ROASとは?基礎知識、ROI・CPAとの違いや計算方法、改善策を解説
広告で思い通りの成果を出すには、指標の設定が必要不可欠です。ROASは広告費にたいしてどれだけの売り上げが発生したかを示す指標で、広告のパフォーマンスがわかります。
そこで今回は、ROASの概要やROI・CPAとの違い、計算方法について解説します。ROASを改善するための、おすすめのツールも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
ROASとは
ROASとは、投資した広告費に対してどれだけの売り上げが発生したかを計る指標です。「Return On Advertising Spend」の略で、「ロアース」と発音されます。
広告を出稿した際、その広告を放置するのは費用を無駄にしている可能性があります。どれだけ売り上げに貢献しているのか、企業の認知度はあがったのかなどを調べ、改善を行うことでより高い広告効果が見込めます。
ROASは広告費用対効果という視点で分析します。広告費用を無駄にせず、ROASを使い正しく改善することが大切です。
ROASの計算式と例
ROASは以下の計算式から導き出します。
例えば、新商品の広告に100万円を出資して、広告経由の売り上げが25万円だったとすれば、
250,000(円)÷1,000,000(円)×100=25
となり、ROASは25%と導き出せます。この場合、投資した額の25%しか売り上げておらず、早急に広告の改善をしなければなりません。
このように、ROASを行えば出稿している広告の改善点をわかりやすく判断することが可能です。
ROASとROI・CPAとの違い
ROASと似たような分析方法に、ROIとCPAがあります。用途はそれぞれ違い、3つを効率よく使うことで、より広告の現状がわかります。ここでは、ROIとCPAの計算方法や使い方について解説します。
ROIとは
ROASは広告費に対してどれだけ売り上げが発生したかを調べます。対してROI(Return On Investmentの略、投資収益率のこと)は、広告費に対してどれだけの利益が出たかを調べます。
計算式は以下の通りです。
ROASの時と同じく新商品の広告に100万円を出資して、利益が25万円だとすれば
250,000(円)÷1,000,000(円)×100=25
ROIは25%となり、結果赤字であることがわかります。売り上げではなく現時点の利益を見るため、長期的な施策には向きません。また、ROIは実際の利益の金額ではなく割合を算出します。よって、出資した額が少ない場合、ROIがいくら高くても利益自体は少ないことが多いです。そのため、出た結果に満足するのではなく、実際の利益を確認しましょう。
ROIはROASと組み合わせることにより、全体の広告投資対効果を測れます。ROASが100%を超えていたとしても、ROIは100%以下で結果として利益があまり出ていないということも珍しくありません。
CPAとは
CPAとは、「Cost Per Action」の略で、日本語では「顧客獲得単価」です。広告でCVを1件取るのにかかった費用を指します。したがって、数値が高いほど1CVにかかった費用が高いことになります。
計算式は以下の通りです。
例えば、100万円を出資した広告でCV数が50件だとすれば、
1,000,000÷500,000=2
ということになり、CV1件を獲得するのに2万円かかったことがわかります。広告を複数運営している場合や、運用しているCPAの変化を測るのに効果的です。
ROASのメリットデメリット
ROASは、広告がしっかりと機能しているかを売り上げという項目から調べられます。数値が高いほど売り上げも高くなるので、余計な出資を避けられ他の事業や広告に割くことができます。数値が低ければ、ランディングページを変えたりキーワードを変えたりなどABテストをして改善策を見つけられるのも大きなメリットです。
しかし、店舗販売などでWeb上で商売が完結しない場合、CVの価値がわかりづらくROASをしても効果を得られません。この場合、来客率や成約率を考慮した指標の使用が適しています。また、売り上げを測るため、資料請求などの売り上げが発生しないものに対しては効果が得られません。
ROASを改善させるためのポイント
売り上げばかりを見ていてもROASの改善には至りません。常に改善していくためにも効果的なポイントをつかんでおく必要があります。
ここでは
- 顧客理解を深める
- リピート購入の促進
- CVRの向上
という項目から改善するためのポイントを見ていきます。
顧客理解を深める
顧客理解を深めることで、より高い広告効果を発揮できます。自社で想定顧客を鮮明に作り出し、その顧客のニーズに合った商品やサービスを販売することで、ROASの最適化を行えます。
リピート購入の促進
リピート購入の促進はROAS改善に役立ちます。リピート購入がされるようになれば、ユーザー1人あたりの売り上げが上がっていくので、それに伴いROASも高くなっていくのです。商品を購入した直後のユーザーにメールを送信する、メルマガなどで役立つ情報を定期的に配信するなどで顧客の信頼を得てリピート購入を促進しましょう。
CVRの向上
CVRとは、広告にアクセスしたユーザーのうち、何割がCVに至ったのかを示す割合です。CVRが向上すれば、それだけユーザーがCVしたということになるので、ROASの改善に役立ちます。
改善策としては、入力フォームやLPを改善すればCVRの向上が見込めます。
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ROASを見る際に注意すべきポイント
化粧品やサプリメントといった継続購入を目的とした商品では、リピーターの存在を忘れてはなりません。広告費に10万円かけ、サプリメントを5,000円で売ったとすると、1人のリピーターのみでROASが100%を超えるには、20回の購入回数が必要です。このように、リピーターに考慮して長期的な目標設定をしましょう。
また、マフラーや手袋などの季節によって売り上げが上下する商品の場合、正確にROASを把握するには算出に使う売上額を定期的に更新しなければなりません。
ROAS改善施策に役立つツール
ROASの改善にはツールを使うことでより最適化が見込めます。
ここでは、3つのツールについて解説します。
アクセス解析ツール
ROAS改善には、CVRの改善が不可欠です。アクセス解析ツールを使えば、サイトに訪問してきたユーザーの行動やCVなどの分析ができます。そこからユーザーが興味を持っていることなどを分析しCVRの向上が見込めます。
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A/Bテストツール
A/Bテストとは、A・Bの2種類以上の広告を表示し、結果を比較してどちらがよかったかを検証するテストです。複数の候補から、より良い広告に最適化していくうえで欠かせない手法です。比較することでROAS改善に役立ちます。
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CRMツール
ROASを算出する際、売り上げだけに目が行ってしまいがちですが、商品やサービスを購入してもらうには顧客との信頼関係の構築が必須です。したがって、顧客との関係の管理も改善施策に必要です。顧客育成=ブランド構築ともいえます。そのため、CRMツールの導入は有効です。
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まとめ
広告効果を高めるにはROASの活用が欠かせません。ROASは定期的に改善が必要で、改善には広告全体を見直す必要があります。ROASでは実際の売り上げ金額はわかりません。したがって、CPAとROIとの違いを理解し、それぞれ用途に合った活用をしましょう。