持する必要があります。
アウトソーシングの活用
一般的にプロジェクトは複数同時並行で運用されるため、社内の人材だけでは手が回らなくなるケースが多くなるでしょう。その際は、アウトソーシングの活用が効率的です。
コンサルティング会社に協力を仰いだり、コンテンツマーケティング専業の企業とタッグを組むのもよいでしょう。また、フリーランス人材も多く存在します。エージェントやクラウドソーシングなどを利用して、自社にマッチした人材を発掘しましょう。
SEO対策とコンテンツの質の維持
コンテンツマーケティングを成功させるには、SEO対策が重要です。SEO対策で露出を高め、リードを確保することが求められます。そして、確保したリードを、ナーチャリングしていきます。
関連記事：勝てるコンテンツマーケティング戦略を9つのステップで構築する方法
ナーチャリングしたリードを、エンゲージメントさせるためには、コンテンツの質の高さが重要です。例えば、動画コンテンツでパンチ力のあるサムネイルを作っても、動画の内容がそれに伴っていないと、継続的な視聴は望めません。最終的には、コンテンツの質がリードのエンゲージメントにつながるのです。
まとめ
コンテンツマーケティングの市場は、上昇基調ですし、今後も拡大していくでしょう。日本のコンテンツマーケティング市場はアメリカの10分の1ですが、GDPから考えると、日本は遅れをとっていると言わざるを得ません。しかし逆に考えると、日本のコンテンツマーケティング市場は、伸び代が大きいと捉えることができます。企業の成長や売上アップに寄与するものとして、コンテンツマーケティングへの取り組みを強化していきましょう。
