アドネットワーク広告とは?広告の仕組みとメリットデメリット、押さえておきたいポイントを解説
WEB集客には、主に2つの方法があります。1つはSEOやリスティング広告のように、既に自分が必要な商品を自覚している顕在顧客をターゲットにする方法です。もう1つは、今回お伝えするアドネットワーク広告のように、まだ欲しい商品に気づいていない潜在顧客をターゲットにする方法です。
アドネットワーク広告を利用すれば、これまでリーチできなかった見込み客に自社の商品を知ってもらうことができます。
アドネットワーク広告とは
最初に、アドネットワーク広告についての基本事項を整理してお伝えします。
アドネットワークとは
WEBサイトを運営している企業や個人の中には、自社のメデイアに広告を載せたいと希望しているオーナーが一定数存在します。
例えば、自社がニュースサイトを運営しているのであれば、そこに広告を掲載し収益化したいと考えるのは自然な発想だと思います。そして、そう考えるのはニュースサイトのオーナーだけでなく、下記のようなサイトも同様です。
- 商品比較サイト
- コーポレートサイト
- 個人ブログ
- まとめサイト
- アフィリエイトサイト
その他、WEBサイトだけでなく、アプリを開発し提供しているオーナーがそのアプリ内で広告を掲載したいなどの場合も該当します。
こういった広告を掲載したいニーズを持ったメディアを集めているのがアドネットワークです。
アドネットワークを活用して配信する広告
さまざまなメディアの集合体であるアドネットワークに、広告を配信したいWEB担当者も多いと思います。
そこで、メディアのオーナーと、広告を出稿したいと考えているWEB担当者を結びつけるのがアドネットワーク広告です。WEB担当者はこのアドネットワークを活用して、広告を配信することができます。
これまでの主流だった純広告
従来、WEB担当者が特定のWEBサイトに広告を出すには、純広告と呼ばれる方法を利用していました。
例えば、WEB担当者が特定のWEBサイトに広告を出したいとします。その場合、そのメディアのオーナーに直接コンタクトをとります。そして、広告期間や料金などについて話をし、双方が納得したら契約を交わします。
純広告では、広告を出したいWEBサイトを見つけるたびにこのプロセスを経ます。
アドネットワークが解消した課題
純広告は、メディアと広告の相性が良ければ非常に効果が高い方法です。一方、次のような課題を抱えていました。
- 広告主が見つからない間、メディア側の収入が発生しない
- WEB担当者が、広告を配信したいメディアを見つけるのが大変
- 複数のメディアに広告を出せば、管理が困難
- 費用に見合う効果がなくても、契約期間中は広告を出し続けなければいけない
こういった問題を一挙に解消したのが、アドネットワーク広告です。
WEB担当者にとっては、わざわざ広告掲載先を探す必要がなくなりました。メディアのオーナーにとっても、常時広告を掲載できるようになり、広告主不在の間に生じる機会損失を防ぐことができるようになったのです。
アドネットワークのメリット
アドネットワーク広告を出稿するWEB担当者にとっては、次のようなメリットがあります。
- 複数のメディアに広告できる
- 広告出稿までのプロセスが大幅に短縮される
- 効果測定を一箇所にまとめられる
- 広告効果の改善が簡単
1つずつ解説します。
複数のメディアに広告できる
純広告の場合、広告掲載をしてくれるWEBサイトを1つ見つけるだけでも大変な労力がかかります。
一方、アドネットワーク広告の場合、すでに広告掲載ができるメディアが揃っているため、WEB担当者の手間は大幅に削減されます。しかも、アドネットワーク広告のプラットフォームが、自社に代わり日々広告掲載できるメディアを増やしてくれます。
広告出稿までのプロセスが大幅に短縮される
純広告を出す場合、広告掲載ができるメディアを探し、1件ずつ交渉して契約を交わす必要があります。最終的な条件があわないので、途中で契約を取りやめにすることも頻繁です。
