2022年末にOpenAI社がChatGPTをリリースしたことで、世界中が生成AIに注目しました。その後、世界的なテック企業のGoogle、Microsoft、Metaなどが参入して技術革新が加速し、大規模言語モデル（LLM）、画像生成AIなどの性能が急激に成長しました。

2024年には、テック業界だけでなく、さまざまなジャンルの業界で生成AIが取り入れられることになります。一般企業においても、業務の作業効率化を図るために、生成AIの導入を進めています。ビジネスにおいて生成AIは無視できない存在に成長しています。

生成AIについて解説します。大手企業や有名団体では、組織の作業効率やサービスの向上を目的として生成AIを導入するケースが増えています。便利な技術であるだけに、中小企業においても、いかに生成AIを自社の業務に溶け込ませることができるかが重要になってきます。

生成AIとは？

生成AIとは、学習した知識や検索情報を通じて、テキスト、プログラムコード、画像、音声、動画といったコンテンツをAIが自動的に生成する技術を指します。

簡単に説明するために、生成AIとして有名なChatGPTを例に挙げて解説します。たとえば、ChatGPTには、GPT（テキスト生成AIモデル）とDALL-E（画像生成AIモデル）と呼ばれる2つのAIモデルが搭載されています。

ChatGPTは、テキストや画像を生成できるAIモデルを通じて、文章や画像ファイルを生み出すことを可能としています。つまり、ChatGPTは、AIチャットでありながらも、生成AIシステムの側面を有するということです。こうした技術のことを生成AIと呼んでいます。

生成AI、生成AIモデル、生成AIシステム、3つの用語の関係性

生成AIに似た言葉として、生成AIモデル、生成AIシステムという用語があります。

生成AIを「技術」としたとき、生成AIモデルは「プログラム（アルゴリズム）」、生成AIシステムは「製品（ツール）」と位置付けられます。

生成AIとAIの違い

生成AIとAI（Artificial Intelligence / 人工知能）の違いは、タスクの汎用性にあります。

生成AIは、コンテンツの生成タスクに特化したAIです。一方、AI（Artificial Intelligence / 人工知能）とは、一定の自律性を持って動作し、特定の事柄に対して予測や提案、決定などする技術のことです。一般的には、特定のタスクを処理する技術として認識されています。つまり、生成AIは、AIの一種ということです。

経産省がコンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブックを公表

経済産業省は、生成AIに関するガイドライン「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」を2024年7月5日に公開しました。

関連記事：経産省、コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブックを公開

本ガイドブックを公開した背景としては、近年では、生成AIの普及が進んでいてコンテンツ制作に活用されるケースが増えたことが挙げられます。

本ガイドブックは、コンテンツ産業の業界が適切にコンテンツ生成するための指針を提示する役割を担うことになります。とくに、ゲーム、アニメ、広告業界でコンテンツ制作に携わる方はチェックしてください。

生成AIの種類

生成AIは、生成するコンテンツによって種類がわかれます。具体的には、下記のような生成AIが存在します。

テキスト生成AI

テキスト生成AIは、文章やプログラムコードといった、テキストベースのコンテンツを生成するAI技術です。

2024年7月現在で流通するAIツールでは、ChatGPTをはじめとして、AIチャットやAI検索を用いたサービスが主流となっています。そして、AIチャットやAI検索では、テキストベース（または音声）でユーザーとコミュニケーションをとることになります。そのため、テキスト生成AIモデルを軸としたAIツールが大半を占めています。

画像生成AI

画像生成AIは、画像ファイルを生成するAI技術です。

生成できる画像のテイストは、アート、イラスト、写実、ロゴ、図表など多岐に渡ります。昨今の生成AIシステムでは、マルチモーダルを導入するケースが多々ありますので、画像を生成できるサービスが増加しています。

音声生成AI

音声生成AIは、音声や効果音など、さまざまな音を生成するAI技術です。

本技術は、語学学習、カスタマーサービス、音楽活動、ボーカロイド、動画作成などで応用されています。教育、ビジネス、エンターテインメントと、幅広いジャンルで利用されています。

動画生成AI

動画生成AIは、動画を生成するAI技術です。

スマートフォンが普及した現代では、動画は視認性が高く理解を促進する効果があることから、WEB上でも好まれて利用されるコンテンツです。そのため、マーケティング、教育、社内外資料、エンターテインメントなど他ジャンルで活躍しています。そして、動画生成AIは、こうしたコンテンツの作成をサポートします。