しかし、アドネットワーク広告を利用すれば、そういったやりとりが不要になり、最短で1~2日程度で広告配信が可能です。
効果測定を一箇所にまとめられる
通常、複数のメディアに出稿する場合、そのメディアごとに広告効果を計測する必要があります。しかし、広告費の課金方法やデータの計測方法がメディアごとに異なっているので、それを管理するのは大変な作業です。
アドネットワーク広告なら、こういったことがすべて統一されているためデータの計測が容易です。
広告効果の改善が簡単
純広告に出稿すれば契約期間が決まっているため、たとえ効果がなくてもその期間中、広告を掲載し続けなければいけません。
アドネットワーク広告なら、効果がない場合は掲載を控え、効果のある媒体に予算を割くことができます。このように広告配信先をある程度絞ることができるため、効果改善が簡単です。
アドネットワークのデメリット
アドネットワーク広告のデメリットは次のとおりです。
- 特定のメディアに必ず掲載できるとは限らない
- 意図しないメディアに掲載されることもある
- 広告費の単価は上昇傾向にある
1つずつ解説します。
特定のメディアに必ず掲載できるとは限らない
仮に、ある1つのメディアがとても効果が高いという発見をしたとします。そこで、このメディアに対して必ず広告が出るようにしたいと思っても、現実的に難しい面があります。
なぜなら、掲載されるかどうかは他社との競争で決まるからです。同じメディアに掲載したいと思う他社にオークションで負ければ、他社の広告が表示されます。
意図しないメディアに掲載されることもある
アドネットワーク広告では掲載したいジャンルなどを選ぶことはできますが、最終的にどこのメディアに広告が掲載されるかは、広告を出稿するまで分かりません。
結果として、自社のブランドイメージを傷つけるようなメディアに掲載されることもあります。
広告費の単価は上昇傾向
効果の高いアドネットワーク広告には、いずれ他社も参入します。このように競合が増えれば、広告費の高騰は避けられません。そのため時間の経過と共に、広告費は上昇する傾向があります。
代表的なアドネットワークサービス
実際にアドネットワーク広告を利用したい場合のために、代表的なアドネットワーク広告を2つ紹介します。
Google広告
Google広告にはディスプレイネットワーク広告という世界最大規模のアドネットワーク広告があります。Google広告ではYouTubeやGmailを含む、3500万以上のWEBサイトに広告を表示することができます。オプションのターゲット設定を行えば、掲載時間や掲載先などを自動で選別し広告が配信されます。
もちろん、自社の広告予算や1件当たりの目標コンバージョン価格なども設定できるので、広告効果を最大化させることができます。
Yahoo!広告
Yahoo!広告では、ディスプレイ広告を利用することができます。配信先としては、Yahoo!ニュースや食べログ、Lineなどがあります。ターゲットの性別や興味関心などに合わせて配信先が自動で選定されます。Google広告と同様に、自社の広告予算、1件あたりのコンバージョンに費やせる予算なども設定できます。
その他のアドネットワークサービス
アドネットワーク広告には、他にも下記のような箇所があります。
楽天アドネットワーク
楽天アドネットワークは、楽天グループのWEBサイトなどに広くリーチできます。楽天市場での購入データなどをもとに配信が可能です。「認知」から「購買」「ファン化」まで消費者行動のすべての段階に対し様々なメディアに配信できる運用型広告です。
MicroAd
MicroAd(マイクロアド)は性別、年齢などのターゲティングが可能です。また、あえてターゲットを絞らずあらゆるメディアに広告を出すことも可能です。この場合、広告単価を下げる効果があります。多彩なターゲティングを実現する国産DSPです。
LINE広告ネットワーク
LINE広告ネットワークは、LINE広告の豊富なキャンペーンを配信し、収益化できる唯一のパブリッシャー向けソリューション。広告掲載面やユーザーの特徴に寄り添ったサービス設計により優れたユーザー体験と、広告収益の最大化を実現し、パートナーの成長を共創します。
アドネットワーク広告の運用について
アドネットワーク広告には、その媒体ごとにいくつかの配信方法や料金形態があります。そこで、主なものを整理しておきます。
アドネットワーク広告の配信方法
アドネットワーク広告の配信方法は、主に次の2種類があります。
ターゲティング型の配信
年齢や性別、興味・関心などを事前に設定して、その条件に合ったメディアやユーザーにのみ広告を配信します。ターゲティング広告を配信することによって、無駄な広告費を削減することができ、効果的な運用がおこなえます。主に、コンバージョン目的で配信したい場合、ターゲティング型の配信を選択します。
全方位型の配信
ターゲットを設定せず、あらゆるメディアに広告を配信する方法です。広告単価が安くなるのが特徴です。コンバージョン目的というよりは、認知拡大をしたい場合に有効です。
アドネットワーク広告の課金形態
アドネットワーク広告で利用できる課金方法は主に次の2つです。
クリック課金
アドネットワーク広告を利用する際には、クリック課金型を選択することが多いです。こちらはユーザーがクリックした数に応じて課金される仕組みです。例えば、1クリック10円だとします。この場合、100クリックされれば1,000円の広告費がかかります。
実際に設定する際には1ヶ月の広告予算を決め、おおよそのクリック数を予想しておきます。仮に10万円の予算を組み、クリック単価が10円なら最大1万クリックされます。
インプレッション課金
インプレッション課金とは、ユーザーが利用しているブラウザに広告が表示されると課金される仕組みです。広告を見てもらった数に応じて課金されます。こちらは単価が安くなる傾向があります。コンバージョンを狙った広告というよりは、認知拡大を目的としている際に利用します。
アドネットワークの選び方
どのアドネットワーク広告を利用するか、何を基準に決めれば良いのでしょうか。
アドネットワーク広告に効果があるのかどうかは、自社の扱っている商品カテゴリーと、メディアとの相性が大切です。そのため、まずはアドネットワーク広告がどのようなWEBサイトに広告を表示しているのかを確認します。
そして、自社の見込み客が広告配信先のWEBサイトを日常的に訪問していると想定できるのなら、そのアドネットワーク広告を選択するのが適切です。
また、自社の顧客が普段、どのようなWEBサイトを利用しているのか分からなければ、顧客にアンケートなどをとるなどして調べるようにしてください。
面倒に感じるかも知れませんが、顧客のことを理解しているほど、どのアドネットワーク広告を選択すれば良いのか判断が容易になります。
アドネットワーク広告の効果を高める方法
アドネットワーク広告の効果を高めるには、実際に広告を出し、そこから改善を図る必要があります。
WEB担当者が思ってもいないようなメディアから、優良な見込み客を集めることができることもありますし、期待していたほどの効果のないメディアもあります。
こういったことは、実際に広告を出すまで誰にも判別ができません。そのため、広告を出して結果を測定し、それを改善するというプロセスを繰り返す必要があります。
アドネットワーク広告を有効に活用しよう
アドネットワーク広告の最大の利点の1つは、潜在顧客にリーチできることです。まだ自社の商品を知らない顧客と出会うことで、売上を大きく伸ばせる可能性があります。
また、リスティング広告などと比較しても広告単価が安いため、認知拡大にも有効に活用できます。潜在顧客に広く自社の商品を知ってもらうなどの目的があるのなら、アドネットワーク広告の活用を検討してみてください。
まとめ
今回はアドネットワーク広告について、基本事項から効果的な運用方法まで解説してきました。運用方法は、自社がターゲットにしている見込み客の性別や年齢層などを選択するだけですので、決して難しくありません。お伝えしたように、効果計測を継続的におこなっていけば、次第に有益な集客方法に育っていきます。自社でアドネットワーク広告を利用するならこの点を忘れず、運用に取り組んでください。