生成AIでできること

生成AIでは、主にコンテンツを生成することが可能です具体的に下記のようなことを実現できます。

質問に応答できる

生成AIの大規模言語モデル（LLM）では、AIチャット形式でユーザーとコミュニケーションをとれます。

ユーザーは、チャット上でプロンプト（質問文や指示文）を入力して送信すると、AIが応答してくれます。AIは、学習した内容や検索エンジンと連携してえた情報をもとに、プロンプトに対して、適切な応答をテキストや音声で答えます。

文章作成や翻訳できる

生成AIの大規模言語モデル（LLM）では、プロンプトの内容に応じて、文章の生成ほか、外国語を翻訳することができます。

このケースでは、プロンプトには、「『◯◯について』をテーマとしたWEB記事用の原稿を生成して」といった要領で指示文を入力することになります。記事用の原稿、社内外の書類、営業用の提案書、メール文、翻訳文書など、さまざまな形式の書類を作成できます。

画像やイラストを生成できる

画像生成AIでは、イラストや絵画といった画像を生成できます。

プロンプトの入力方法はさまざまですが、テキスト入力で対応できるケースが多々あります。入力時は、「なにを」「どのようなシーンで」「どのようなテイストで」画像を生成するかの具体的な指示が必要です。

動画を生成できる

動画生成AIを利用することで、動画を生成できます。一般的には、AIで動画を作るためには、動画生成AIモデルだけでなく、複数の生成AIモデルを組み合わせるケースが多々あります。

ただし、2024年7月現在では、AIだけで30分以上のように長尺の動画生成は困難です。視認性が高い動画コンテンツとなると、フェイクコンテンツが生まれる可能性があるなど、倫理的な課題が議論されています。

無料のおすすめ生成AIシステム

無料でも利用できる生成AIシステムが多数あります。サービスとあわせて、無料プランでもできることをご紹介します。

※紹介するサービス内容は2024年7月現在のもの

ChatGPT

ChatGPT（チャットジーピーティー）は、基本無料で利用できる、OpenAI社が提供するAIチャットサービスです。

関連記事：ChatGPTとは？始め方と使い方の解説とSEOコンサルタントによる簡単なAIアルゴリズムの検証

関連記事：ChatGPT-4o（GPT-4o）とは　使い方、できること、活用事例を紹介

ChatGPTには、次のような生成AIが搭載されています。

GPT-4oは、利用できる回数制限が設けられています。一定の回数を消化すると、自動的に言語モデルがGPT-3.5へ切り替わります。

WEB版のChatGPTでは、音声入力機能を利用できません。ただし、アプリ版のChatGPTには、音声入力機能が備わっています。アプリ版のChatGPTでは、Whisperを通じて、入力した音声を処理できます。

このほか、有料版のChatGPT Plusに登録すると、画像生成AIモデルのDALL-E 3が解放されます。ChatGPTでは、課金することで画像生成の機能を利用できるようになります。

ツールURL：ChatGPT

Gemini

Gemini（ジェミニ）は、大規模言語モデルのGemini 1.5 Proが搭載される、Google社が提供するAIチャットサービスです。

関連記事：Geminiとは？ AIの基本性能や活用事例を紹介

2024年7月現在では、有料版のGemini Advancedも含めて、開発中の技術が多数あります。原則として、質問の受け答えやテキスト生成のみに対応している状態です。

有料版のGemini Advancedの大きな特徴として、Google社の製品と連動して利用できる点が挙げられます。たとえば、Google検索エンジンやGoogleマップと連動して情報を提供します。

※APIやサードパーティツールと連携することで利用可能となる機能があります

ツールURL：Gemini

Microsoft Copilot

Microsoft Copilot（コパイロット）は、Microsoft社が提供する、AIアシスタントです。Copilotは、同社のさまざまな製品に導入されており、WindwosやMicrosoft 365のユーザーにとっては馴染み深いサービスとなっています。

関連記事：Microsoft Copilot（コパイロット）とは　使い方やできることを解説

無料で利用できるものでも、WEB版のCopilot、検索エンジンのBing、WEBブラウザのMicrosoft Edge、（Windwosユーザーであれば）OSのWindwos 11と搭載するサービスが豊富にあります。無料の生成AIサービスとしては、できることが多い点が特徴です。

有料版のCopilot Proなどを契約すると、Microsoft 365と連動することが可能です。

サービスURL：Copilot

Perplexity

Perplexity（パープレキシティ）は、アメリカのPerplexity社が提供するAIチャット型の検索サービスです。

関連記事：Perplexity AIとは　有料版Proの使い方やできることを徹底解説

無料版でもできることが多く、とくに、検索エンジンを利用した最新情報の取得に強みを持ちます。そのため、情報生成AIとしての役割を果たせます。

有料版のPerplexity Proにアップデートすると、下記の大規模言語モデルに切り替える機能が追加されます。

※APIやサードパーティツールと連携することで利用可能となる機能があります

ツールURL：Perplexity

Notion AI

Notion AI（ノーション）は、Notion Labs Japanが提供するAIアシスタントです。原則的には、クラウドサービスのNotionをサポートするための生成AIモデルです。

関連記事：Notion AIとは　できることや使い方など解説

Notion AIは、あくまでも、クラウドサービスのNotionを便利に使うためのツールです。通常は単体で利用はできません。Notion上では、テキスト生成、外部の情報検索、タスク管理等をおこなえます。

※APIやサードパーティツールと連携することで利用可能となる機能があります

AI Overview

AI Overviewは、Google社が提供する検索エンジンAIです。

本サービスは、Google検索エンジンで検索すると、クエリの解説文章をリザルト画面の上部に表示するものです。検索ユーザーは、リンクをクリックすることなく、クエリの概要を把握できます。

関連記事：Google、AI Overviewを正式名称として発表へ　SEO対策やトラフィックの影響を解説

AIモデルには、大規模言語モデルのGeminiシリーズが搭載されています。つまり、AI Overviewは、テキスト生成AIを応用した技術ということです。

ただし、2024年7月現在、日本ではAI Overviewが一般公開されていません。国内から同サービスを利用するためには、Search Labsに参加する必要があります。

生成AIの基本的なプロンプトテンプレート【初心者向け】

生成AIシステムでコンテンツを生成するときには、指示の出し方にコツがあります。本項目では、初心者の方に向けて、基本的な指示の出し方をまとめたプロンプトのテンプレートをご紹介します。

関連記事：ChatGPTをSEO対策に活用する方法とは？ おすすめプロンプト一覧もご紹介

検索情報を生成するプロンプト

CopilotやPerplexityのような検索AIを利用すると、最新の情報などにまつわる回答文を生成できます。プロンプトには、次のような質問文を入力します。

「◯◯」に知りたいことを入力します。このほか、情報の真偽を確かめるために、「◯◯の最新情報は正しい情報ですか？」といった疑問形のプロンプトにも応答してくれます。

WEB記事を生成するプロンプト

WEB記事を作成するにあたって、テキストコンテンツを生成できます。プロンプトとしては、次のような文面を用意します。

このプロンプトでは、WEB記事用のタイトル、リード文、見出し構成、本文を生成できます。ただし、本プロンプトで作成されたWEB記事は、既知の客観的な事実を基に生成されます。そのため、SEO対策として重要なオリジナル性に欠ける内容となっています。あくまでも、叩き台や参考までの利用に留めることを推奨します。

メールの文面を生成するプロンプト

言語モデルを利用することで、返信メールやアポイントメールを作成できます。プロンプトとしては、次のような文面を使います。

このプロンプトでは、汎用的な返信メールの文章が生成されます。メールの送付相手と自社の関係値や状況に応じて、プロンプトを工夫してください。

画像を生成するプロンプト

Copilotのように画像生成AIモデルを搭載したAIサービスでは、プロンプトを入力すると画像ファイルを作成できます。

プロンプトに入力する画像の描写が具体的であるほど、ユーザーのイメージに近い画像データを取得できます。

プログラムコードを生成するプロンプト

言語モデルを使用するAIサービスでは、プログラムコードやマークアップコードを生成できます。

この例では、HTMLファイルとCSSファイルに実装するためのコードを生成します。細かい条件を設定することで、ユーザーが求めるコードを取得できます。

生成AIの活用事例

生成AIは、IT分野だけでなく、あらゆる業界の作業効率を高めると期待されています。一例として、生成AIの導入事例をご紹介します。

KDDIが画像生成AIを使用したauのCMを放送【マーケティング分野】

KDDIは、電話サービスブランドのauを訴求するテレビCMシリーズ「au三太郎」に生成AIを導入しました。

同シリーズに出演する役者や音声、歌詞をさまざまな生成AIでアニメーション加工し、2024年1月に地上波で放送して話題を呼びました。同シリーズは、CMとしての好感度が高く、顧客に映像クリエイティブを楽しんでもらおうと企画したとのことです。

ベネッセが夏休みの自由研究をAIでサポート【教育分野】

ベネッセコーポレーションは、自由研究のテーマを提案するサービス「自由研究お助け AI」を2024年7月から9月にかけて無料提供しました。

参考：自由研究のお困りは「自由研究おたすけAI β版」で解決！

内容は、WEB上でAIキャラクターをナビゲーション役として、小学生に自由研究のためのアイデアやテーマのヒントを提供するといったものでした。このサービスによって、小学生の夏休みでは後回しにされがちな自由研究を通じて、小学生の興味や関心を促進させる考えがあるとのことです。

NECが生成AI搭載の電子カルテシステムをリリース【医療分野】

NEC（日本電気）は、大規模言語モデルを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」を2024年4月にリリースしました。

参考：NEC、生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」の販売を開始

MegaOak/iSは、電子カルテに記載された診療情報をもとに、診療情報提供書と退院サマリの2つの書類の文章を自動生成し提案してくれます。本システムによって、医療現場の業務効率化を図れるとのことです。

生成AIのよくある質問

生成AIに関する、よくある質問をまとめています。
 

Q:生成AIを学べるおすすめの書籍はありますか？

Answer）東京SEOメーカー（本サイト）では、ChatGPTを活用したSEOライティングのノウハウを解説する書籍を執筆しています。

 

東京SEOメーカーが実証した、検索順位で上位表示するためのライティングテクニックをまとめています。とくに、SEO対策の担当者はチェックしてください。

 

書籍の販売サイト：ChatGPT×SEOライティング実践技術 ～東京SEOメーカーで実際に試した「AI新時代」の検索上位獲得術～

 

Q:生成AIを英語でなんといいますか？

Answer）生成AIは、英語でGenerative AI（ジェネレーティブAI）と表記します。AIは、Artificial Intelligence（アーティフィシャルインテリジェンス）の略称で、人工知能と訳されます。

 

Q:生成AIと大規模言語モデルの違いは？

Answer）生成AIと大規模言語モデル（LLM）の違いは、生成するコンテンツの種類が異なる点です。

 

前者は、テキスト、画像、音声、動画など、さまざまなコンテンツを生成します。一方、大規模言語モデルは、自然言語（英語や日本語）の文章やプログラムコードといった、テキストベースのコンテンツを生成します。大規模言語モデルは、生成AIの一種と位置付けられます。

 

Q:画像生成AIの登場でイラストレーターは失業しますか？

Answer）イラストレーターとして活動を続けられるかは、個人の技量によって異なります。一般的には、生成AIで代替できるような、汎用的なクオリティの作品は求められなくなっていきます。しかし、生成AIで作れないオリジナリティを強みとするイラストレーターは今後も活躍できると推測されます。

 

たとえば、デジタルカメラの発展によって、誰でも簡単に、一定のクオリティの写真を撮れるようになりました。しかし、フィルムカメラを使いこなせるカメラマンは、素人には表現できないオリジナルの価値を提供できます。技術で価値を提供できるか否かは、個人の力量に依存します。

 

Q:生成AIパスポートとはなんですか？

Answer）生成AIパスポートとは、生成AIのリスクに対する理解度を証明する資格試験のことです。生成AI活用普及協会（GUGA）が主催するもので、生成AIを正しく運用できる人材の育成を目指しています。

 

参考（外部）：生成AIパスポート

 

Q:AIでなくならない職業は？

Answer）AIは、人間の感情に寄り添う仕事が苦手です。医療や福祉、教育関連の仕事はなくならないといわれています。具体的には、医師、看護師、介護士、カウンセラーなどが該当します。

 

 

まとめ

生成AIは、AIを用いてデータコンテンツを生成する技術です。主に、テキスト生成AI、画像生成AI、音声生成AI、動画生成AIの4つの種類があります。世界を代表するテック企業のOpenAI、Google、Meta、Microsoftなどが技術の開発を競い合っていて、生成AIは急速に進化しています。今後は、一般生活、仕事にも大きな影響を与える存在に成長することが見込まれています。とくに、企業にとっては、業務の作業効率や品質向上につながる可能性を秘めています。生成AIについて学んで、社内への導入を検討してください。

 

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この記事の監修者

アドマノ株式会社　代表取締役　天野　剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。